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Teleglass

Teleglass

2005年10月03日 00時00分更新

文● 行正 和義

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Teleglass

スカラ

6万3000円

HMD「Teleglass」
HMD「Teleglass」のディスプレイ部は、親指の第一関節くらいのサイズしかない。メガネのフレームに沿わせて、ケーブルを耳に引っかけておけば、あまり目立たないだろう。

 ヘッド・マウンテッド・ディスプレイ(HMD)、つまりメガネのように装着する小型モニタは、映画やアニメ、マンガでおなじみのものだ。だが、現状は民生品としてはほとんど普及していない。ソニーのGlasstronやオリンパスのEye-Trekなどが商品化されたが、普及したとは言い難い。バーチカル市場向けの製品はあるものの、個人で導入するには手軽さや汎用性に欠ける。特にメガネタイプのものは、メガネ使用者にとっては本来かけているメガネと干渉して使えなかったり、見づらくなることもある。

実際の画面表示
実際の画面表示。縦方向の解像度が225ドットしかないが、動画の再生には問題ない。細かい文字でもそれなりに判読でき、映画の字幕程度なら十分。PCの画面を表示した場合、アイコンの文字の判読はさすがに難しい。

 そんななか、小型光学機器メーカーのスカラが開発した「Teleglass」は、小型液晶パネルを用いる片目タイプのHMDだ。小型のディスプレイ部と、電池ボックス(単3電池×2本)を含むコントローラ部のセパレート構造になっており、ディスプレイ部は吸盤とマグネットによって既存のメガネやサングラスに取り付けられる。位置や角度の自由度は高く、また使い慣れた手持ちのメガネが使えるのはありがたい。実際に装着すると、1m程度離れた位置に表示が見える印象だ。ディスプレイ部は約8gと軽量なので、重さによって耳や鼻柱に負担がかかることはない。液晶は約18万画素(800×225ドット)で、縦方向の解像度が不足しているようにも思えるが、映像を見るには十分。映画の字幕も読み取れるほどの画質なのに驚かされる。

ディスプレイ部と吸盤の付いたアダプタは、磁石で引っ付ける
ディスプレイ部と吸盤の付いたアダプタは、磁石で引っ付ける。アダプタ側は凹面になっているため、ディスプレイ部の角度を微妙に変えることができる。

 両眼を覆うGlasstronやEye-Trekなどと違い、Teleglassは映像鑑賞に没入するというよりも、周囲を見ながら映像を確認するような使い方に向いている。例えば、視野の一部を隠すことにはなるが、バイクや自転車でのナビゲーション用途があるだろう。また、HMDはウェアラブルPCとセットで用いられることが多い。Webブラウズなど、いろいろ使い方を考えてしまう。Teleglassの表示ならば、PDAやハンドヘルドPCくらいのことはできそうだ。

コントローラ
コントローラ側には電源スイッチとコントラスト調節、ボリューム、表示の上下反転スイッチ、ビデオ入力端子と音声入力端子(左・右)、ステレオヘッドホン出力端子を装備する。表示の上下を反転させられることにより、ディスプレイ部をメガネの左右どちらのレンズにでも付けられるのは便利だ。

 HMDの普及にとって最大の難関は、おそらく“奇異に見る他人の目”であろうことを考えると、コンパクトなTeleglassはさりげなく使えるサイズだ。最近は携帯オーディオプレーヤに加えてビデオプレーヤも高機能化しており、また携帯電話でも“次は動画配信”という動きにはなっている。だが、やはり表示装置が現状の携帯電話サイズの液晶では物足りないし、通勤電車の中で動画を見るならばのぞき込まれることのないプライベートな視聴デバイスがほしくなるはず。まずは携帯用のビデオ表示としてHMDが普及してくれれば、将来的なPDA/ウェアラブル環境も奇異な目で見られないだろうと思うのだが、いかがだろうか?

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