電話代だけで月16万円ということも
―― 次はパソコン通信にいくらかけたかという話です。
林 PC-8001が当時16万8000円だったんですよ。あと、モデムとつなぐときにまたインターフェースが必要だったんです。そして、そのインターフェースをつなぐためにさらに基板を買わないといけなかった。
遠藤 基板作ったんですか?
林 いや、ぼくはハンダごて握れない人なので、いじれる人につくってもらって。その部品代が1200円くらいで、あとモデムと50メートルくらいのモジュラーケーブルを買ってきて。親がいないときにひっそりと自分の部屋にバレないように入れました。
―― 当時はまだMacじゃなかったんですか?
林 Macも80年代くらいには出てたんですけど、日本じゃ高すぎたんですよ。アメリカ行くとMacが学割で6割引くらいで買えたんです。アメリカに戻ったときしばらくはパソコンなしの生活だったんですけど、そのうちにガマンできなくなって買ったんです。Macintosh SEっていう、日本で買ったら120万円くらいのヤツですね。当時アメリカの学生は、Mac SEとMS Wordの4.0とImage Writerを全部セットにしても2500ドルくらいだったんです。
遠藤 日本だとImage Writerだけでもすげえ価格だったですね。
―― 会場からのアンケートだと、いちばん高い人で450万円くらい使ってます。
遠藤 ぼくの知り合いだと年賀状つくるのに500万円ってのがありましたよ。
―― それはすごい……。
遠藤 ぼく自身はいくら使ったかあまりおぼえてないんですけど、思い入れのあるマシンはOASYS Pocketですね。当時からモバイルがやりたくて。会社から当時アナログのケータイが与えられたんですよ。で、アナログのデータ通信っていうのがあってですね。あれを差してやってました。
林 パソコン通信って言ってもパソコンだけじゃないんですね。
遠藤 そう、ワープロもあったんですよ。いろいろ買ったんですけど、やっぱりそれがいちばん印象的ですね。
―― 電話代に関してだと、会場は「親が怒りださない程度」とか「書けない」、月1~2万円というのが多かったですね。
林 ぼくはすごいUNIXに憧れがあったんで、「栃の木ネット」っていう、個人の方がPC-UXでPC-98をUNIXっぽくして解放しているところがあったんですね。それでUNIXの勉強しようと思ってめちゃくちゃアクセスしてたら、16万円くらい行っちゃって。
遠藤 それパソコン買ってOS入れた方がいいじゃない。
林 そうなんですよ。でも親はまさか自分の息子がパソコン通信やってるなんて知らないもんだから、妹が「もうあなたは一切電話しちゃダメ」って怒られてました。