企業向けの情報/セキュリティー/ネットワークシステムに関する展示会“NET&COM 2006”が、東京都港区の東京国際展示場(東京ビッグサイト)で1日から3日まで開催中だ。主催は(株)日経BP。242の企業と団体が参加しており、全48セッションの“NET&COM2006 FORUM”も同時開催されている。
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キッセイコムテックの中澤氏 |
編集部では、同展示会をネットワーク構築を担当したキッセイコムテック(株)を取材。ネットワーク関連展示会を支えるネットワークの設計ならびに設定を担当した、東京事業本部レンタル事業部企画営業グループリーダーの中澤賢(なかざわ さとし)氏などにお話を伺った。
キッセイコムテックは、キッセイ薬品工業の情報システム部門が独立する形で設立されたシステム会社で、NET&COMのほかにも、CEATEC 2005、東京ゲームショウ2005、WPC EXPO 2005といった大規模な展示会のシステム構築を担当している。NET&COM 2006では、東京ビッグサイトの東4ホールと東5ホールの2つを利用している。ネットワークの管理を行なう“NOC”(Network Operation Center)は2つの会場のちょうど中央に位置しており、米ジュニパーネットワークス社のGigabit(ギガビット)ルーター、米エクストリーム ネットワークス社のネットワークスイッチ『BlackDiamond 6808』、ヤマハ(株)のVPNルーター『RTX3000』、(株)シマンテックの検疫アプライアンス『Gateway Security』といった機器がずらりと並んでいる。
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ジュニパーネットワークスのギガビットルータ | | 2つのホールのネットワークを集約するスイッチ『BlacDiamond 6808』 | | ヤマハの『RTX3000』(上段、会場用)とシスコシステムズの『Cisco 3600』(下段、サーバー用) | | シマンテックの『Gateway Security』 |
インターネットへのアクセス回線には、グローバルアクセス(株)のダークファイバーを使用。最大1Gbpsの専用線で、同社が管理する、東京・日本橋にある企業向けインターネットプロバイダー“VECTANT”(AS2519)のデータセンターに直結している。このVECTANTのバックボーン回線は、“JPIX”や“JPNAP東京”などのIX、“KDDI”や”VERIO”の管理する国際回線と接続されており、1ポップで国内の大手ISPやIXに接続できる状態にあるという。
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インターネット接続環境(左)と構内のネットワーク構成(右) |
会場内のネットワークセグメントは、東4ホールと東5ホールの2つに分割されており、それぞれのルーティングはヤマハのRTX3000(2台)を中心に行なわれている。RTX3000は1月下旬に発売されたばかりの新製品だが、パフォーマンスの優れたルーターということで採用したという。
[編集部]
今回、発売して間もないヤマハの『RTX3000』を採用されていますね。昨年開催されたCEATECやWPC EXPOでもヤマハのルーター(RTX1500)を使用されたそうですが、機器の選定はどういう基準で行なっていますか?
[キッセイコムテック]
基本はマルチベンダーで考えており、コストパフォーマンスの高いものを選んでいます。RTX3000を導入した理由としては、1Gのインターフェイスを持っており、高いスループットが期待できる点、SOHO市場などで定評のあるコマンドラインなど、設定の簡単さなどを理由に選んでいます。ルーターには日立の『GR2000』も使っていますが、こちらのポートは100BASE-TXのため、速度は最大でも200Mbps止まりになります。
[編集部]
RTX3000にはQoS(帯域保証)の機能などが搭載されていますが、こういった機能は利用していますか?
[キッセイコムテック]
利用していません。
[編集部]
こういったネットワークの構築のために要する時間やコストはどういったものになるのでしょうか。
[キッセイコムテック]
コストの詳細は申し上げられませんが、一般論としてギガビットの専用線を1ヵ月レンタルすると大体200~300万円。利用する機器はすべてレンタルでまかなったとしても2~300万円はかかるでしょうね。ネットワークの構築に関しては1週間程度かけています。レンタルした機材を当社の事業所であらかじめ設定したうえで、開催の2日前にビックサイトに持ち込み、動作検証を行なっています。ネットワークの管理はほぼ2名で行なっています。
[編集部]
ネットワークにはトラブルがつきものですが、短期間の構築で安定性を実現する上で苦労はありませんか?
[キッセイコムテック]
当社はこの種の展示会のネットワーク構築に対するノウハウが蓄積されているため、NET&COM 2006に関しては今のところ大きなトラブルもなく、問題なく運用できています。ただし、過去には構築後、回線の速度が不安定になるなど、トラブルに見舞われたこともあります。ケース・バイ・ケースですね。過去には前日の午前3時まで拘束されたこともありました。
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最も負荷の高い状態でも70Mbps弱程度になっている | | VECTANTのバックボーン構成、大手のIXやISPと直結している |
[編集部]
アクセス回線には、1Gbpsの専用線を利用しており、それを100BASE-TXで各ブースに分配しているとのことですが、250社近い企業が参加するイベントで容量面での不安はありませんか?
[キッセイコムテック]
東京ビッグサイトや幕張メッセといった展示会場には、ダークファイバーが来ています。アクセス回線の占有はMRTG(サーバー監視ツール)の計測結果で70Mbps程度、最も負荷がかかる状態でも200~300Mbpsほどとなっており、まだまだ余裕があります。ネットワークに接続されている機器の総数は把握できていませんが、250社が参加しているといっても、ブースでネットワーク機器を利用しているのは60社程度です。
[編集部]
CEATECの出展者数はNET&COMよりも多かった(788社)と思いますが、これと近い状況だったのでしょうか?
[キッセイコムテック]
CEATECの場合、展示のみでネットワークを利用したデモを行なっているメーカーは今回よりも少ない状況でした。加えて、NET&COM 2006ではスイッチまで光ファイバーが来ており、ラストワンマイルが100BASE-TXという状況になっていますが、この100BASE-TXも十分に使えるようにできているのではないかと考えています。