12月21日、日本ヒューレット・パッカードはデータセンター事業において沖縄クロス・ヘッドと協業することを発表した。都内で開催された発表会では両社が協業の背景を説明したIT振興策を進める沖縄の観光商工部の講演も行なわれた。
アジアに近い沖縄で
データセンター構築
沖縄クロス・ヘッドは2006年に設立されたネットワークインテグレータで、クロス・ヘッド、サイボウズ、インデックス沖縄などが株主となっている。アジアと日本を結ぶ「GIX」というIX(Internet eXchange)を構築・運用するほか、県内のデータセンターの運用監視やオペレーションも担当しているという。
今回、沖縄クロス・ヘッドはHPとの提携により、ワンストップのデータセンターサービスを提供する。24時間365日の監視はもちろん、HPのアカウントサービスを活用することで、パッチ、ファイアウォール、保守構成管理支援などのサポートも提供する。
また、先頃発表されたデータセンター管理ソリューション「HP BladeSystem Matrix」や、x86サーバー「HP ProLiant」など最新のHPのハードウェアにより、クラウドサービスの検証環境を構築。沖縄のIT津梁(しんりょう)パークと沖縄クロス・ヘッド本社に設置され、2010年4月にはサービスとして開始する。また、検証に使ったサーバー「HP SE2120」を50%ディスカウントで提供する年度末キャンペーンも実施する。
沖縄クロス・ヘッド株式会社の代表取締役の新居昭生氏は「沖縄からは東京を経由せず、直接香港のIXに接続することで、アジア全般に良好なサービス配信環境を実現している。今後、クラウドコンピューティングのプラットフォームをアジア各国に対して提供していきたい」と沖縄ならではの地の利を活かしたサービスの拡充に自信を見せる。一方で日本HPは、先頃発表されたConverged Infrastractureの構想を具現化するための協業と位置づけており、今までなかなか手が届きにくかった大都市圏以外のビジネス開拓の足がかりにするもくろみだ。
コールセンターからソフトウェア開発まで
IT振興策は順調に
また、発表会では沖縄県観光商工部 部長 勝目 和夫氏が沖縄県のデータセンター利用のメリットについて講演した。前述のとおり、沖縄県は戦略産業としてIT産業の振興に力を入れており、さまざまな税制優遇措置や支援制度を用意している。たとえば、通信コストの一部を県が肩代わりしたり、データセンターを構築したり、あるいは教育事業に力を注いでいる。「現在、210社の誘致、1万7000名の雇用促進が進みました。コールセンター系55社のほか、最近ではソフトウェア開発やコンテンツ事業の誘致も進んでいます。立地や人的なコストが安いという理由だけではなく、実は優秀な若い人が多いという理由もあります」(勝目氏)ということで、順調に振興事業が進んでいるという。
沖縄クロス・ヘッドがクラウドサービス検証センターを構築する沖縄IT津梁(しんりょう)パークは、日本とアジアの架け橋を目指しうるま市に構築される拠点。約20haの土地にさまざまなIT施設が用意され、ソフトウェア開発やBPOセンター、データセンターなどの集積拠点として利用される予定。