アドビシステムズは9月4日、新たに同社の代表取締役社長となった佐分利ユージン氏の就任記者会見を実施した。
7月付で代表取締役となった佐分利氏は、2006年から2009年まで、マイクロソフト日本法人の最高マーケティング責任者(CMO)として勤務していた実績を持つ。
佐分利氏は、アドビが提供するサービスを「4つのM」と表現。「2012年に、アドビは『Creative Cloud』『Marketing Cloud』をリリースし、他社に先駆けてクラウドサービスへの移行を開始した。Creative Cloudが担う制作(Make)と管理(Manage)に加え、Marketing Cloudによって計測(Measure)と収益化(Monetize)、いわゆるコンテンツの最適化を行える。このように我々は、マーケティングプロセスを包括的に支援できる唯一の企業であると確信している」とコメントした。
提供する2つのサービスについても好調をアピールした。Creative Cloudのサブスクリプション契約数は今年6月時点で全世界約230万件を突破したといい、1年で280%の成長率で順調に伸びているとのこと。また、デジタルマーケティングビジネスは年率約25%成長を維持しており、全米の企業を総収入に基づき500位までランキング化した「Fortune 500」企業のうち64%がMarketing Cloudを導入しているという。
マーケターであった自身の経験をもとに、佐分利氏はデジタルマーケティングの重要性を繰り返し強調。「Creative CloudとMarketing Cloudの販売比率は海外では6:4ほど。日本ではデジタルマーケティングの認知度が低いため、相対的にMarketing Cloudの比率が下がっている。デジタルマーケティングは日本においてはまだまだ早期。マーケットリーダーとしてお客様を支援し、市場においてトップとして認識されればと考えている」と意気込みを見せる。
「今、マーケティングは大きな変革の時期を迎えているように感じる。同時にさまざまな領域において、マーケティングテクノロジーのイノベーションも起きている。私自身はそれが今までにない大きな可能性をもたらすのではないかと感じている。世界が小さくなり、グローバル規模での競争が求められていく中、今こそ日本企業が活力を取り戻すチャンスなのではないか。日本はものづくりに徹底し、品質やサービスレベルはピカイチだが、それだけではグローバル市場では戦えない。需要喚起であったり、いかにお客様へ価値を伝えていくか、それが一番の差別化の要因になると考えている」とした。