7月15日、日本ヒューレット・パッカードはConverged Infrastractureの構想に基づくI/O仮想化を実現する「HPバーチャルコネクト」やAMDのOpteron搭載の新ブレードを発表した。
配線は一度きり!HPバーチャルコネクトに新製品
発表会の冒頭、日本ヒューレットパッカード エンタープライズストレージ・サーバー・ネットワーク事業統括 インダストリーサーバー事業本部 事業本部長 林良介氏は、昨年から推進している「Converged Infrastracture」の戦略を改めて紹介した。Converged Infrastractureは、クラウドのインフラを同社が統合的に提供するもので、「標準技術を用いてサーバー、ストレージ、ネットワーク、電力・冷却、管理ソフトウェアまで含めたすべての製品を1社で設計・開発している」(林氏)と説明。
Converged Infrastractureを具現化したパッケージ「HP BladeSystem Matrix」の導入も加速しているとのことで、2010年の上半期だけでも数十社に導入が決まったという。こうしたConverged Infrastractureのアーキテクチャのなかで、今回の発表の中心となるのは物理接続を1回だけ行なえば、あとからダイナミックに構成変更ができる「フレックスファブリック」である。
続いて日本ヒューレットパッカード インダストリーサーバー事業本部 製品マーケティング本部 製品企画部 木村剛氏は、同社が推進するI/0の仮想化と新製品の詳細について解説した。木村氏は、サーバーの台数が増えたことにともない、ネットワークの配線やスイッチの台数が劇的に増加している現状を紹介。そして、これを解決するためのネットワーク仮想化を提案した。ネットワーク仮想化の技術として、同一の物理配線内にFibreChannel(FC)やEthernetなど異なるプロトコルを伝送させるCEE(Converged Enhanced Ethernet)/FCoE(FC over Ethernet)などがある。こうしたネットワーク仮想化の技術を、今回はHPバーチャルコネクトに盛り込んだ。
HPバーチャルコネクトはサーバーとネットワーク間でのI/O仮想化を実現するモジュールで、従来固定化されたポートやプロトコル、VLANやMAC、WWNなどのID、帯域、配線の変更を柔軟に行えるようにするものだ。これまでLAN用モジュール、SAN用モジュールが提供されており、サーバーとネットワーク間に挟み込むことで、ポートの分割やIDの仮想化、帯域設定、論理配線などを可能にする。
今回発表された「HP BladeSystem c-Class 10Gb 24ポートバーチャルコネクトFlexFabricモジュール」では、前述したCEEとFCoE、さらにiSCSIのハードウェア処理を実現する。物理的なスペックとしては、ダウンリンク16ポート(10GBASE-KR)、アップリンク8ポート(SFP+)、内部クロスリンク2ポートを搭載する。製品出荷は今秋予定。
10GbEもFCも使えるCNAを標準搭載
また、最新のG7(Generation 7)に属するブレードサーバーの新製品も2機種投入された。HP ProLiant BL465c G7はOpteron 6100番台を搭載するデュアルソケットのハーフハイトのブレード。16スロットを持ち、最大256GBのメモリを搭載するほか、前面のドライブベイの後ろにもう1つのスライド式のドライブベイが用意されており、ホットプラグで交換できる。価格は36万2250円(税込)。
もう一方のHP ProLiant BL685c G7は4ソケットのフルハイトブレードで、メモリも512GBまで搭載できる。こちらは119万7000円。
両者の特徴は、1枚のカードで複数の通信をサポートするCNA(Converged Network Adaptor)を標準搭載する点。エミュレックスの統合型チップを用いることで、10GbEのEthernet NICとしても、FCのHBA(Host Bus Adaptor)としても利用できる。また、FCoEはもちろん、iSCSIのハードウェア処理も可能。同じ物理構成でありながら4NICや3NIC+1 iSCSI HBA、3NIC+1FCoE HBAなど異なる用途に柔軟に変更することができる。また、リモート管理システム「iLO」もパフォーマンスを大幅に向上したiLO 3が搭載されている。
木村氏は、サーバーごとに複数のアダプタやスイッチを必要としていたハードウェア構成の歴史を振り返り、2007年に8本のNIC/HBA接続が、2010年にはバーチャルコネクト2台で済むとシンプル化の恩恵を説明した。
