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米Levantaディレクター、EMAによるLinux管理に関する調査報告書について説明――Linuxの管理運用コストは大きく改善、Windows以上か悪くても同等

2006年02月27日 19時28分更新

文● 編集部 小西利明

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米Levanta マーケティング&プロダクト担当ディレクターのデービッド・デニス氏
米Levanta マーケティング&プロダクト担当ディレクターのデービッド・デニス氏

Linux向けシステム管理ソリューションを手がける米Levanta社は27日、報道関係者向けの説明会を開催し、同社マーケティング&プロダクト担当ディレクターのデービッド・デニス(David Dennis)氏により、調査会社の米EMA社(Enterprise Management Associates)による調査報告書“Get the Truth on Linux Management”(Linux管理の実情)についての説明を行なった。200以上のユーザーを対象にして行なわれた調査では、Linuxのシステム管理に費やすコストは、Windows環境よりも少ないことが報告されている。

この調査はLevantaがEMAに委託して2005年10~11月に行なわれたもので、2006年1月にLinuxの成長と採用を促進するNPO“OSDL(Open Source Development Labs)”がスポンサーとなり、今月13日に公開されたものである。このような調査と行なった理由としてデニス氏は、米マイクロソフト社が行なっているWindowsのサーバー製品とLinuxの比較キャンペーン“Get the Facts”への対抗策であるとした。デニス氏によると、同キャンペーンはエンタープライズシステムを導入するような大手企業にはほとんど影響を与えていないが、一方で中小企業の顧客については影響が認められ、Linuxの管理性に関する不安を「頻繁に耳にするようになった。孤立した現象ではない」と感じるようになったという。しかし同キャンペーンによる比較は、Linuxの最新のディストリビューションなどで管理性が改善された面については反映されておらず、最新の実情に基づいた調査が行なわれるべきだとして、調査を行なったということだ。またマイクロソフトによる攻撃がTCOの観点に集中している点については、ライセンスコストや信頼性の面では有効な攻撃をかけられないからである、と述べた。

調査は数千社のIT企業(公正を保つため、Levandaの顧客は5社以下とされた)を抽出、ウェブサーベイでは200以上の回答を得たという。回答者の大半は中小企業(72%が年間売上高で1億ドル(約116億円)以下)で、63%がWindowsのサーバーシステムも所有している。調査はWindowsとLinuxの直接比較ではなく、主にLinuxにフォーカスして行なわれた。また13人の企業のCIOやITマネージャーに対してより詳細なインタビューも行ない、レポートの最後に追加したとのことだ。

調査対象企業の業務および売上規模
調査対象企業の業務および売上規模(同社説明資料より引用、以下同)

レポートによれば、以下のような結果が見られたという。

     
  • LinuxとWindowsを導入している企業の88%は、Linuxの管理労力の方が少ないと回答
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  • 97%が、Linuxの管理に要する労力は最悪でもWindowsと同等であると確信
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  • 高度な管理ツールを利用している回答者の全員が、Linuxの管理作業の難易度はWindowsのそれと同等、または簡単であると回答
Linuxの管理労力に関する調査の回答傾向グラフ
Linuxの管理労力に関する調査の回答傾向グラフ

また管理コストについては、Linux管理者とWindows管理者の給与は同等であり、Linux管理者の方が高いということはないとしている。また管理者1人当たりで管理できるサーバー数はLinuxの方が多く、サーバー1台あたりの人件費ではLinuxの方が安く済むとしている。特に200台以上のサーバーを運営している企業の場合は、この差に顕著な違いが見られるという。

Linuxの管理コストに関するグラフ。左は管理者の給与、右は管理者1人当たりのサーバー台数
Linuxの管理コストに関するグラフ。左は管理者の給与、右は管理者1人当たりのサーバー台数

そのほかにも、パッチに要する時間やパッチ管理に関する労力についても、短縮されているとの結果が出たという。デニス氏はこれら調査結果を元に、「1つの企業が情報を独占している状況では、正しい判断を下すのは困難である」と述べて、今回の調査が別の角度の視点を提供することで、より公平な議論が進むのを期待するとした。

質疑応答で、調査を通して現状ではWindowsの方がLinuxよりも優位な点はあるかと問われたデニス氏は、ストレージ管理の分野はほぼ同等か、Windowsの方が少し優れていると答えた。理由としてはSAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)やNAS(ネットワーク・アタッチド・ストレージ)の両方をサポートしなくてはならず、具体的にはドライバーや仮想化ストレージの管理、NASからSANへのゲートウェイなど、構成や設定を行なうツールなどが、Windowsのレベルに至っていないという状況にあるとされた。

“Get the Truth on Linux Management”については、現在は英語版が同社サイトで公開されているが、日本語訳版も予定されているとのことだ。

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