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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第12回

高性能・高機能化を進めたGeForce 6~7世代のNVIDIA

2009年08月03日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/)

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路線修正した「NV40」
マルチGPU技術「SLI」も登場

NV40(GeForce 6)~G70(GeForce 7)世代のロードマップ

NV40(GeForce 6)~G70(GeForce 7)世代のロードマップ。各項目の内容は、製品名、開発コード名、Vertexユニット数/Pixelパイプライン数/テクスチャーユニット数/ROP数、コア動作周波数、メモリデータレート、メモリ種別、帯域、インターフェース、ファウンダリーと製造プロセス

 NVIDIAは2004年4月、新しい「NV40」シリーズを発表する。パイプライン構造は「GeForce FX」の複雑な並列プロセッサーの構造を捨て、比較的コンサバティブなものになった。もっともコンサバティブといっても、全体のブロック図を描くとGeForce FXよりもシンプルな構造に見えるという程度で、内部構造は相変わらず複雑だ。

「NV40」こと「GeForce 6800 Ultra」の搭載カード

「NV40」こと「GeForce 6800 Ultra」の搭載カード

 技術的には、このNV40シリーズで当時最新のプログラマブルシェーダー仕様「Shader Model 3.0」がサポートされたほか、動画再生アクセラレーション機能である「PureVideo」が搭載された。またこのNV40で、複数のグラフィックスカードを1台のパソコン上で同期して描画するマルチGPU技術「SLI」(Scalable Link Interface)がサポートされるようになった。

GeForce 6800 Ultraを2枚使ったSLI構成の写真

GeForce 6800 Ultraを2枚使ったSLI構成の写真

 余談であるが、複数のグラフィックスカードを同期して動かすというアイディアはかなり昔からあり、例えばRasterOps社というMac用グラフィックスカードのベンダーが、S3社の「86C865」というGPUを3つ搭載して、それぞれがR/G/Bを処理することでフルカラーを高速に表示できる、なんて恐ろしい製品「Paintboard Lightning」が大昔にあった。これはR/G/Bで各プレーンを区切れたからできた技で、最近の24~32bitカラーではあまり意味がない。Paintboard Lightningにしても、広く普及したわけではない。

 マルチGPU技術の分野での先駆者は、NVIDIAに買収された3dfx社だった。同社の「Voodoo 2」が搭載したSLI(Scan-Line Interleave)は、画面を走査線ごとに奇数と偶数に分けて、それぞれを別のVoodoo2カードでレンダリングし、最後に2枚の出力を合成して画像表示というちょっと独特な方法をとっていた。2倍とは言わないまでも、描画性能が1.5~1.6倍に跳ね上がるというので、コアゲーマーを中心に広く利用された技術だ。

 次に似た機能を製品に搭載したのが旧ATI Technologies。1枚のグラフィックスカードに同社の「RAGE 128 Pro」を2つ搭載して、AFR(Alternate Frame Rendering:2つのGPUで画面を1フレームずつ交互にレンダリングする方式)を採用して性能を上げるというものだったが、Windows XP用のディスプレードライバーが原理的に作れないとかいう話のまま、結局比較的短命で消えてしまった。

 これについで登場したNVIDIAが再び“SLI”の名称を採用したあたりは、恐らくVoodoo 2時代の印象を持つユーザーに、何らかのアピールも考えていたのかもしれない。ちなみにSLIは当初、内部的には3種類のモードがあった。

  • 画面中央で上下に分割し、それぞれ別のグラフィックスカードでレンダリング
  • 画面の任意の位置で上下に分割し、それぞれ別のグラフィックスカードでレンダリング
  • AFR

 2番目のものは、描画負荷に応じて分割位置を動的に変化させるというものだった。問題は、どの方法を使って描画するかの判断だが、NVIDIAはこれを「対応アプリケーションの長大なリストを作り、ゲーム別に使う方法を記述する」という力技で対応した(Windows Vistaの場合、C:¥windows¥system32¥nvapps.xmlに記述されている)。ちなみに最新のGeForce Driverでは、nvapps.xmlのサイズが230KBとかなりのものになっている。ただ、SLIの動作モードはいくつか追加されているようである。

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