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ネットと家族はどちらも大事――細田守、サマーウォーズを語る

2009年08月11日 16時00分更新

文● 宮坂琢磨

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「時かけ」みたいな高校時代を経験したわけじゃない

―― 「サマーウォーズ」の主人公は若者=高校生ですが、細田監督は「サマーウォーズ」を製作にあたって、今の高校生を気にしますか? それとも自分の高校時代を考えてですか?

細田 「時かけ」なんて作ると、よく「細田さん、いい高校生時代をご経験されたんですね」と言われますが、そんなわけないじゃない(笑)。体験したら映画なんか作らない。そういう意味では、自分の体験からのリソースは何もないわけですよ。

 自分の高校時代からは作れないけど、なるべく、今の高校生がどんなふうに生きているのか、何を考えているのかは一生懸命考えます。でも、キャラクターデザインの貞本義行さんとも話しますが、結局高校生の気持ちにはなれないんです。それでも彼らに寄り添って書きたいという気持ちはありますね。


―― 貞本さんの名前が出ましたが、「サマーウォーズ」の人物造形についてお聞きしたいと思います。そもそも存在しないキャラクターをどのように作られて、外見的なルックスを付与していくのですか?

細田 シナリオに即して貞本さんと相談していくんですが、(キャラクターデザインだけでなく)シナリオにも人物造形がある。主人公にしてもどういう性格なのという人物造形かあるわけです。実は、シナリオを作るときに話すことと、キャラクターデザインで話すことって、ほとんど同じ。

 それよりも話さなければいけないのは、その人物が現実にいるとすれば、どういう人か。それを僕と、キャラクターデザイナーとシナリオライターが、共有することが大事。そうすれば、具体的な外見の要素とか台詞というのは、シナリオライターなりデザイナーさんが書いてくれるわけですし、貞本さんの右手から生まれてくるキャラクターは、そのままそのキャラクターなんですよ。


―― 鈴木さんはキャラクター広告を手がけていらっしゃいますが、広告におけるキャラクターとはどのようなものですか?

鈴木 細田のキャラクターをみると、キャラクターからではなくて人物の設計が先にあってそれをキャラクターにしている感じがするじゃないですか。広告は逆に、先に商品がある。

 僕は長く広告を続けていきたいと思いますが、長く続けるコツは「商品と同等のイメージをもつキャラクターを作ること」と考えてます。それが出来れば、3年から5年は(キャラクターの展開が)続くだろうと。

 暴君ハバネロだと「凄い辛いけどうまみがある」という商品の体現化です。デザインをしていると、そのキャラクター(=商品)と性格が一致して、ああ出来たなと思う瞬間がある。

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