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【Video Solution Conference 2005 Vol.3】公開中の映画『ローレライ』製作秘話

2005年03月16日 04時42分更新

文● 編集部

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実際に監督は始終PowerBookを使って、場所を選ばずに作業を行なっていたようだ。そのエピソードについては次のように話してくれた。「われわれはお台場指令Xと呼んでたんですけど(笑)、アメリカで打ち合わせをしてた時なんかは、帰国寸前に「あそこちょっと見せてくれないかな」という連絡がきたんです。帰りの飛行機のなかで編集を直してくれないかと、ポっと言ってくるんですよ(笑)。で、仕方ないから電源の付いてるビジネスクラスに変更してもらって…(笑)、サンフランシスコから成田までずーっと編集作業をしてたんです。でも飛行機って着陸態勢になると電源落としちゃうんですよ(笑)。その時にDVDに焼いてたんですけど、バーであと数ミリのところでブツって落ちちゃって(笑)。仕方ないから成田からお台場までずーっとDVDを焼き続けていた。こうやって映画っていうのが出来上がっていくのを、みなさんご存知ないと思うんですけど(笑)。大作とか言われてますけど、実情はこんなもんです。あっ、そうそう、ゆりかもめでも焼いてました(笑)」

また、バスの中で作業をすることもあった。「音楽の貼り付けは、成城の撮影所から渋谷までバスの中でやりました。移動中にPowerBookを開いて作業したんです。そうすると、おじいさんとかが怒りだすこともあった(い)。「君はなんなんだ、さっきからコンピュータでゲームなんかしやがって」って(笑)。俺は仕事してんだよ~って思っても、よその人が見たらパソコン開いてヘッドフォンしてカチャカチャやってて、けしからん最近の若者は!みたいになっちゃっうんでしょうね。席をゆずりたまえみたいな……感じだったんですけど、イヤそれどころじゃなくて、この音楽を貼りつけなくちゃ、みたいな状態の時もありました」

監督は17インチのPowerBook思いのでいろいろなところに出かける。重いが持って歩く。「中途半端に持つ気にさせるところがにくらしい。もうちょっと重ければあきらめるのに(笑)」。

大屋氏はできるだけ、データを人間が運ぶことを少なくしたいと考えていた。そのために、本庄にある早稲田大学国際情報通信研究センターと東宝のスタジオ、マリンポストをNTTのBフレッツ回線で接続した。この3ヵ所にはXserveRAIDがあった。「結局、最後の追い込みになってくると、ものを運ぶ人間っていうのは合成をやっている人間だったりする。さっきのように監督ですらそうしながら何かをやるという状態になる。危険度が増すんですよ。貴重なクリエイターを危険にさらしたくない一身でくみ上げたシステムなんです」。大屋氏はひとつの画期的な方法だったと振り返った。

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