Googleは3月13日、同社内でAndroid部門を率いてきた開発責任者、Andy Rubin氏が現職を退くことを発表した。後任はChrome and Apps担当バイスプレジデントとしてChromeを統括するSundar Pichai氏である。Pichai氏は現職と兼任、一方のRubin氏は別のプロジェクトを担当する模様だ。
Rubin氏はCarl Zeiss、Apple、そしてAppleからスピンオフしたGeneral Magic(Magic Capと呼ばれるPDAを開発)などを経て、「Sidekick」を開発したDanger(後にMicrosoftが買収)の創業に参画。そののちにAndroid社を設立。長年に渡り、モバイル端末のOS開発に力を注いだ。
そのAndroid社は2005年にGoogleに買収され、2007年に「Open Handset Alliance」とともに、無償で利用できるスマートフォンOSとして、あらためてAndroidを発表した。その後AndroidはHTC、Samsungなど多数のベンダーに採用され、先行したAppleのiOS/iPhoneと並びスマートフォンの主力OSとなっている。
今回の異動は、Googleの共同創業者兼CEOのLarry Page氏自らが発表した。Androidが多くの市場でiOSをしのぎ大成功をおさめる中、生みの親の退任は驚きをもって受け止められた。
Page氏は発表文で「Andyは、Androidでわれわれが夢見たクレイジーで野心的な目標をはるかに超え、強いリーダーシップを持つチームを築き上げた」とRubin氏の功績をたたえている。現在、Androidは60社以上のメーカーに採用されており、累計で7億5000万台以上の端末がアクティベーションされたという。Page氏はこれらに加え、Androidアプリストア「Google Play」に250億ものアプリが公開されていることにも触れ、巨大なAndroidエコシステムができていることを強調している。
「Andyは責任者の座を後任者に引き渡し、Googleで新しい章を開くと決定した」とPage氏は記している。Rubin氏がGoogleにとどまることは間違いないようだが、今後についてPage氏は「Andy, more moonshots(月ロケット発射のほか、特大ホームランなど桁外れの本塁打を意味する), please!」と記すにとどまり、具体的にどのプロジェクトに関わるのかは明確に記していない。
後任のPichai氏は「Chrome」を冠したウェブブラウザーとOSを統括する人物。GoogleがAndroidとChrome OSと2種類のOSを持つことには以前から疑問視する声があったが、Pichai氏のリーダーシップの下でAndroidがどのように進化するのかが注目される。なおPage氏は、「エコシステムを進めるためにプッシュするにあたって、SundarはAndroidの賭けですばらしい仕事をしてくれると信じている」と記している。