首都圏では欠かせない交通の足、タクシー。客が手を挙げて流しの空車を捕まえる、そんな利用スタイルが大きく変わるかもしれない。お客がタクシーに乗りたいと思った瞬間に、すぐタクシーがやって来る夢のようなサービス「ヘイロー」が今春登場するのだ。カギはタクシー運転手と乗客の「マッチング」にある。
東京のタクシーは不思議だ。どこでも流しの空車を見かけるが、必要なときに限って捕まらない。いつ、どこでお客を乗せているのだろう?
運行台数は確かに多い。東京には、日本のタクシー総台数約25万台の20%にあたる5万2000台前後のタクシーが走り回っている。その一方で、タクシーの年間実車率はわずか40%程度。つまり、タクシーと乗客が互いにリーチできていない。
タクシーと乗客がもっと「出会える」ようなシステムを構築すれば、お互いにとって大きなプラスになるはず。ここにビジネスチャンスを見いだしたロンドン発のタクシーサービス「ヘイロー」が'13年春、東京に上陸する。
ヘイローは、スマートフォンのアプリを利用してタクシーを乗客の位置まで誘導するサービス。乗客が持つスマホのGPS情報から、アプリを介して一番近い位置にいるタクシーを呼ぶ。タクシー配車アプリとしてはすでに40万以上のダウンロードを誇る日本交通グループの「全国タクシー配車」があるが、ヘイローが新しいのは、タクシー運転手が持つスマートフォンを活用し配車プロセスを効率化できる点だ。
乗客がスマートフォンの専用アプリで配車を申し込むと、付近を走るタクシー運転手のスマホにその乗客の現在位置が通知される。従来のアプリと異なるのは、タクシー無線室を介さないこと。これまでは乗客の情報がタクシー会社の無線室に集約され、オペレーターの手で運転手に伝えられていた。人の手が入ることで、情報処理に限界があったわけだ。それに対しヘイローは情報がダイレクトにやり取りされるため、すぐに運転手がアプリの地図や電話で確認して迎えに行ける。
あらかじめクレジットカード情報を登録しておけば、降車時の面倒な支払い手続きも不要。サービスの利用料は上乗せされないので、乗客は正規のタクシー料金を払えばいい。自分のメールアドレス宛に利用明細が届くので、後から金額を確認可能だ。ユニークなのは、運転手を☆でランク付けできること。評価が高い運転手が優先的に配車される仕組みなので、タクシーのサービス向上も図れる。
