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ネットの成功を捨てリアルへ回帰する自転車店の挑戦

2009年09月16日 10時00分更新

三浦たまみ

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なぜ、あのネットショップは今日も繁盛しているのか? なぜ、自分のショップでは商品が売れないのか?
他にはない強い商品開発力、他店を引き離す圧倒的な集客手法、一度捕まえたお客を逃がさない囲い込み術……と、成功したネットショップには現場で蓄積されたノウハウがある。本連載では、全国の優れたネットショップの事例からそのノウハウを公開。あなたのショップの“勝ちパターン”を見つけるヒントにしよう。⇒連載インデックス

■今回の成功ネットショップ:
自転車販売『サイクルサービスおおやま』

サイクルサービスおおやま

1996年11月、千葉県松戸市に自転車販売の実店舗『サイクルサービスおおやま』オープン。同年、同名のホームページを開設。1997年8月よりショッピングカート機能を付け、ネットショップも本格的にオープン。現在は、ロードレーサー、マウンテンバイクをはじめ主にスポーツ自転車を中心に販売。年商7400万円(2007年時点)。


主力のネット販売から実店舗へシフトし始めた意外な理由

 ネットショップ黎明期の1997年に開業した自転車販売の『サイクルサービスおおやま』の大山義治さんは、この12間、競合店が次々と現れては消えてゆく光景を目の当たりにしてきました。2001年頃はネットの売上に大きく依存していた『サイクルサービスおおやま』は、現在では実店舗への誘導にも力を入れています。それには、ある理由があったのです。

「ここ数年、一気に加速した自転車ブームの影響で、“今がチャンス”とばかりに専門知識もないのにネットで売るお店が増えてしまったんです。ろくに検品しないまま商品を送り、アフターフォローもなし。これではお客様からクレームがくるのは当然ですし、安全面でも心配です。こうした状況に憤った大手メーカーの中には、ネットでの自転車販売を控えるよう規制するところも出始めました。一部の心ないお店のために、真面目に運営してきたお店まで心象が悪くなるのは残念です」

 メーカーの規制によって、ネットでは自転車が販売しにくくなっている――。そうした実情を踏まえ、大山さんは、実店舗への誘導も少しずつ図っていきました。実店舗に来店してもらえれば試乗して乗り心地を確かめられますし、どんな自転車が欲しいのかその場で相談に乗ることもできます。より個々に合った最適な1台を紹介できる意味では、実店舗には実店舗のメリットも多くあります。


ネットで買えない商品をあえてWebでアピールする

 大山さんは、ネット通販不可の自転車の画像も積極的にサイトに掲載し、「ネットでは買えないけど、実店舗では販売している」ことをアピールしていきます。代表的な商品が、「TREK」というブランドの自転車です。

TREK
TREKの自転車。取り扱いのできる販売店は限られている

「TREKはメーカーが品質に絶対の自信とこだわりを持っているため、修理技術が確かな自転車屋だと認められた実店舗でなければ取り扱いができません。販売先が限られているため、TREKを欲しいと思っている人には、扱っていることを謳うだけでも来店してもらえる可能性が高い。こうした商品を増やしていくことは、他店と差異化を図り、お店への信頼を高めることにもつながるのではないかと思っています」

 また、ここ数年、大山さんは、意識して1台10万円以上する上位車種を多く扱うようになりました。TREKも、最も高いもので90万円台、最多価格帯は20~30万円台と、高級自転車の1つです。

「自信を持って勧めたい自転車を追求した結果、それなりの価格の商品にたどりついた感じですが、高額商品のラインアップが増えるほど、『実店舗に行って直接実物を確かめたい』という顧客心理は少なからず働くようです」

 実際に『サイクルサービスおおやま』には、首都圏在住者だけでなく、時に北海道や関西方面からもお客さんが訪れるようになりました。ネットから実店舗への誘導は、着実に成果をあげているといえそうです。もちろん、メールによる顧客との密なコミュニケーションと、徹底したアフターフォローが、実店舗へ誘導する後押しになっているのは言うまでもありません。

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