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塩田紳二のWindows 8 IN-N-OUT 第24回

Surfaceから見えるWindows RTの実像と、将来PCへの影響

2012年11月09日 12時00分更新

文● 塩田紳二

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SurfaceはなぜARMプロセッサーを選んだのか?

 Surfaceのハードウェアは、同じTegra 3を使うASUSTeKの「VivoTab RT TF600T」と、大きく違わないと思われる。カメラのスペックなど一部の周辺デバイスには違いがあるものの、Windows RTでは最低限のハードウェア条件がかなり決められているので、メモリーや必須センサーなどは決まってしまう。SoCが同じなら、SoCに内蔵される周辺回路も同じになるので、主要な部分は変わらないわけだ。

 またWindowsはWindows 7以降、ストレージのライフタイムにおける最低必要容量は32GBとされているため、Windows RTのストレージの最小サイズも同一だ(ユーザー使用領域は半分程度だが)。違いが出やすいのは、筐体やバッテリー容量といった物理的な部分の方だ。

 ボディーにスタンドを内蔵し、キーボードを兼ねるカバーの仕組みを持つ筐体が、Surfaceの一番の特徴と言ってもいい。また、32GBのWi-Fi版で最低499ドルという価格はiPadの最小構成と同じで、あきらかに対抗意識が感じられる。逆に言えば、ARMプロセッサーを使わない限り、このクラスの価格の実現は難しかった、と言えそうだ。

 従来の戦略どおり、製品の開発はPCメーカーに任せるということもできただろう。しかし製品価格をiPadやAndroidタブレット並みに引き下げるには、マイクロソフト自身がビジネスを行なうしかなかったのではないか。マイクロソフトならWindowsのライセンス料は不要だし、ビジネスとしてはWindowsストアや音楽、映画などの配信サービスなどの売り上げが見込める。

 アップルも立場は同様で、グーグルもNexusシリーズで同じ土俵に立てる。それ以外でこの土俵に立てるのは、ストアとしての売り上げが期待できるAmazonぐらいだろうか? それ以外のPCメーカーは、純粋にハードウェアの売り上げで商売をするしかないし、ライセンス料を支払う関係から、思い切った低価格化にも限度がある。結局ハードウェアを豪華にしてSurfaceと差別化する一方で、iPadやAndroidタブレットとの勝負は、Surfaceに任せるといった感じになるのではなかろうか。

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