ヘッドホンアンプで高音質に
第4世代iPodおよびiOSデバイスの利用を前提にした場合、iTunesライブラリー経由で取り込んだサウンドデータは、特に機材を用意しなければアナログで、Dockのデジタル入力に対応した機器があればアナログ/デジタルの両方で聴くことができる。S/N比の面ではデジタル入出力が有利であり、当然音質にも影響してくる。
ではアナログ入出力はダメなのか……というと、そうでもないのがオーディオの奥深いところで、実際iPod/iPhoneのオーディオアナログ出力も「聴ける」。もちろんiPod/iPhoneに内蔵されたDACの性能に負うところが大きく、高性能DACを搭載した(Dockデジタル入力対応の)オーディオ機器の音質には及ばないが、それなりのヘッドホンアンプを用意し、Dock経由でアナログ入力すれば、直接iPod/iPhoneのステレオミニジャックにヘッドホンを差し込むより上質な音を楽しめる。Dockのアナログオーディオ出力は、iPod/iPhone側の可変抵抗を受けずに高出力の信号を得られるため、今度はヘッドホンアンプの性能が音質を大きく左右するのだ。
たとえば、イタリアOpenItemの「Carot One Fabriziolo」(輸入元:ユキム、直販価格2万8000円)は、そのような使い方にピッタリな小型ヘッドホン/プリアンプ。初代iPodを厚めにしたほどの筐体から飛び出た真空管に目を奪われがちだが(LEDでチェレンコフ光のようにライトアップ!)、これがヘッドホンアンプ/プリアンプ部であり、暖かみある本機の音質を引き出している中核部品だ。
アナログ入出力の場合、ケーブルも吟味したいもの。とはいっても、Apple Storeに「お墨付き」のDock/3.5mmステレオミニプラグは見当たらないので、インディーズを探すことになる。筆者が目を付けたのは、オヤイデ電気(小柳出電気商会)が取り扱う「Fiio L3」(定価1890円)。単一方向性結晶無酸素銅線を採用、Dockコネクターとミニプラグの両方に24K金メッキを施すなど、しっかりとした作りになっている。
iPhone 4S上の音源(ALAC)で試聴してみたが、iPod/iPhoneに直接接続した場合との差は歴然。人間の聴覚に依存するだけに、客観的な数値に基づいた説明はできないが、いつもの曲がより艶やかに聞こえたことは確かだ。
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