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地方からIT活用を考える「青森ITビジネス・マッチング交流会」レポート

青森のITが熱い!2年間走り続けた「新時代ITビジネス研究会」

2015年02月16日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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2月13日、青森県が主催する「新時代ITビジネス研究会」は、青森市の「ワ・ラッセ」において、「青森ITビジネス・マッチング交流会」を開催した。オープンなコミュニティをベースに走り続けた2年を総括するイベントの模様をレポートする。

会場となったJR青森駅前のワ・ラッセ

年間のイベント数90件!青森のITはなぜ熱いか?

 「青森をITビジネスで盛り上げよう!」を合い言葉に、県内外のIT企業や異業種がコラボレーションする場を提供してきた「新時代ITビジネス研究会」。青森県商工労働部新創業創造課が約2年前に立ち上げた研究会では、データセンター、クラウド、オープンデータ、IT人材定着部会の4つの部会をベースに、数々のイベントや開発支援事業を進めてきた。こうした県主導のIT活性化の取り組みは、全国にもあまり例があく、県内外から高い注目を集めている。

 青森の試みが高い注目を集めるのは、いくつかの理由がある。まずは県内の企業・組織のみに拘泥しないオープン性を持つ点だ。新時代ITビジネス研究会では、仲間内になりがちな勉強会や最新のテーマを追うのみのセミナーという形態ではなく、緩い連携を持つコミュニティという形態を採用。これにより、県内はもちろん、県外や首都圏の企業とも緊密に連携した風通しのよい組織運営に徹してきた。

 また、民間企業を凌駕する圧倒的なスピード感にも注目したい。2年目の2014年度に実施した県主催のイベントは、前年度の2倍強の約90件。4日に1回はなんらかのイベントを実施していることになる。イベントや開発支援は「介護×IT」「農業×IT」「雪・インフラ×IT」などの地域課題解決型のテーマのほか、クラウドファウンディングやBeacon、データ分析、ゲーム開発などバリエーションも充実。今年度はアプリケーションをデプロイするところまで試作するハッカソンも実施した。

 こうした青森の“引力”に引かれ、CUPAやJAWS-UG、JAZ-UG、DevLOVE、クラウドごった煮などのコミュニティが積極的にイベントに参加しているのも注目すべき事実。研究会の仕掛け人でもある杉山智明氏(青森県 商工労働部新産業創造課 情報産業振興グループ)がJAWS FESTA TohokuやITpro EXPO、CROSS 2015などのイベントに積極的に出張っていることもあり、コミュニティ内での「クラウド=青森」の認知度はきわめて高い。この結果、多くのエンジニアがイベント参加のため次々青森に足を踏み入れている状態だ。

 今回の開催された青森ITビジネス・マッチング交流会は、こうした新時代ITビジネス研究会の2014年度を振り返る総括的なイベント。激しい吹雪と暴風という悪天候の中であったが、会場のワ・ラッセには数多くの参加者が集まり、熱気のこもったイベントとなった。

ベンチャー企業が語る成功する秘訣とは?

 イベントの冒頭では、ベンチャー企業シンカの江尻高宏氏が「小さな会社で全国展開 ~クラウドで広がるビジネスチャンス~」という題して基調講演を行なった。

「外は吹雪だが、雪の中を歩くのが楽しくてしょうがない」と語るシンカの江尻高宏氏

 昨年(2014年)に設立されたばかりのシンカは、「おもてなし電話 シンカCTI」というクラウドベースのCTIサービスを提供している。電話が鳴った段階で、送信元の番号から顧客情報を呼び出し、Webブラウザ上で表示してくれるというものだ。CTIではなく、「おもてなし電話」と説明しているのは「CTIといってもみなさんわからないが、おもてなしだったら興味を引いてもらえる。世の中のキーワードには乗った方がよい」(江尻氏)だ。

WebブラウザベースのシンカCTIのデモ

 また、迷惑電話番号の情報をオープンデータから探ってきて、迷惑電話のチェックをするというユニークな機能も持っている。「小さい会社はブランドでは勝てない。なので、おっ!と思ってもらう機能を考えたほうがよい」(江尻氏)という発想から実装した機能だという。

(次ページ、ベンチャーが成功するための割り切りと戦略とは?)


 

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