スライド型はVAIO Duo 11(以下VAIO Duo)とdynabook R822(以下R822)の2製品を取り上げた。両者とも閉じた状態では厚みのあるタブレット形態で、ディスプレーをスライドさせるとキーボードが現われて、ノートパソコン形態になる。ディスプレー面が常に露出しているのが特徴であると同時に、傷の面で不安を感じる人もいるだろう(どちらもディスプレー表面には強化ガラスを採用している)。だが同じスライドと言っても、この2製品の変形機構はまったく異なる。
VAIO Duoはディスプレーの左右上端を摘まむようにして、持ち上げるようにスライドさせると、ヒンジの機構がカチッと動いてディスプレーが斜めの状態で固定される。斜めに開いたディスプレーは、ヒンジとバックプレートでしっかり支えられているので、タッチしても画面がぐらついたりしない。なおヒンジの詳細については、こちらの記事も参照していただきたい。
変形の操作がシンプルですばやく形を変えられ、場所も取らないのがVAIO Duoの変形機構の利点だ。そのかわり、ディスプレーの角度が固定されてしまう制約もある。また、開いた状態のディスプレーの下端がボディーの中央付近に来る構造上、キーボード面の有効面積が制約される。少ない面積をキーのサイズやタイプ感の確保に使ったため、タッチパッドを装備できなくなった。キーボード中心にはスティック状の光学式ポインターを備えているが、マウスやタッチパッド代わりに使うには慣れを要する。
R822のスライド変形機構は、ディスプレー面全体を後方にスライドさせたうえで、ヒンジを支点にしてディスプレー部の角度を変えると、クラムシェル型ノートのような形態に変わる仕組みになっている。VAIO Duoとは異なり、この方式ならキーボード面の有効面積は通常のノートと比べてもそれほど変わらない。また、ディスプレーの角度も自由に変えられる。
一方でR822の変形機構では、VAIO Duo 11のようにすばやく形を変えるというのは難しい。ディスプレーを引き出し、適切な角度に傾けるという2アクションが必要だからだ。ヒンジの機構がしっかりとした強度を持っているため、ディスプレーを引き出すにもそれなりの力が要るし、飛行機の座席のような狭い空間で引き出すのも、ちょっと手間取るかもしれない。2方式のどちらに優劣があるというものではないで、利点と欠点を踏まえたうえで、店頭や体験イベントなどで実際に試してみるのをお勧めする。
重さと携帯性をチェック
次はモバイル製品では重要な重さと携帯性をチェックしてみよう。まず各製品のサイズと質量、重さと関連する要素としてバッテリー駆動時間を並べてみた。
製品名 | サイズ | 質量 | バッテリー |
---|---|---|---|
VAIO Duo 11 | 幅319.9×奥行き199×高さ17.85mm | 約1.305kg | 約7時間 |
dynabook R822 | 幅326.5×奥行き213.0×高さ19.9mm | 約1.49kg | 約6時間 |
レッツノートAX | 幅288×奥行き194×高さ18mm | 約1.155kg | 約9時間 |
IdaePad Yoga 13 | 幅333.4×奥行き224.8×高さ16.9mm | 約1.5kg | 約7.4時間 |
STYLISTIC QH77/J | 幅302×奥行き195×高さ12.7mm/ 幅302×奥行き203×高さ26.1mm |
約850g/約1.7kg | 約4.8時間/約10.7時間 |
STYLISTIC QH77/Jの仕様は、本体のみ/ドッキング状態を併記。
11.6型ディスプレーを搭載し、1.2kgを下回るレッツノートAXのサイズと軽さが光る。しかも標準添付のバッテリー1個で最大9時間。サブバッテリーも併用すれば最大16時間の動作が可能という(いずれも公称値)。こちらの記事での計測では、実動時間が公称値の5~7割程度となっている。一方で13型のYogaは面積と重さは大きいものの、実は薄さは一番薄い。
なお、今回評価した5製品のうち、STYLISTICを除く4機種がUltrabookとなっている。STYLISTICはタブレット本体だけなら厚さ12.7mm、重さは850gと「ちょっと重めのタブレット」程度だが、キーボードドックと合体した状態では、厚さは2倍以上の26.1mmに増え、重さも1.7kgへと重くなる。11.6型ディスプレーの製品としては、いささか重く大きい。一方で、タブレット形態ではバッテリー駆動時間が短いという問題もあるので、どっちつかずな印象を受ける。
携帯性ではレッツノートAXに軍配があがり、次点がVAIO Duoというところだろうか。
この連載の記事
-
第3回
PC
普通のノートでタッチを使えるWindows 8モバイルノート -
第2回
PC
家族でも一人でも楽しめるWindows 8一体型PCをチェック -
PC
Windows 8を堪能するタッチパネルノート&デスクトップ特集 - この連載の一覧へ