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サミーネットワークス、携帯電話経由で家電にメロディーなどのデータを転送するプラットフォーム“MUPASS”を発表

2004年12月03日 22時12分更新

文● 編集部 内田泰仁

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(株)サミーネットワークスは2日、携帯電話を介して家庭電化製品にメロディーなどのデータを転送するためのプラットフォーム“MUPASS(ミューパス)”の開発と、同プラットフォームによるサービスの提供を2005年春をめどに開始すると発表した。“MUPASS”サービスを提供する携帯電話キャリアーや提供価格は現時点では未定だが、価格については、同社が現在提供している着信メロディーのダウンロードサービスと同水準(月額課金で税別300円程度)を検討しているという。

“MUPASS”によるサービスのイメージ“MUPASS”でのデータの流れ

“MUPASS”によるサービスの流れは、携帯電話の赤外線データ転送機能を利用し、携帯電話でダウンロードした音楽(メロディー)をはじめとするコンテンツを、“MUPASS”対応の家庭電化製品(AV機器に限らず、乳幼児用玩具、電子レンジ、冷蔵庫など、幅広い機器での利用を検討)に転送、受信した機器側で受け取ったコンテンツを利用する、というもので、サービスのイメージとしては、ダウンロードした“着メロ”を、外部の機器に転送して使用する、という流れになる。同日に行なわれた記者説明会で示された例としては、乳幼児向け玩具のメリーのオルゴール音を、“MUPASS”のサービスを利用して新しいものに書き換える、などというものが紹介された。

“MUPASS”プラットフォームの基本構造“MUPASS”のビジネスイメージ

同プラットフォームにおける携帯電話と対応機器との間のデータのやり取りは、IrDA規格のうち特に携帯電話に特化した規格であるIrMC(IrDA Infrared Mobile Communication)が用いられる。また、通信時は、データの著作権およびセキュリティーの保護のため、独自のセキュリティーフォーマットとプロトコル、アプリケーションを利用するという。なお、現時点ですでに、日本音楽著作権協会(JASRAC)から“新しい音楽配信システム”としての許諾を得たとしている。

同日の発表時点での“MUPASS”に対応した製品の検討しているパートナー企業は以下のとおり。各社からの具体的な製品の予定などについては、現段階では明らかにされていない。

  • アロー電子工業(株)
  • クラリオン(株)
  • コンビ(株)
  • 三洋電機(株)
  • (株)セガトイズ
  • ツインバード工業(株)
  • (株)ノーリツ
  • ノーリツエレクトロニクステクノロジー(株)
  • (株)バンダイ
  • (株)ビッグサンズ
  • ユピテル工業(株)
  • リンナイ(株)

モデルの女性が左手に持っている基板が現時点での“MUPASS”対応製品向けのサンプル基板。右手に持っているのは今後登場予定のワンチップ化された“MUPASS”チップのイメージ。チップ単価は500円程度になる見込みだという開発および製品化のロードマップ

今後の開発および製品化のロードマップとしては、現在すでに“MUPASS”データ受信用基板のサンプルをパートナー企業向けに提供中で、今後、製品実装用基板の供給を2005年2月をめどに開始、2005年3月ごろにはワンチップ化が完了する見込みだという。また、各パートナー企業による製品化は、早いところで2005年4~5月、多くは2005年秋ごろまでに行なわれるという。

“MUPASS”を利用したサービスとしては、現時点では“着メロ”と同水準のメロディーデータを、対応家庭電化製品に転送して利用するというものが想定されているが、転送可能なデータはメロディーデータに限られているわけではなく、“着うた”のような音声データ(数秒間の短いものだけでなく、楽曲まるごと1曲なども可能)、グラフィックスデータ、アプリケーションやそのほかのファイルデータなど、応用範囲は広いという。同社では、コンテンツ販売のほか、システムのバージョンアップやアフターサービスなどへの応用なども視野に入れ、バリアフリーやユニバーサルデザインなどへの寄与の可能性も併せて今後の開発を進めていくという。

同社代表取締役社長の大野政昭氏

記者説明会の冒頭に概要の説明を行なった同社代表取締役社長の大野政昭氏によると、着信メロディーのユーザーは5000万人前後で、同社の着信メロディー関連の有料コンテンツ会員数は2004年9月時点で260万人(2003年同月比約100万人弱増)。しかし今後、サービスの飽和と会員数の増加ペースの鈍化が予想され、新しいビジネスの創出が課題だという。“MUPASS”は、従来同社が取り組んできた着信メロディービジネスをベースに、「今までになかった市場、ライフスタイルを創出する」ものであるとし、1000万ユーザー、360億円市場を目標とすると述べた。なお、サービス開始時点で提供するコンテンツ(メロディーデータ)は、同社が現在提供している着信メロディーサービスと同程度のクオリティーとボリュームになるとのことで、データ数は約1万曲を予定しているという。

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