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Windows 8を堪能するタッチパネルノート&デスクトップ特集 第1回

一台二役 Windows 8ならではの変形ノート5機種をチェック

2012年11月12日 12時00分更新

文● 小西利明/ASCII.jp編集部

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 スライド型はVAIO Duo 11(以下VAIO Duo)とdynabook R822(以下R822)の2製品を取り上げた。両者とも閉じた状態では厚みのあるタブレット形態で、ディスプレーをスライドさせるとキーボードが現われて、ノートパソコン形態になる。ディスプレー面が常に露出しているのが特徴であると同時に、傷の面で不安を感じる人もいるだろう(どちらもディスプレー表面には強化ガラスを採用している)。だが同じスライドと言っても、この2製品の変形機構はまったく異なる。

 VAIO Duoはディスプレーの左右上端を摘まむようにして、持ち上げるようにスライドさせると、ヒンジの機構がカチッと動いてディスプレーが斜めの状態で固定される。斜めに開いたディスプレーは、ヒンジとバックプレートでしっかり支えられているので、タッチしても画面がぐらついたりしない。なおヒンジの詳細については、こちらの記事も参照していただきたい。

VAIO Duoの変形機構「Surf Slider」は、80点もの部品を使う複雑なヒンジで実現されている

開いた状態のディスプレーを支え、ケーブル類を隠すバックプレート。デザイン的にも秀逸だ

 変形の操作がシンプルですばやく形を変えられ、場所も取らないのがVAIO Duoの変形機構の利点だ。そのかわり、ディスプレーの角度が固定されてしまう制約もある。また、開いた状態のディスプレーの下端がボディーの中央付近に来る構造上、キーボード面の有効面積が制約される。少ない面積をキーのサイズやタイプ感の確保に使ったため、タッチパッドを装備できなくなった。キーボード中心にはスティック状の光学式ポインターを備えているが、マウスやタッチパッド代わりに使うには慣れを要する。

VAIO Duoのキーボード部分。ディスプレーの下端が中央にくる関係で、キーボード面の有効面積は制約される

タッチパッドの代わりに装備された光学式ポインター。スティックというよりも超小型のタッチパッドといったイメージで操作すると慣れやすいかも

 R822のスライド変形機構は、ディスプレー面全体を後方にスライドさせたうえで、ヒンジを支点にしてディスプレー部の角度を変えると、クラムシェル型ノートのような形態に変わる仕組みになっている。VAIO Duoとは異なり、この方式ならキーボード面の有効面積は通常のノートと比べてもそれほど変わらない。また、ディスプレーの角度も自由に変えられる。

R822の変形パターン。まずタブレット状態から……

ディスプレー面を後方にスライドさせて……

ディスプレーの上部をつまんで起こすと完成

ノート形態のR822の背面。ディスプレー左右にスライドレールがあり、根元のヒンジがスライドと角度変更の2つの機能を備える

同じスライド型だが、R822のキーボード面は広く、通常のタッチパッドも備える

 一方でR822の変形機構では、VAIO Duo 11のようにすばやく形を変えるというのは難しい。ディスプレーを引き出し、適切な角度に傾けるという2アクションが必要だからだ。ヒンジの機構がしっかりとした強度を持っているため、ディスプレーを引き出すにもそれなりの力が要るし、飛行機の座席のような狭い空間で引き出すのも、ちょっと手間取るかもしれない。2方式のどちらに優劣があるというものではないで、利点と欠点を踏まえたうえで、店頭や体験イベントなどで実際に試してみるのをお勧めする。

重さと携帯性をチェック

 次はモバイル製品では重要な重さと携帯性をチェックしてみよう。まず各製品のサイズと質量、重さと関連する要素としてバッテリー駆動時間を並べてみた。

製品名 サイズ 質量 バッテリー
VAIO Duo 11 幅319.9×奥行き199×高さ17.85mm 約1.305kg 約7時間
dynabook R822 幅326.5×奥行き213.0×高さ19.9mm 約1.49kg 約6時間
レッツノートAX 幅288×奥行き194×高さ18mm 約1.155kg 約9時間
IdaePad Yoga 13 幅333.4×奥行き224.8×高さ16.9mm 約1.5kg 約7.4時間
STYLISTIC QH77/J 幅302×奥行き195×高さ12.7mm/
幅302×奥行き203×高さ26.1mm
約850g/約1.7kg 約4.8時間/約10.7時間

STYLISTIC QH77/Jの仕様は、本体のみ/ドッキング状態を併記。

 11.6型ディスプレーを搭載し、1.2kgを下回るレッツノートAXのサイズと軽さが光る。しかも標準添付のバッテリー1個で最大9時間。サブバッテリーも併用すれば最大16時間の動作が可能という(いずれも公称値)。こちらの記事での計測では、実動時間が公称値の5~7割程度となっている。一方で13型のYogaは面積と重さは大きいものの、実は薄さは一番薄い。

最もコンパクトなレッツノートAX。バッテリー駆動時間も長めで、バッテリー交換の機能も備える

Yogaの左側面。広めの面積を生かしてボディーは薄くデザイン。有線LANはもたないが、フルサイズのHDMI出力を備える

 なお、今回評価した5製品のうち、STYLISTICを除く4機種がUltrabookとなっている。STYLISTICはタブレット本体だけなら厚さ12.7mm、重さは850gと「ちょっと重めのタブレット」程度だが、キーボードドックと合体した状態では、厚さは2倍以上の26.1mmに増え、重さも1.7kgへと重くなる。11.6型ディスプレーの製品としては、いささか重く大きい。一方で、タブレット形態ではバッテリー駆動時間が短いという問題もあるので、どっちつかずな印象を受ける。

STYLISTICのドック側は、交換可能なバッテリーを内蔵しており、タブレット本体への充電も可能。その代わりドックが重く厚いのは致し方ないところか

 携帯性ではレッツノートAXに軍配があがり、次点がVAIO Duoというところだろうか。

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