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ノンインパクトで負荷分散や装置の入れ替えが可能

ハイエンドモデルにもっと仮想化!日立の「VSP G1000」

2014年04月24日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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4月23日、日立製作所はハイエンドストレージの新モデル「Hitachi Virtual Storage Platform G1000(以下、VSP G1000)」を全世界で販売開始した。複数のストレージ装置を1台に見せる仮想化技術を導入し、アクティブ-アクティブのボリュームミラーリングや無停止でのシステム移行を実現する。

新ストレージ仮想化技術「global virtualization」搭載

 VSP G1000は高性能・高信頼を重視したエンタープライズストレージのフラッグシップモデルで、2010年9月発売の「Hitachi Virtual Storage Platform」の後継機種にあたる。製品は16のFCポートを搭載したディスクアレイ装置である「VSP G1000」、基本ソフトウェアである「Hitachi Storage Virtualization OS」、ストレージ管理ソフトウェア「Hitachi Command Suite」、階層化機能、稼働管理のソフトウェアなどから構成される。なお、発表会はITプラットフォーム製品とサービスの開発、販売、提供を担う日立データシステムズ(HDS)と共同で行なわれた。

Hitachi Virtual Storage Platform G1000

 VSP G1000の最大の特徴は、数多くの特許から構成される新ストレージ仮想化技術「global virtualization」。日立は、従来からストレージデバイス、容量、ストレージ階層などさまざまな仮想化に取り組んできたが、今回発表されたglobal virtualizationでは、複数のストレージ装置を仮想的に1台のストレージ装置に見せることができる。従来物理ストレージに一対一にくくりつけられていた識別子を、異なる物理ストレージ装置のボリューム間でユニバーサル化。サーバーに対して、同一ストレージ装置の同一ボリュームとして認識させることによって実現した。日立製作所 情報・通信システム社 プラットフォーム部門COO兼ITプラットフォーム事業本部長 橋本崇弘氏は、「われわれは10年に渡って仮想化技術を推進しており、競争力のコアになっている。G1000では、技術面で他社を圧倒したい」(橋本氏)と語った。

日立製作所 情報・通信システム社 プラットフォーム部門COO兼ITプラットフォーム事業本部長 橋本崇弘氏

 global virtualizationでは、2台のストレージ装置のボリュームが常時読み書き可能(アクティブ-アクティブ)なため、業務やシステム運用にインパクトを与えないで、負荷分散や装置の入れ替えが実現する。物理サーバー上の仮想サーバーをサイト間で移動したり、2台のサーバーで1個のボリュームを共有するサーバークラスター環境を構築することで、障害時や災害時のサーバー切り替えも秒単位で可能になる。日立製作所 情報・通信システム社 ITプラットフォーム事業本部 事業統括本部 事業主幹 島田朗伸氏は、「アプリケーションが移動しても、いつからどこからでもデータにアクセスできる。SLAに応じてワークロードを分散したり、サービス停止なしで旧装置から移行するが可能になる」(島田氏)とアピールする。

日立製作所 情報・通信システム社 ITプラットフォーム事業本部 事業統括本部 事業主幹 島田朗伸氏

 また、プロセッサーボードの改良により、従来のVSPに比べ約3倍となる高い性能を実現。ラック間を最大100mのケーブル長で離して設置することも可能になり、データセンター内での設置自由度が高まった。さらにストレージシステムの設計や構築を支援するHitachi Virtual Storage Service」もVSP G1000に対応した。

 発表会では、日立データシステムズ グローバルソリューション戦略。開発担当 エグゼクティブ バイスプレジデント ジョン・マンスフィールド氏がミッションクリティカルな業務での仮想化環境で導入したNTTコミュニケーションズ、インテリジェントな階層化でデータの自由な再配置を実現したStark Technology、SAP HANAで採用したSVAなどのユーザー事例を紹介した。

日立データシステムズ グローバルソリューション戦略。開発担当 エグゼクティブ バイスプレジデント ジョン・マンスフィールド氏

 VSP G1000の価格は1億1379万円から、基本ソフトウェアのHitachi Storage Virtualization OSが1600万円から(ともに税別)。橋本氏は、「2013年度はクラウドサービスで使うお客様が増えたが、すべてがクラウドで解決するわけではない」と述べ、高信頼を最優先したエンタープライズストレージへの注力は今後も推し進めていくという。

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