インテル(株)は8日、「Lynnfield」のコード名で呼ばれていたデスクトップパソコン向けの新CPU、「Core i7 プロセッサー」と「Core i5 プロセッサー」を正式に発表した。既報のとおり、すでに秋葉原のパーツショップ等で販売されている。
新しいCore i7/Core i5は、2008年11月に登場したハイエンドデスクトップ向けCPU「Core i7 9xx」シリーズと同じ、Nehalemアーキテクチャーを採用するデスクトップ向けCPUである。i7 900番台がハイエンドマシンをターゲットとしていたのに対し、i7 800番台とi5 700番台はメインストリームの製品をターゲットとしており、インテルでは「ハイエンドの性能をメインストリームユーザーに」もたらすCPUと位置づけている。既存のCPUと比べると、Core 2 Quadを置き換えるものといえる。
発表された新CPUは以下の3種類。なお価格は、OEM向け1000個受注時の1個あたりの価格である。
クロック周波数 | 3次キャッシュ | メモリー | TDP | 価格 | |
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Core i7-870 プロセッサー | 2.93GHz | 8MB | DDR3-1333 | 95W | 5万4560円 |
Core i7-860 プロセッサー | 2.80GHz | 2万7570円 | |||
Core i5-750 プロセッサー | 2.66GHz | 1万9030円 |
新しいi7 800番台/i5 700番台は、Nehalemアーキテクチャーを継承したことにより、CPU内にメモリーコントローラーを内蔵して、より高速なメモリーアクセスを実現した点が大きな特徴である。4つのCPUコアを1枚のダイ上に搭載。ハイパースレッディング・テクノロジーにも対応して、論理8コア(物理4コア)ものCPUコアを備える(i5は物理4コアのみ)。
また、TDP(熱設計時消費電力)の範囲内でCPUコアの一部(または全部)をオーバークロック動作させて、スレッド数は少ないが高性能を求めるアプリケーションを高速化させる「ターボ・ブースト・テクノロジー」にも対応。Core i7 870の場合、通常はクロック周波数2.93GHzのところを、ターボ・ブーストによって最大3.6GHzまでの高クロック動作が可能という。最大TDPは95Wで、最大130Wだったi7 900番台より省電力化されている。
新しいi7 800番台/i5 700番台と、従来からあるi7 900番台の主な違いは以下のようになる。
i7 900 | i7 800 | i5 700 | |
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CPUコア数 | 4(論理コア8) | 4 | |
ハイパースレッディング | あり | なし | |
2次キャッシュ | 各コア 256KB | ||
3次キャッシュ | 共有型 8MB | ||
メモリーコントローラー | DDR3-1066対応、トリプルチャンネル | DDR3-1333対応、デュアルチャンネル | |
外部バス | QPI 4.8または6.4GT/秒、最大25.6GB/秒 | DMI 2GB/秒 | |
CPUソケット | LGA1366 | LGA1156 | |
PCI Express x16 | なし | あり |
i7 900番台は内蔵メモリーコントローラーがDDR3-1066のトリプルチャンネル対応だったが、i7 800番台とi5はデュアルチャンネルに減る代わりに、メモリーモジュール自体はやや高速なDDR3-1333に対応している。またi7 800番台とi5では、PCI Express x16のインターフェースが、CPU側に内蔵されているのも大きな違いとなる。CPUソケットも異なる。
一方でi7 800番台とi5 700番台の基本的な違いは、ハイパースレッディングの有無による論理コア数の違い(8対4)と、クロック周波数だけとなる。
i7 800番台とi5 700番台に対応するチップセットとしては、Intel P55 Expressチップセットが2009年6月に発表されている。パーツショップ店頭ではCPU発表前から、すでにP55 Express搭載マザーボードが販売されており、各社も新製品を発表、発売している。
i7 800番台とi5 700番台を採用するパソコンも、同時に各社から発表されている。デスクトップパソコンのメインストリームも、いよいよNehalem世代へ移行することになりそうだ。