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最新無線LANで爆速ワイヤレス人生を満喫 第2回

より速く、より遠くへ! 無線LAN最新機器ベンチマーク

2011年09月21日 16時00分更新

文● 池田圭一

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 無線LAN機器を選ぶとき、どの部分を重点的に調べればよいのか? 2回目となる今回は、スペックからは見えてこない各機器の「性能」の違いについて、詳細なベンチマークテストの結果から考察してみよう。

 どの機種もIEEE802.11nという標準規格を採用しているため、パッと見には性能も同じだと思いがちだ。しかし、無線LAN親機と子機の距離や障害物の有無、利用周波数帯の違い、接続モードの違いなどにより、実際には接続性も速度も大きく異なっていたのだ!

無線LANは有線LANと比べて速いの? 遅いの?

 無線LANの速度には2つある。電波信号を識別・認識して接続が成立する速度と、実際にデータ転送を行なったときの速度だ。ここでは「接続速度」と「実効データ転送速度」としている。このうち、私たちに関係してくるのは実効データ転送速度、ある容量のファイルを無線LAN経由でやり取りしたときに、どれぐらい時間がかかるのかという値だ。

 容量1MB(メガバイト)=8Mbit(メガビット)のファイルを送るのに1秒かかったのなら、8Mbps(bit per second)ということになる。ここから計算すると、接続速度450Mbpsの場合は1秒間に約56MBのファイルを送れることになるのだが……、無線LANだとそうはうまくいかない。空間には、いろいろな周波数の電波(電磁波)が飛び交っているため、その中から通信相手の無線LAN電波だけを拾い出すのに識別コードが必要になる。

テスト1A:有線LANでの実効データ転送速度は?

 今回、すべてのテストで利用するPCとネットワークシステムの基本性能を知るため、ギガビット接続(接続速度1Gbps=1000Mbps)での実効データ転送速度を調べた。

10MB 100MB 500MB
送信516281189
受信918924936

※送信:ノートPC→デスクトップPC、受信:デスクトップPC→ノートPC、単位はすべてMbps

 実際の利用状況を想定し、内蔵HDDから10M/100M/500MBのZIPファイルを各5回転送し、平均値を記載した。デスクトップPCの性能が低くHDDへの書き込みが遅いため送信側が遅くなっているが、受信側ではほぼ想定できる値(実効データ転送速度)となっている。

テスト1B:無線LANの実効データ転送速度は?

 無線LANでは荷物(データ)にタグ(信号識別用のコード)を付ける。有線LANとは違って無限の経路をたどる無線LANでは、このタグ(信号識別用のコード)が複雑になって大きいため、相対的に荷物(データ)部分が小さくなり、実効データ転送速度も遅くなってしまう。一般的にその割合は、接続速度の半分ほどだと言われている。

 11n規格に準じた無線LAN機器で一般的な接続速度300Mbpsで比較した。デスクトップPCと、無線LAN親機をギガビット接続し、ノートPC/デスクトップPC間の転送速度を測定した。

実際に調べてみたのが次のグラフだ。

>
機種 送信 受信
MZK-WG300NXPU120.2077.53
WN-G300DGR77.0498.99
AtermWR8700N96.59163.24

※使用機材
プラネックスコミュニケーションズ「MZK-WG300NXPU」
アイ・オー・データ機器「WN-G300DGR」
NEC「AtermWR8700N」
※単位はすべてMbps

 2.4GHz帯で300Mbps接続が可能なものを用いている。無線LAN親機と子機(ノートPC)は、至近距離(同室、距離約1.5m)に置き、2.4GHz帯のデュアルチャンネル(40MHz)で、接続機器(300Mbps)によっては送信/受信の実効速度に大きな違いが出た。

 なお、暗号/復号化の負荷があるため、無線LANのセキュリティも速度に影響する。メーカー発表の実効データ転送速度では、セキュリティなしの状態で測定しているものもあるが、今回のテストでは実際の利用シーンに合わせるため、全機種とも現状で最高強度かつ、唯一の信頼できる無線LANセキュリティともいえる「WPA2(AES)」を使っている。

 有線LAN(ギガビット)と比べたら敵わないのはテスト前から明らかだが、おおむね80Mbps前後の速度が出ており、一般的な有線LANの100BASE-TX(接続速度100Mbps、実効データ転送速度90~95Mbps)と遜色ない使い方ができることがわかる。送受信の速度差は各製品の接続モードの微妙な違いが影響していると思われる。AtermWR8700Nだけが受信時に高速なのは、MIMOの2対3モードによるものだろう。

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