本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説を、余すことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。
UNIX使い向けを始め、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。
ジャストシステムの創業者として、また「ATOK」や「一太郎」など日本語処理関連ソフトの開発者として、日本のコンピューター史上にその名を残す浮川和宣氏と浮川初子氏。2009年10月にジャストシステムを辞して新会社「MetaMoji」を設立、新たなチャレンジを始めたことは記憶に新しい(関連記事)。
そのMetaMojiが、iPad専用アプリ「7notes」(セブンノーツ)をリリースした(関連記事)。筆者も早速これを入手し試したところ……お世辞抜きに、かなりイイ。「タブレットデバイスの日本語入力、かくあるべし」とでも言おうか、従来型日本語入力システムのひとつ上を行く印象だ。もう試した読者諸兄も多いこととは思うが、利用したうえでの使用感なり不明点の自己解決策なりを述べてみたい。
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7notes | |||
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作者 | MetaMoJi | 価格 | キャンペーン価格900円 (2月末日まで。通常価格1500円) |
ファイル容量 | 31.3MB | カテゴリ | 仕事効率化 |
対応デバイス | iPad | 対応OS | iOS 3.2以降 |
「7notes」のココがいい
7notesは「手書き入力対応のメモ帳アプリ」だが、そう簡単には言い切れないほど革新的な概念を備えている。そのひとつが、「手書き文字と変換文字の混在」だ。
7notesの文字入力システム「mazec」(マゼック)には、「書き流し入力」と「交ぜ書き入力」という2つの入力モードがある。ワープロに限らず、従来のテキスト情報を扱うソフトウェアでは、ひとつの文字には1文字分のスペース/データ量が割り当てられるのが一般的で、各文字にはキャラクターコードが割り当てられ、実際のテキストデータはキャラクターコードの羅列に過ぎない。しかし7notesでは、従来型のキャラクターコードベースのテキストデータと、手書きされたベクターベースのデータが混在しているのだ。
手書きした文字を変換する過程では多少のタイムラグが発生してしまい、急いでメモするような場面には不向きだが、手書き文字そのままを入力する「書き流し入力」ではそれがない。それが単なるベクターデータとしての扱いならばともかく、サイズの変更など修飾を文字単位で行なえるので、7notes上で利用する限り「手書き文字」と「従来型文字」の違いはわずか。
交ぜ書き入力モードも斬新だ。従来型の手書き入力システムは、文字認識という言葉に自縄自縛となったか、入力された文字をテキストとして認識するOCR的機能の追求にばかり目が向いていた。しかしmazecでは、「かな」だけでなく漢字とかなが混在する文字列も変換できるなど、柔軟なかな漢字変換機能を実現している。たとえば、「稟議」と入力するには、「りんぎ」と「りん議」、あるいは「稟ぎ」のいずれからでも変換できる。
手書き文字認識エンジンには仏VisionObjectsの「MyScript」、変換には「OpenWnn」と奈良先端大学(NAIST)が整備した辞書を利用しているそうだが、認識精度は上々。予測変換機能も備えている。ただし、書き流し入力した文字列を後から変換する機能は未実装だ。
どうしても手書き対応を含めた文字入力システムに目が行きがちだが、ワープロ/エディタソフトとして機能にも目を見張るものがある。「ユニット」の概念はそのひとつで、ユニットごとに画像や文章をまとめておきドラッグして並べ替える、といった使い方が可能になる。
なお、現時点ではPDFに変換してメールに添付する以外、PCでテキストデータとして再利用する方法はない。書き流し入力の部分はベクター画像として扱われるため、編集は不可能。あとから文字認識する機能へのニーズは高いと思われるが、そのあたりを含め今後のバージョンアップに期待だ。
(次ページへ続く)
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