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シーゴのI/O仮想化コントローラーがソフトウェアで拡張

隣のサーバーならもっと速く!Xsigo Server Fabric登場

2011年10月06日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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10月5日、シーゴシステムズ・ジャパン(以下、シーゴ)は、VLANなしに40Gbpsの広帯域で仮想サーバー間を接続する「Xsigo Server Fabric」を発表した。発表会では米シーゴのCEOのロイド・カーニー氏がデータセンター仮想化の課題と新製品について説明した。

伝統的なスイッチは仮想化に対応していない

 シーゴは2004年に設立されたITベンダーで、サーバー、ストレージ、ネットワークなどのリソースを相互接続し、I/Oを仮想化するコントローラーを提供している。CEOのロイド・カーニー氏は、「エニー・ツー・エニー・ツー・エニー」で各リソースをつないでインフラの仮想化を行なうのが仮想化コントローラーの役割と説明した。

米シーゴのCEOのロイド・カーニー氏

 こうしたI/O仮想化コントローラー登場の背景には、仮想化の普及に伴いネットワークが複雑化したという現状がある。単一の物理サーバーに複数の仮想マシンが搭載されるようになってきたが、物理的なネットワークは変わらず、ケーブルは仮想マシンの数分増えることになる。また、ネットワークのセグメント分けにはVLANが用いられるが、負荷や障害にあわせて仮想マシンが移動すると、このVLAN設定を作り直さなければならない。

仮想化基盤の現状

仮想マシンの東西トラフィックが増大

 通信に関しても、データセンターにおいてはインターネットやWANを通信相手とした「南北トラフィック」ではなく、仮想マシン間の「東西トラフィック」が圧倒的に増大している。しかし、既存のネットワークでは、すべてコアスイッチを経由する必要があり、無駄が生じているという。カーニー氏はこうした課題を挙げ、「伝統的なスイッチは仮想化環境に対応していない。ケーブルでがんじがらめになっているのが現状だ」と指摘する。

 こうした課題に対して解決策を提供するのがシーゴのI/O仮想化コントローラーだ。I/O仮想化コントローラー自体は2Uの「VP560」と4Uの「VP780」というアプライアンスとして提供されている。各サーバーの1/10Gbps Ethernet/20/40Gbps InfiniBandの物理リンクはI/O仮想化コントローラーに集約され、ネットワークやストレージに接続する。これにより、OSからは仮想NIC/HBAがインターフェイスとして見え、ネットワークやストレージとやりとりが行なえる。

ファブリックによるネットワーク統合

 このようにI/Oを仮想化し、統合することで、ケーブルの本数やスペース、電力なども大幅に削減できるという。昨今のデータセンタースイッチも同じ発想だが、FCoEではなく、InfiniBandを前提とする点が異なる。

サーバー間をファブリック接続させるソフトウェア拡張

 今回提供されるXsigo Server FabricはVLANを利用することなく仮想サーバー間を接続するソフトウェア。サーバー、ストレージ、ネットワークというラック内の接続に加え、ラックをまたぐサーバー間の接続を効率化・高速化するI/O仮想化コントローラーの拡張となる。最大40GbpsのInfiniBandを用いることでサーバー間通信を効率化し、「vMotionの速度を19倍、DBへのクエリ速度も17倍高速化する」という。さらにファブリック内に複数のプライベート仮想接続を設定でき、それぞれにVLANグループを持たせたマルチテナント環境を構築できる。各リソースの接続設定やサーバーのI/O構成変更などもGUI環境から一元的に行なえ、iPadやiPhoneに対応したツールも提供される。

プライベート仮想接続ごとにVLANグループをマルチテナント環境を構築できる

 Xsigo Server Fabricの価格は、I/O仮想化コントローラー1ノードあたりで9万8000円からとなっている。

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