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“第1回日本ケータイ小説大賞”の表彰式が開催――“横書きの文学”が生まれるとき

2006年11月28日 20時30分更新

文● 編集部 若林健太

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日本ケータイ小説大賞実行委員会は28日、“第1回日本ケータイ小説大賞”の表彰式を行なった。大賞ほか4賞6名の受賞者が発表され、大賞には十和(とわ)さんの“クリアネス”が選ばれた。

左からTSUTAYA賞を受賞した陽未(ひみ)さん、優秀賞のゆきさん、審査員の室井佑月さん、大賞の十和(とわ)さん、プレゼンターの福田沙紀さん、優秀賞の貞次(さだつぐ)シュウさん
左からTSUTAYA賞を受賞した陽未(ひみ)さん、優秀賞のゆきさん、審査員の室井佑月さん、大賞の十和(とわ)さん、プレゼンターの福田沙紀さん、優秀賞の貞次(さだつぐ)シュウさん

日本ケータイ小説大賞は、“あなたの小説を待っている人がいる”をテーマに、携帯電話機で読む小説“ケータイ小説”の優秀作品を表彰するもの。主催の日本ケータイ小説大賞実行委員会は、スターツ出版(株)、(株)毎日新聞社、(株)魔法のiらんどの3社によって構成され、(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモ、(株)TSUTAYA、(株)ディーツーコミュニケーションズが協力している。

“ケータイ小説”は、小さな画面で読みやすいように一文一文が短くまとめられ、絵文字を使うものもあるなど、独特な表現が特徴。また小説を読んだ読者が感想を掲示板に書き込み、それを見た作者が物語を作る際の参考にするといった双方向のコミュニケーションが成立しているのも特色と言えるだろう。

第1回日本ケータイ小説大賞には8月の募集開始以来2375件の応募があり、2度にわたる読者投票の結果、10作品が最終審査に残った。大賞には賞金100万円、優秀賞2作には賞金30万円が贈られるほか、作品の書籍化も予定されている。

審査員を務めたのは、作家の室井佑月(むろいゆづき)さんをはじめ、毎日新聞編集局学芸部長の大川勇(おおかわいさむ)氏、NTTドコモ プロダクト&サービス本部コンテンツ&カスタマ部コンテンツ担当部長の山口善輝(やまぐちよしてる)氏、ディーツーコミュニケーションズ代表取締役社長の藤田明久(ふじたあきひさ)氏、TSUTAYA 商品本部BOOK企画グループ グループリーダーの高野幸生(たかのゆきお)氏、スターツ出版取締役の山下勝也(やましたかつや)氏、魔法のiらんど代表取締役社長の谷井玲(たにいあきら)氏の7名。またプレゼンテーターとして、女優の福田沙紀(ふくださき)さんが出席した。

プレゼンターを務めた福田沙紀さん
プレゼンターを務めた福田沙紀さん

大賞に選出された十和さんの“クリアネス”は、売春行為をする女子大生と、出張ホストの恋を描く物語だという。受賞理由は、室井さんは「主人公や恋愛相手が魅力的で感情移入できる」とし、山口氏は「意外なストーリー展開で先が読みにくく、どんどん引き込まれていった」ことを挙げた。

大賞を受賞した十和(とわ)さん
大賞を受賞した十和(とわ)さん

受賞した十和さんは、「たくさんの読者から励ましやアドバイスをもらい、自分でも思っていなかった方向に話が進んでいった。1人で書いていたら、たぶん別の結末になっていたと思う」と語った。

大賞とその他の受賞作は以下のとおり。

大賞
十和
“クリアネス”
優秀賞
ゆき
“この涙が枯れるまで”
優秀賞
貞次(さだつぐ)シュウ
“地球最後の24時間”
TSUTAYA賞
陽未(ヒミ)
“プリンセス”
審査員特別賞
流奈(ルナ)
“星空”
審査員特別賞
アポロ
“被害妄想彼氏”
室井佑月さん
室井佑月さん

審査員を務めた室井さんは講評として、「若い人たちが書いているだけあって、若い人たちの気持ちや言葉がどんどん出てくるのが面白かった。“ケータイ小説”という新しい世界が出来上がっていると感じた」と話す一方で、「みなさんはあまり小説を読まないでしょう? 漫画が多いと思う。惜しいのは、会話や感情の羅列がだーっと書いてあって、風景や情景、人物の描写がほとんどないところ。若い人たちがどういう目でこの世界を見ているのか、それが読みたい」と語り、「もっとたくさん小説を読んでほしい」と結んだ。

毎日新聞社常務取締役主筆の朝比奈豊氏
毎日新聞社常務取締役主筆の朝比奈豊氏

主催者挨拶をした毎日新聞社常務取締役主筆の朝比奈豊(あさひなゆたか)氏は、「(新聞や書籍といった)これまでの“縦書きの文学”に対して、“横書きの文学”が今まさに誕生しつつあるのを感じた」と話す。「10代の若い作者たちの作品からは、“私の気持ちを理解してほしい”という強い思いが伝わってきた。いじめの問題があり、今新聞では子どもの声を聞こうというキャンペーンをやっているが、“ケータイ小説”を読んではっとさせられた。子どもの新聞離れということが言われているが、新聞社のほうが若者離れをしてしまったのではないかと思った」と語り、“ケータイ小説”に対する期待を示した。

大賞を受賞した十和さんをはじめ、最終選考に残った作品の作者はほとんどが女性。しかもみなドレスなどで華やかに着飾っていて、他の文学賞のようなどこか堅苦しい雰囲気とは一線を画していたのが印象的だった。

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