本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説を、余すことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。
UNIX使い向けを始め、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。
「Dockコネクター」の働きを知る
アップル製品において「Dock」は、もっとも誤解されやすい用語のひとつといっていい。OS Xにおいては、Finderのデスクトップ下部に表示される領域であり、ランチャー兼タスクスイッチャーの常駐型アプリケーション(Dock.app)でもある。第3世代以降のiPodおよびiOSデバイスに備え付けの30ピン端子も「Dock」だ。そして後者のDock(コネクター)は、アナログ/デジタル信号が共存するという点で誤解を招きやすくなっている。
Dockコネクターのピンアサインは公表されてはいないが、アップルの認証を受けていないDock対応サードパーティー製品が流通していることからも分かるとおり、その仕様の多くは解析が進んでいる。
利用頻度の高いものから説明していこう。USB送受信用のピンがあることはお察しのとおりで、このピンを介してiTunesと同期したりOS XにUSBストレージとしてマウントすることが可能となっている。近頃は知らないユーザーも多いようだが、かつてiPodにはFireWire(IEEE1394)接続タイプがあり、そのとき使用されていたFireWire送受信用のピンも存在する。これらのピンは、いずれもデジタル信号のみを扱う。ほかに電源(+3.3V)と接地(GND)も重要だが、とりあえず置いておく。
一方、アナログ信号用も存在し、ステレオ/オーディオ出力、またビデオ出力および色信号/輝度信号のピンが用意されている。iPod/iPhoneの周辺機器である「Universal Dock」の背面にあるLINE OUTとS-VIDEO OUTは、Dockコネクター経由で受け取ったアナログ信号を、このピンからそのままアナログ出力しているものだ。
では、どの部分でデジタルからアナログに変換しているかというと、答えは「Dockコネクター以前」となる。iPod/iOSデバイス内部のデジタル/アナログ変換装置(DAC)がそれで、オーディオ機器として見た場合、音質はそのDACに大きく依存するわけだ。
そして第4世代以降のiPodおよびiOSデバイスは、内部のDACを経由せずデジタル信号をスルーさせる「デジタル出力」にも対応している。iOSデバイスからデジタル信号を扱えるのは、現在のところアップルと機密保持契約を結んだメーカーの製品のみだが、iPod/iOSデバイスの人気を踏まえ、高級オーディオではDockのデジタル入力に対応した製品が増えつつある。これが、冒頭に記した「Dockにおけるアナログ/デジタル信号の共存」の現状だ。
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