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ソフトバンクMMとアクセス・パブリッシング、ブロードバンド向け月刊電子雑誌『Manyo-万葉-』を10月1日に創刊――雑誌の見開きをイメージしたデザイン。購読料は無料

2005年09月30日 19時49分更新

文● 編集部 小西利明

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『Manyo-万葉-』の表紙。電子書籍ビューワー『FlipViewer』で閲覧する
『Manyo-万葉-』の表紙。電子書籍ビューワー『FlipViewer』で閲覧する

ソフトバンク メディア・アンド・マーケティング(株)(※1)(以下ソフトバンクMM)と(株)アクセス・パブリッシングは30日、ブロードバンドインターネット向けの電子雑誌『Manyo-万葉-』を創刊したと発表した。月刊形式で刊行し、購読料は無料。閲覧にはイーブック・システムズ(株)の電子書籍ビューワー『FlipViewer』を使用する。

※1 10月1日よりソフトバンク クリエイティブ(株)に社名を変更する。

ソフトバンクMM 代表取締役社長の岡崎眞氏
ソフトバンクMM 代表取締役社長の岡崎眞氏

IT系インターネット媒体の記者を集めて行なわれた説明会で、ソフトバンクMM 代表取締役社長の岡崎眞氏は、ナローバンド自体の商業サイトの失敗の理由について、広告モデルの選択の失敗にあったと分析。有料化は少額決済手段の未整備や無料から有料への移行に際してのユーザー数減少といった問題を抱えていて、サイズとインパクトの大きな広告を強制的に入れることは、ユーザーからのクレームが大きすぎたなど、広告にまつわる電子媒体の問題点を指摘した。また大手企業のウェブサイトがエンターテイメントコンテンツを掲載するようになった点や、メディアとコンテンツの形式の変化などについての知見も披露したうえで、電子書籍の形を取ったManyoは新しい表現形式の媒体を目指すと述べた。

Manyo創刊号のSpecialインタビュー記事。プロモーション以外では滅多にインタビューを受けないという歌手の大友康平さんなども、Manyoの可能性を評価して、協力してくれたという。記事にはインタビュー風景のビデオなども付属している

前述のように、Manyoは電子書籍ビューワーFlipViewerを用いる、FlipBookという技術を利用している。ホームページから雑誌へのリンクをクリックすると、ビューワーがインストール(一度インストールすれば、再インストールは不要)されて、雑誌本体が見られるようになる。中身は雑誌の見開きを模したレイアウトになっていて、ページをクリックすると、ページがちゃんとめくられて次のページが表示される。また紙の端にカーソルを当てると、該当するページ番号がマウスカーソルに表示され、クリックでそのページに直接移動できる。また左下のページ番号にカーソルを当てるとインデックスメニューが表示され、任意の記事にダイレクトに移動もできる。ページは初回表示時にインターネット経由で読み込まれるほか、前後6見開きページ分を先読みしておき、レスポンスを向上させている。また1度読み込んだページは数十ページ分キャッシュされるため、再読込の必要はない。

ページをクリックすると、紙がめくれるように画面がめくられて、次のページが表示される。実用面だけを考えれば意味がないが、紙のテイストを再現するうえでは重要なエフェクトと言える 説明会でのデモより。左には記事がスクロールし、画面右のタブをクリックすると、各地の展望台や天文台、公園などのリストが表示される。リストをクリックすれば、該当のウェブサイトがウェブブラウザー側で表示される
ページをクリックすると、紙がめくれるように画面がめくられて、次のページが表示される。実用面だけを考えれば意味がないが、紙のテイストを再現するうえでは重要なエフェクトと言える説明会でのデモより。左には記事がスクロールし、画面右のタブをクリックすると、各地の展望台や天文台、公園などのリストが表示される。リストをクリックすれば、該当のウェブサイトがウェブブラウザー側で表示される

雑誌内には文字や写真だけでなく、インタビューの音声やビデオ映像、Flashコンテンツ、記事に関連した外部ウェブサイトへのリンクなどを盛り込める。またグッズ紹介のページなどは、誌面の上に重ねる子ウィンドウで紹介している製品のバリエーションを表示し、一覧からアイテムを選択すると、誌面上のアイテム写真も切り替わるといったギミックが取り入れられている。紙媒体のファッション雑誌や情報誌をイメージして誌面作りが行なわれているため、記事や広告はどれも見開き単位で大きく、かつ美しくデザインされている。広告もFlashや動画、音楽を利用しているため、紙媒体の読みやすさやビジュアルインパクトに加えて、マルチメディアの表現力や外部ウェブサイトへのリンクによる読者の誘導も行なえるなど、電子書籍ならではの利点を活用している。

グッズ紹介のページの見本。右側の一覧で見たい商品をクリックすると、左に大判の写真が表示される。紙ではできないギミックだ デモで披露された広告のサンプル。独BMWの広告だが、製品サイトへのリンクや、左下にCMの動画を表示することもできる。雑誌の見開きをイメージした大きな写真を駆使したレイアウトもインパクトがある
グッズ紹介のページの見本。右側の一覧で見たい商品をクリックすると、左に大判の写真が表示される。紙ではできないギミックだデモで披露された広告のサンプル。独BMWの広告だが、製品サイトへのリンクや、左下にCMの動画を表示することもできる。雑誌の見開きをイメージした大きな写真を駆使したレイアウトもインパクトがある

雑誌自体は40代を中心に30~40代の男性向け、および家族や恋人の女性向けの情報誌で、創刊号は歌手の鈴木雅之や大友康平のインタビュー、などが掲載されている。また作家やイラストレーターによる書き下ろしの連載記事に加えて、絶版となった過去の書籍の記事の再掲載(原田宗典氏の“東京トホホ本舗”)なども掲載されるなど、バラエティーに富んでいる。

Manyoの中身について説明を行なったアクセス・パブリッシング 取締役副社長にして、Manyo編集長の平澤和夫氏
Manyoの中身について説明を行なったアクセス・パブリッシング 取締役副社長にして、Manyo編集長の平澤和夫氏

FlipViewerにはコンテンツ保護のための独自のDRM技術も取り入れられており、たとえばManyoの場合、Print Screenキーによる誌面のコピーなどはできない。また“読者がどのページを何秒間読んだか”といったこともサーバー側で把握できるため、記事や広告の閲覧状況を、より細かく把握できる点も興味深い。

購読料は無料で、基本的に広告収入で利益を得るビジネスモデルを採用している。刊行形態は月刊だが、記事によってはより短いサイクルで中身を入れ替えることも可能という。ターゲットとする読者数は10万ユニークユーザーとのことだ。FlipViewer自体は対応OSがWindows XP/2000/Me/98 SEとMac OS X 10.2以上、CPUはWindows版がPentium-300MHz以上、Mac OS X版がPowerPC G3-450MHz以上となっている。対応するウェブブラウザーはWindowsがInternet Explorer 5.01以上、Mac OS X版はSafari 1.0以上となっている。通信速度は300kbps以上。ただしManyoでは推奨環境での動作を前提にデザインされているようなので、1Mbps以上の通信速度がほしいところだ。

電子書籍・雑誌は可能性の高さを期待されながら、広く一般に普及するという状況には至っていない。しかし広告媒体としての価値をベースに、雑誌の利点と電子媒体の利点を兼ね備えるように作られたManyoのアプローチは、電子雑誌活用の新たな方向性を示している。雑誌出版業界関係者やインターネット媒体関係者、広告事業関係者は一見の価値があるだろう。

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