このページの本文へ

ネットの成功を捨てリアルへ回帰する自転車店の挑戦 (2/2)

2009年09月16日 10時00分更新

文●三浦たまみ

  • この記事をはてなブックマークに追加
本文印刷

高級スポーツ自転車の専門店へWebサイトもリニューアル

 高級車種を多数扱うようになったことで、現在、サイトの全面リニューアル作業を進めている大山さん。これまでのイラスト中心のサイトを一新し、高級感の漂うサイトを目指しています。

販売ラインアップに合わせて、高級感のあるサイトにリニューアル。今後はパーツだけでの販売にも力を入れていきたいという。画像は制作中のページのイメージ

「開業当初はママチャリや4~6万円の比較的安い車種も多数扱っていたので、親しみやすいイラストが最適だと思っていましたが、さすがに10万円以上の自転車が大半を占めるようになると違和感を覚えますね。リニューアル後はトップページを見た瞬間から、スポーツ自転車の中でも高級なラインを扱っていることが分かり、よりこちらの提案する自転車と、お客様の求める自転車が合致するようにしたいです」

 新サイトは、ネット販売よりも商品カタログ+会社案内をメインとした、企業サイトに近い感覚にしたいという大山さん。

「ネットで売らないつもりはないけど、高級車種を販売するからこそ最終的には実店舗に来店していただけるお店を目指したいという気持ちは強いですね。実はもう1つ、自転車のパーツだけを専門に販売するサイトを新たに立ち上げるつもりなんです。このサイトからは、がんがん売っていきますよ(笑)。今後もお客様と交流を図りながら、ネットショップ、実店舗双方を発展させていきたいですね」


 次回は、楽天市場内のスイーツ、菓子、デザート部門で人気店の常連となっている『シリアルマミー』を取り上げます。サイト作りのコツや、迅速なクレーム対応など、人気店ならではの秘策がたくさんあります。お楽しみに!


――ネットショップのエキスパートが斬る!――

 コンサルタント、セミナー講師、ネットショップ向けソフトウェア開発など幅広く活躍されている株式会社グリーゼ代表取締役社長 こみやまさんに『サイクルサービスおおやま』の販売戦略について語っていただきました。。



売上の柱はいくつか立てる!リスクマネジメントを考えよう

  大山さんは、売上げのほとんどをネットショップに頼っていた時期を経て、現在は実店舗への集客も図ろうと試みていますが、このように売上の柱をいくつか立てておくことは、リスクマネジメントの観点から考えても非常に大切なことです。

 もしあなたが独自ドメインのネットショップだけに頼って運営していて、ある日突然、大手検索エンジンのサイトがなくなったらどうしますか? 有益な集客の経路が一気に絶たれ、なす術もありませんよね。突拍子もない話だと一笑するかもしれませんが、他社のシステムに依存しているわけですから、万が一のことが起きないとは限りませんし、起きたら最後、路頭に迷うだけです。大山さんのように実店舗がある場合は、どんなにネットショップが繁盛している時期でも実店舗への誘導を念頭に置く独自ドメインのネットショップだけ運営しているお店はショッピングモールの加入も検討するなど、何かしらのリスク分散は考えておきましょう。

 また、日頃から心がけたいのは、顧客リストをきちんと管理しておくこと。顧客リストさえあれば、何かのトラブルでネットショップが機能しなくなっても、メールなりDMなりで商品を販売し続けることはできます。大山さんのように、日頃からお客様とのコミュニケーションを密に図っているようなお店であれば、顧客リストを上手に活用することで、ネット以外からの集客も成功すると思います。


こみやまたみこ:株式会社グリーゼ代表取締役。日本オンラインショッピング大賞審査員、全国イーコマース協議会ベストECショップ大賞審査員などを歴任。現在は、主に全国の商工会議所・産業振興公社等で、オンラインビジネスに関するセミナーを多数開催している。著書に「楽天市場ではやく儲かる徹底セミナー」など。


協力:佐川フィナンシャル株式会社(http://www.sagawa-fin.co.jp/

前へ 1 2 次へ

この連載の記事

一覧へ

この記事の編集者は以下の記事をオススメしています