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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第105回

HTCがなんとか1年ぶりの黒字転換 だが暗雲晴れず?

2014年07月09日 15時00分更新

文● 末岡洋子

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タブレットに再参入? ウェアラブルにも進出か

 HTCの今後を考える上でのポイントはいくつかあるが、スマートフォンでは製品リリースサイクルと製品ラインナップが気になる。Androidの開発サイクルが高速化しており、フラッグシップ端末のリリース頻度を見直す必要がありそうだ(なお、Googleが6月に発表した「Android L」について、HTC One M8とM7で対応することを明らかにしている)。

 製品ラインナップについては、Androidの差別化をどう図るのか(「HTC Sense」の方向性、音楽やカメラ機能以外の差別化は?)、またAndroid以外のOS戦略、さらにスマホ市場のトレンドであるローエンドへの拡大でどう展開していくかが見えてこない。

 一方で、製品カテゴリーでは拡大する計画を持っているようだ。まずはタブレットで、HTCが次期Nexusブランドのタブレットを担当するという憶測がある。これは”Volantis”という開発コードで進んでいるプロジェクトで、シルバーのアルミニウム素材に、8.9型ディスプレー、5メガピクセルか8メガピクセルのカメラを搭載し、プロセッサは64bitのNvidia Tegra K1と伝えられている。実現すれば、HTCにとって2011年の「HTC Flyer」以来のタブレットとなる。

 ウェアラブル端末もある。HTCのCEO、Peter Chou氏はChina Postに対し、スマートウォッチのようなウェアラブル端末に取り組んでいることを明かしており、「適切な時期に発表する」と述べている。また、HTCはGoogleが3月に発表した「Android Wear」プロジェクトのパートナー企業にも名を連ねており、何らかのウェアラブル端末が登場する可能性は濃厚とみてよさそうだ。Android Wearプロジェクトの下ではすでに、LGとSamsungが最初のAndroid Wearスマートウォッチを発表しており、Motorolaが後に続くことになっている。

 プレスリリースでのHTCの枕詞は「Global leader in mobile innovation and design(モバイル分野のイノベーションとデザインにおけるグローバルリーダー)」だが、”市場を切り開く”というよりも”付いて行っている”感が否めない。HTCのイノベーションはどこにあり、どうやってユーザーに伝えるのか? 黒字転換となったが、この課題はまだ解決できていないようにみえる。


筆者紹介──末岡洋子


フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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