Intelチップセットの歴史 その5
次世代のIntel 6シリーズはDMIを高速化しUSB 3.0対応?
2010年01月19日 12時00分更新
Intel 6シリーズはX68から DMIはどうなるか
さて、ここまではすでに製品も出荷されているものの話だが、これからの話もしよう。まず2010年第2四半期中に、ビジネス向けの低価格チップセットである「Intel Q55 Express」が登場するという話が出ている。要するに「RAID(Intel Storage Technology)はいらないし、PCI Expressレーンも6本あれば十分だから、その分低価格に」という用途向けの製品だ。
一方、以前のロードマップではデスクトップ向けに「P57」という製品が用意されていたが、こちらはキャンセルになった模様だ。インテルの5シリーズは、このQ55で恐らく打ち止めとなる模様だ(というか、現時点ではこれ以上低価格な製品は予定されていない)。ただし、「H55でもまだ高い」という要求があるようであれば、バリュー市場向けにさらに機能を制限したモデル(H53とかH51になるのだろう)を出す可能性はあるだろう。
5シリーズに続くのは「Intel 6」シリーズである。恐らく先陣を切るのは、「Westmere」ベースの6コアCPUであるCore i7のハイエンドが登場したタイミングで登場すると思われる、「X68」であろう。これは「Tylersburg-Refresh」となる。つまり、かつて「Intel X38 Express」が「Intel X48 Express」になったときと同じように(関連記事)、基本構造は変わらないが、若干スペックの見直しが入るという形だ。
このあたりはまだ未定なのだが、ひょっとすると後述するSandy Bridgeを先取りする形で、「DMI 2.0」に対応した新しいICH(ICH11と番号を付けているが、P55をICH11扱いするならば、ICH12相当となる)が入る可能性が出てきたようだ。もっともこのICH11は、(PCHの第2世代のスペックを一部先取りする)過渡的なスペックになるようだ。大きなポイントは、以下の3点になると見られる。
- DMIの速度が2倍(5GT/秒)のDMI 2.0になること
- SATAがGen3対応となり、6Gbpsの転送速度を持つSATA 600になること
- USB 3.0コントローラーを搭載すること
まずDMI 2.0であるが、よく知られているとおりDMIそのものは、PCI Express Gen1 x4をベースに若干プロトコルを変更したものである。逆に言えば、PHYそのものはPCI Express Gen1とまったく共通である。DMIが最初に登場したIntel 915/925世代の場合(関連記事)、(G)MCH/ICHともにGen1対応のPHYを使っていた。そして、独立GPU(ディスクリートGPU)用にPCI Express Gen2 x16が搭載されたIntel 3/4シリーズでは、ICH側はGen1対応のPHYのままに対して、(G)MCH側はとっくにGen2対応に移行していた。
考えてみれば当然の話で、同じダイの上にGen1とGen2の2種類のPHYを搭載するのは、設計や検証が面倒になるだけである。しかもPCI ExpressはGen1とGen2の互換性を重視しており、Gen2のPHYはGen1の信号を問題なく扱えることが必須条件となっている。であれば、DMI向けのPHYをGen1専用にする必要性は皆無である。
これはIntel 5シリーズも同じで、LynnfieldやClarkdaleはCPU側ディスクリートGPU用のGen2 PHYを搭載しているのだから、同じPHYを使うほうがはるかに容易。つまり(G)MCHやCPUの側は、DMIの速度を倍に引き上げることはいつでも可能だった。
では「なぜやらなかったのか?」というと、最大の要因はICHが対応できなかったことだ。ICHはICH10の世代まで130nmプロセスを使っており、Gen1の2.5GT/秒のPHYは組み込めても、Gen2の5GT/秒には対応できなかったからだ。もちろん、より微細な製造プロセスを使えば対応可能になるのだが、インテルの従来のプロセスでは、ICHを構成するために必要な高い電圧やアナログ回路周りの機構を組み込むことが不可能だった。結果、長らくICHの速度は低く据え置かれたわけである。
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