
アスキー総研 遠藤所長
MEDIVERSE(一般社団法人メディア事業開発会議)と、アスキー総合研究所(アスキー総研)は、4月25日に「『今、TVを見ているのは誰だ』1万人調査データでフォーカスする顧客行動」と題するセミナーを実施した。会場は広告業界やメディア関係者を中心に30名が集まった。
テレビについては、「テレビの影響力は完全に落ちている」「ネットで交わされる話題も実際はテレビ発のものが中心」など、さまざまな議論が見られる。しかし、現実はどうなのだろうか。
アスキー総研がネット・コンテンツの動向を調査した「メディア&コンテンツサーベイ(ネット時代の1万人調査)」から、その一端を見ることができる。そして、アスキー総合研究所の遠藤諭所長はテレビを取り巻く状況について、6つのポイントを挙げて紹介した。
【テレビの現実 その1】
2010→2011年でテレビ視聴時間がついに減った
テレビ創世記から一貫して増え続けてきた、テレビ視聴時間がメディア&コンテンツサーベイのデータでは、152分(2010年末)→134.1分(2011年末)と約18分も減少している。
地上デジタル放送への移行で、稼働しているテレビの台数が減ったことが第1の要因として考えられるが、実際には1日に3時間以上テレビを見ている人の数も減っているという。特に60年代女性の減少は大きい。
【テレビの現実 その2】
テレビは主婦メディア 専業主婦が視聴率を上げている
ある意味予想どおりではあるが、データでもハッキリしている。20~40代の専業主婦のテレビ平均視聴時間は回答者全体の平均を大きく上回っている。
【テレビの現実 その3】
テレビは「個メディア」になっている 1人で見るモノ
ラーメンが1人で食べる“個食”であるように、テレビは1人で見る個メディアと遠藤所長は強調。子供がいる人の半分しか、子供と一緒にテレビを見ていない。
さらにはワンセグも個メディアとして、一般に考えている以上に見られていると分析。テレビは1人で見ているものというのを前提として考えることが必要なのではとした。
【テレビの現実 その4】
録画機能付きテレビで録画文化が変わってきている
2010年後半から2011年前半にかけて、通常の約3倍のテレビが国内で出荷されている。そして、その多くに番組録画機能が搭載されており、利用率も2010年の調査から大幅に伸びている。一方で、レコーダーやテレビの録画機能を使っていないのが20代である。
【テレビの現実 その5】
20代のメディア行動はかなり特徴的
テレビを録画しているかという部分でもそうだったが、20代はかなり特徴的な行動を見せている。ネット動画の平均視聴時間でも圧倒的な数字を見せている。
ちなみにそんな彼らが主に消費しているのはアニメ。というのも、10代後半から20代をメインターゲットにしているテレビ番組はアニメくらいしかない状態が続いており、自然な結果ともいえる。また、コンテンツ自体に最もお金を使っているのが、この20代であり、20代が持つ24時間の奪い合いがコンテンツ業界の主戦場と言える。
【テレビの現実 その6】
スマートフォンやソーシャルメディアの影響は
まだ小さいが今後は大きくなる
スマートフォンの所有率が最も高いのが20代。特にiPhoneは20代女性の所有率が一番高い。ソーシャルメディアでは今年就職した世代が、大学入学時にmixiに入会した層。データ的にはまだ明白な傾向は出ていないが、今後は間違いなく影響が拡大すると思われる。
最後にクラスターごとに見ている特徴的な番組の一例が表示された。
