1つのボディに2つのレンズと撮像素子、裸眼で立体視ができる液晶パネルを装備した、富士フイルムの3Dデジタルカメラ「FinePix 3D Real W1」(関連記事)。昨年、3Dテレビに先駆けて登場して話題となったが、その後継モデルとなるのが今回紹介する「FinePix 3D Real W3」(以下W3)である。
大きな機能アップポイントはHD動画が撮影可能になった点だが、そのほか背面液晶パネルのワイド化など細かくモデルチェンジしている。
有効1000万画素の1/2.3型CCDセンサーや光学3倍ズーム(35mm判換算で35~105mm相当)レンズといった基本スペックはW1と同じ。背面液晶パネルはW1の4:3から16:9のワイドとなり、これに合わせて画像も横長(16:9フォーマット)で撮影できるようになった。
本体サイズはW1の幅123.6×奥行き25.6×高さ68mmから幅124×奥行き27.8×高さ65.9㎜となり、スペック上ではW3の方が厚い。ただしW3の最薄部が21mmとなっているためか、W1より薄く感じる。
横長のフォルムは一緒だが、操作系はかなり変更されている。W1では液晶両側に配置されたボタンで各種操作を行なったが、W3はワイド液晶パネルの搭載により、左側にあった視差調整は本体上面に、右側のメニュー/カーソル操作系はモードダイヤルとカーソルキーとなった。
W1の液晶両側に左右対称にボタン類が並ぶという形状は確かに面白かったものの、やはりモードダイヤルとカーソルキーというデジタルカメラとしてはごく普通の操作系は迷いなく使えて安心できる。
なにより使いやすくなったのは、上面に移動した視差調整レバーだ。W1のボタンでも十分操作性はよかったのだが、上面のレバーはまるでズームボタンのように操作でき、右でズーム、左で視差を調整できるのはかなり使いやすい。
視差調整に関しては以前のW1の記事でも解説したが、要するに3D撮影時にどの距離に両目の光軸が合うかを指定するもの。立体感を得るには重要なパラメータで、基本的には自動でピントの合った距離となるのだが、マクロ時などでは手動で設定したほうがいい。
なお、本機の撮影画像は4:3での最大サイズが3648×2736ドットなのに対して、16:9では3584×2016ドットと、切り取る部分がやや多め。その中間の3:2というモードもあって、こちらは3648×2432ドットと、4:3の上下を少し切る取る形となる。
本機やW1で近い被写体を3Dで撮るときは、視差調整のため左右の画像の重ね合わせる範囲が大きくなる。つまり「寄り目」のような状態となり、画像の左右が切れた画像になることから、4:3の左右を切って正方形のような馴染みのないフォーマットになるよりも、あらかじめ16:9などの横長のフォーマットにしておいて撮るのがよさそうだ。