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ソニー、34億円の黒字—第1四半期連結業績

2013年08月02日 18時00分更新

文● 大河原克行

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 ソニーは、2013年度第1四半期連結業績を発表した。

 売上高は前年同期比13.0%増の1兆7127億円、営業利益は479.4%増の363億円、税引前利益は391.4%増の462億円、当期純利益は前年同期の246億円の赤字から、34億円の黒字となった。

当期純利益は前年同期の246億円の赤字から、34億円の黒字

 ソニーの加藤優CFOは、「大幅な増収増益となった。スマートフォンの販売台数の増加や金融ビジネスの好調、為替が好影響に働いたことが要因。スマートフォンの新製品が好調で、損益が大幅に改善し、携帯電話事業は、2010年度第1四半期以来の黒字化を実現した。エレクトロニクス5分野合計で2011年度第1四半期以来の黒字を計上した。映画、音楽、金融も引き続き安定的に収益に貢献している。5月時点の想定に比べて、売上高で1000億円以上、営業利益でも350億円上回っている」とした。

ソニー 代表執行役 EVP CFOの加藤優氏

 また、「2013年度は、何をおいてもエレクトロニクス事業の復活、黒字化が最大の課題。その点で、第1四半期の業績は、エレクトロニクス事業の行く末を占う上では大変重要なものとなった。その中で黒字を計上し、営業利益も想定以上のものとなった。まずまずの結果を出せた」と総括した。

 今回の業績好調ぶりと円安の好影響を背景に、通期の売上高見通しを4000億円上方修正し、7兆9000億円とした。だが、営業利益については、エレクトロニクス製品の市場環境を厳しくみていること、米ドルに対する新興国通貨の下落が利益に対してマイナスの影響を与える見込みであることなどを理由に据え置いた。

今回の業績好調ぶりと円安の好影響を背景に、通期の売上高見通しを4000億円上方修正し、7兆9000億円とした

エレクトロニクス5分野合計(営業利益増減要因)

棚卸し資産(地域別)

ビデオカメラ/コンパクトデジカメの販売台数が大幅に減少

 セグメント別の業績は、イメージ・プロダクツ&ソリューション(IP&S)の売上高は10.4%減の1736億円、営業利益は45億円減の81億円。為替が好影響に働いたものの、ビデオカメラおよびコンパクトデジカメの販売台数が大幅に減少したのが減収減益に影響した。

 デジタルカメラは前年同期比180万台減の310万台。通期見通しの100万台減の1250万台とした。ビデオカメラも前年同期比50万台減の60万台。通期見通しは50万台減の250万台とした。

 「ビデオカメラは下方修正したが、高いマーケットシェアを維持していくことになる。コンパクトデジカメは低価格帯モデルを中心に販売台数が大幅に縮小したが、為替の影響と自社開発のイメージセンサーを搭載したDSC-RXシリーズなどの高機能モデルの強化により、収益性改善と単価アップを実現した。ソニー独自の画像処理エンジン、レンズ、イメージセンサーなどのキーデバイスを活用することでも高付加価値領域での商品力強化を加速する」(ソニー 業務執行役員 SVPの神戸司郎氏)とした。

 さらに、コンシューマとプロフェッショナルビジネスの一体運営を行なうための組織改革を7月から実行し、「両ビジネスにおける技術、人材の連携を加速し、デジタルイメージングの横展開を進める」と述べた。

PS2/PS3の販売台数は110万台、
PS Vita/SPの販売台数は60万台

 ゲームの売上高は前年並み1179億円、営業損失は112億円減の148億円の赤字。ソフトウェアの増収と為替の好影響があったものの、PS2が昨年度末に出荷を終了したことなどが影響した。また、PS4導入に向けた研究費の増加などの影響している。

 PS2およびPS3の販売台数は110万台(前年同期は280万台)、PS VitaおよびPSPの販売台数は60万台(前年同期は140万台)となった。

 「年末に発売するPS4は、究極のゲーム体験のみならず、ゲームとソーシャルの融合を通じて、ユーザー同士のつながりを深めることができる。周辺機器やソフトの拡充を進め、年末商戦に向けて万全の体制を整える」と語った。

スマートフォンは、前年同期比220万台増の960万台

 モバイル・プロダクツ&コミュニケーション(MP&C)の売上高は36.2%増の3890億円、営業利益は341億円増の59億円。大幅な利益の改善はスマートフォンの貢献によるものだ。

 スマートフォンは前年同期比220万台増の960万台。通期見通しは据え置き、4200万台とした。

 「5月から日本で販売を開始したXperia Aが、発売以来、全キャリアを併せた端末シェアで第1位を9週獲得した。6.4型のXperia Z Ultraも6月の発表以降、各方面から大きな反響があり、今後のビジネスにも期待が高まる。我々の技術のすべてをつぎ込んだものが評価を得ている。ソニーモバイルでは、スマートフォン、タブレットに加えて、ソニーの技術や資産を結集した魅力的な製品を提供する」と語った。

PCの販売台数は、130万台(前年同期比50万台減)

 一方、PCの販売台数は前年同期比50万台減の130万台。通期見通しも750万台から、620万台に下方修正した。

 「市場が台数ベースで2桁の減少が見込まれるなかで、VAIOは市場シェアは維持するものの、販売台数を下方修正した。6月に発売したWindows 8搭載のDuo 13およびPro13は好評。今後もエンターテメイント性を追求し、高付加価値帯の魅力ある製品に注力していく」とした。

 同部門では、PCをはじめとして、ハードウェアコストの米ドル建て比率が高く、円安が通期の損益に影響を与えるとして、通期の見通しを下方修正した。

液晶テレビの販売台数は310万台(前年同期比50万台減)

 ホームエンタテインメント&サウンド(HE&S)の売上高は9.3%増の2752億円、営業利益は134億円増の34億円。

 液晶テレビの販売台数は前年同期比50万台減の310万台。年間販売台数計画も、100万台減の1500万台とした。

 「テレビの販売台数は前年を下回ったものの、4K対応テレビをはじめとする高付加価値商品による単価アップと、為替が好影響となり、大幅に損益を改善している。2011年11月にテレビ事業の収益改善プランを発表し、それに取り組んできたが、この四半期は、製品ミックスの改善もあり、2010年度第1四半期以来、12四半期ぶりの黒字を達成した」という。

 テレビ事業の改善については、「手品はない」と前置きし、「固定費削減効果が年間を通じて貢献すること、材料費の改善、パネル調達の工夫、4Kを中心としたハイエンド製品のラインアップ、為替の影響が要因」とした。

 だが、第2四半期以降は、中南米、中東などの一部新興国市場の動向を慎重にみており、年間出荷台数を下方修正したと説明した。

デバイス、映画、金融など

 デバイスの売上高は9.7%減の1962億円、営業利益は51億円減の108億円。映画の売上高は3.6%増の1589億円、営業利益は86億円増の37億円、音楽の売上高は13.3%増の1120億円、営業利益は35億円増の108億円。

 また、金融の売上高は29.9%増の2527億円、営業利益は184億円増の460億円、その他の売上高は5.0%増の1306億円、営業損失は36億円減の108億円の赤字となった。

 加藤CFOは、「第1四半期でみられた追い風を、モメンタムに変えて、通期でのエレクトロニクス事業の黒字化をきっちりと達成したい」と、今後の事業成長に意欲をみせた。


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