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アッカ、2006年12月期の決算を発表――法人需要伸びるも前年度比減収減益

2007年02月15日 23時13分更新

文● 編集部 小西利明

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(株)アッカ・ネットワークスは15日、東京都内にて記者説明会を開催し、2006年通期の決算に当たる2006年12月期決算を発表した。個人向けDSL事業の減少と法人向けサービス展開の後れにより、2006年の連結業績は、売上高、経常利益ともに減収減益となった。2007年は法人向け光通信事業の強化等、法人向けサービスの強化を図る。

同社が発表した2006年連結決算は、売上高は約388億2900万円、営業利益は約18億8000万円、経常利益は約19億800万円、当期純利益は10億6100万円となっている。非連結ベースでの2006年業績と2005年業績を比較した場合、売上高は前年同期比4.4%減の約388億1000万円、経常利益は同23%減の約19億5700万円、当期純利益は同64.1%減の約11億1100万円となっており、前年までの3期連続増収増益から一転して、減収減益となっている。株式1株あたりの配当金は5000円の予定。

減収減益の理由として挙げられているのが、同社の収入の大部分を占める個人向けDSLサービスの減収である。光通信サービスの大幅な伸びに押されてDSLサービスが減少傾向にあるのは周知であるが、それが同社の決算にも反映されている。2005年にはDSLサービスで約400億円の売上高があったのに対し、2006年での“ブロードバンドアクセスサービス”全体の売上高は、約384億2600万円と減少している。

また同社がこれからの事業の柱に位置づけている法人向けの“M2M(Machine to Machine)”事業を含むソリューション支援事業についても、計画のずれによって2006年上半期は苦戦したとしている。一方で2006年下半期は、販促費の効率化やコスト削減等により、2006年8月に修正発表された通期予測よりも改善が図られたとしている。

個人向けDSL事業の減少傾向が避けられない状況を踏まえて、同社では昨年来法人向け事業の基盤強化に注力している。2006年では企業向けの“光アクセスサービス”対応エリアを700局以上に拡大したほか、回線の二重化や冗長化により、信頼性強化を図っている。同社代表取締役社長の坂田好男氏は、こうした施策によって法人ユーザーの品質要求への高まりに応えられるとしている。これらの施策を反映してか、個人向けサービスの売上高が29億円ほど減少しているのに対して、法人向けサービスの売上高は13億円(約18%増)ほど増加している。

法人向けサービスとWiMAXに賭ける

各事業の推移については、まず個人向けDSLサービスは減少傾向自体は変わらないものの、提携ISPとの連携強化やキャンペーン施策等により、純減抑止策が効果を上げているとしている。企業向けはDSL、光ともに堅調に伸びているとしており、期待のソリューション支援事業についても引き続き取り組むとしている。

2007年の業績予測については、個人向けDSLサービスの減少傾向は続くとみて、売上高では6%減の366億円と予想している。しかし経常利益は2006年と同等、当期純利益では40%増の14億円の増益を予想している。

さらに今後注力していく分野として、特にWiMAXサービスへの取り組みについてが説明された。すでに実施したり、今後実施予定のWiMAXの実証実験について報告したうえで坂田氏は、競合他社と同社のWiMAXに向けた取り組みの違いとして、“既存モバイル事業とのしがらみのなさ”を生かしたオープンプラットフォームの実現と、高速通信サービスの恩恵を受けにくい“ルーラル(デジタルデバイド)エリア”からの展開に重点を置いて説明した。

携帯電話キャリアー各社によるWiMAXへの取り組みは、自社の既存3Gサービスとの兼ね合いもあるほか、端末からアプリケーションまですべてをキャリアーに依存する構造を取っていると坂田氏は指摘。それに対して、モバイルサービスにこれから参入するアッカにはそうしたしがらみはないうえ、WiMAXのオペレーター、端末ベンダー、アプリケーション事業者などが連合体を作ることで、1キャリアーに依存しないサービス展開を可能とするとしている。

また大手キャリアーが大都市圏からのサービス展開を指向しているのに対して、アッカでは地方(ルーラルエリア)から都市部へと、逆の展開を行なうという。坂田氏はWiMAXについて、「(ルーラルエリアにも)ニーズがあると強く感じる」と述べ、無線による広域高速通信が都市部だけでなく、現在ブロードバンドインフラの恩恵を受けにくい地域にも多いとの見解を示した。同社では地方自治体や地方ISPとの協業や公共サービスとの共同事業、地方のCATV事業者への中継網や運用の提供などを通じて、地方からのWiMAXサービスの展開を行なっていくとしている。

また1月30日に発表した動画コミュニティーサービス“zoome”(ズーミィ)のような動画を活用したSNSや、パートナー企業に対する動画配信プラットフォームの提供など、動画を軸としたサービスの展開を強化していく。

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