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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第58回

Samsung対Apple審理 模倣の主張はどこまで認められる?

2012年08月08日 12時00分更新

文● 末岡洋子

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全世界での台数では
SamsungはAppleを引き離しつつある

 SamsungとAppleは激しいトップ争いを展開しているが、規模と言う点ではSamsungが少しずつAppleを引き離しつつあるようだ。2012年第2四半期(4~6月期)、Appleのスマートフォン出荷台数は2600万台、Samsungは5000万台と予想されており、単純な台数の点では世界で流通しているSamsungの優位が否めない。また、最新のフラッグシップ端末GALAXY S IIIに対し、Appleが秋に発表する予定のiPhone 5でどう対抗するかが注目されている。

 両者はアメリカ、ドイツなど世界各国で訴訟を繰り広げており、主にAppleがデザインを主張するのに対し、Samsungは無線通信などの技術特許を主張している。Appleによるデザインの模倣の実証がうまくいくかどうかが今回の争点となるが、OSなど内部が異なることを考えると簡単に認められるかどうかはわからない。

 6月、判事のLucy Koh氏は「GALAXY NEXUS」「GALAXY Tab 10.1」の販売差し止めを仮ではあるが一度は認めている(その後、Samsungが申し立てたことで解除)。一方、イギリスでは7月初め、Samsung製品(GALAXY Tab)はコピーではないとしてSamsung勝訴となったが、「AppleのiPadほどクールではない」という痛い言葉ももらっている(関連記事)。

わずか3年でiPhone型のスマートフォンが世界を席巻
一方大変儲かるのが弁護士事務所

 コピーという言葉を聞いていて、2009年に当時はまだ独立した企業だったSymbianが開催したイベントで登壇した、マーケティング専門家で「キャズム」という言葉の提唱者であるGeoffrey Moore氏のスピーチを思い出した。

 Moore氏は当時のスマートフォンをPC黎明期にたとえ、Symbianに対して、「(先行者である)iPhoneを迅速に模倣せよ」とアドバイスしていた。新しい技術の登場と人々が受け入れる流れから、iPhoneが差別化するための要素を少しでも早くに無効化することでiPhoneの先行者としての優位性が薄くなるというものだ。

 当時はまだGALAXYは登場しておらず、SamsungはこのイベントにおいてSymbian 60ベースの端末「i7110」などを発表した。あれからわずか3年、業界はすっかり様変わりした。Moore氏の助言を聞いていたかはわからないが、結果としてSamsungが見事にiPhoneの優位性を薄くしたのは明らかだ。そして、Samsungではなく、Symbian/Nokiaが同じ戦略をとってシェアをのばしたのなら、AppleはNokiaを訴訟のターゲットにしただろう。

 その一方で、訴訟によるメリットを直接受けているのは弁護士だ。Arstechnicaによると、Appleが雇った弁護士事務所のMorrison & Foersterのお値段は1時間あたり526ドル、Samsungが起用したQuinn Emanuel Urquhart & Sullivanは1時間あたりの平均で592ドルとのこと。今回の件ではSamsungに平均821ドルを課金しているとのことだ。

Samsungが雇ったQuinn Emanuel Urquhart & Sullivanの弁護士の年収は数億円だとか


筆者紹介──末岡洋子


フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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