「周回軌道より:今日は、ようやく宇宙の生活にも慣れてきた。ハッブル(宇宙望遠鏡)とのランデブーに出かける準備をしなくちゃ」*5
筆者はちょうどこのつぶやきを、道を歩きながらiPhoneで読んでいたため、思わず空を見上げてしまった。テレビでの中継やネットの映像も「ライブ」であるにも関わらず、Twitterでのつぶやきがこれほどまでに人々を引き付けるのは一体なぜなのだろう?
それは恐らくMassimino氏の「素のつぶやき」が、これまでのデジタルメディアとは異なる臨場感と共に、フォロワーにも宇宙飛行士の体験気分を味あわせてくれているからだろう。
メディアのフィルターを通したメッセージでもなく、番組作りのためのバックステージ公開でもなく、食事前のリラックスしている様子や、その瞬間の心境が伝わってくるのだ。
ちなみに宇宙関係では2008年5月に、火星探査機「Mars Phoenix」が火星到着の直前から、その様子をいち早くTwitterを使ってつぶやいていた。
ランディング時には「火星に近づいてきたぞ! 今晩寝ようって人はまさかいないだろうな? 今日のために費やした5年間を思うと、この最後の瞬間がとてもエキサイティングでもあり、すごく不安で怖い気持ちもあるんだ」というつぶやきを発信し、フォロワーを興奮させた。
とはいえこれはNASA職員がMarsPhoenixの「中の人」となってつぶやいていたもの。Twitter上で「NASA」もオフィシャルのつぶやきを発信しているが、実際の人間が宇宙から「つぶやく」のは、今回が初めてのことだ。
日本人では、スペースシャトル「ディスカバリー」に搭乗中の若田光一宇宙飛行士が、「若田光一 宇宙ブログ」で宇宙での日常を語っている。ネットで記事を読んでいると、宇宙と直接交信しているような気分になるから不思議である。
ネットのテクノロジーは、今後ますます宇宙と地球との距離を縮め、宇宙をもっと一般の人々に近いものにしてくれそうだ。
*5 "From orbit: Getting more accustomed to living in space today and getting ready for our big rendezvous with hubble"