Intelチップセットの歴史 その4
Pentium 4~Core 2時代を支えたi915~965チップセット
2009年12月07日 12時00分更新
DDR2にいち早く対応したIntel 915ファミリー
インテルチップセットの歴史を振り替える3回目は、DDR2世代のチップセットについて取り上げる。2004年6月、インテルは満を持して「Intel 915/925」チップセットを発表する。この世代は大きく3つの変更があった。
- メインメモリーをDDR SDRAMからDDR2-SDRAMに変更
- グラフィックカードの接続をAGPからPCI Expressに変更
- (G)MCHとICH間の接続をHubLinkからDMIに
DDR2 SDRAM
前回述べたように、DDR SDRAMへの対応はほかのベンダーよりも遅かったインテルだが、その分DDR2-SDRAMへの移行はどこよりも早かった。もっとも2004年の時点では、DDR2-400/533の標準化こそ終わったものの、DDR2-677/800はまだ未定だったし、この時点ではインテルはDDR2-677/800にFB-DIMMを使うつもりだったので、多分に見切り発車だった感は否めない。
ちなみに、AMDがSocket AM2でDDR2対応に切り替えたのは2006年5月のことで、少なくとも2004年当時はDDR2メモリーの価格はかなり高止まりしたものだった。それもあって、915ファミリーはDDRとDDR2の両対応になっており、当初は一部のマザーボードを除いてDDR対応なものがほとんどだった。
厄介な事に、例えばDDR-400とDDR2-400を比較した場合、消費電力こそDDR2-400が低いものの、メモリー帯域は同じで遅延はDDR2の方が大きいという問題により、したがって性能ではむしろ下がる傾向があったことだ。DDR2-533ではレイテンシが若干改善するものの、今度はCPUのFSB帯域が6.4GB/秒を必要とするのに対し、DDR2-533×2=8.5GB/秒と、むしろ帯域が過剰になってしまう。これらもDDR2のネガティブ要因として挙げられた。この帯域のミスマッチはその後どんどん広がる傾向を見せる。
PCI Express
2つ目がPCI Express Gen1 x16レーンの採用である。それまでのAGP 8xがトータルで2.13GB/秒の帯域だったのに対し、PCI Express x16では4GB/秒の全二重バスとなり、合計帯域は4倍に高速化された。ただ、当時はGPU→CPU方向の転送はほとんどなかったので、当初は単にAGPの2倍の速度のI/Fというだけでしかなかった(本格的に利用されるのは、GPGPUが現実に使われるようになってから)。
それでも、インテルはPCI Expressの規格化を率先して行なっていたベンダーであり、GPUベンダーにも積極的に働きかけを行なっていたから、自社チップセットがサポートしないわけにはいかなかった。もっとも実際にPCI ExpressがGPU用インターフェースの主流となるのは2005年も後半に入ってからで、当初「ハイエンドGPUはAGPのまま」なんてことも珍しくなかった。
AMDはPCI Expressへの対応ではやや遅れていたため、結局GPUベンダーは、この時期両方のインターフェースの製品を出すことになる。ATIではRADEON X800世代、NVIDIAではGeForce 6800 GT世代がこれにあたり、結果として無駄に製品数が増えることになってしまった。
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