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任天堂、NINTENDO DSの体験会を開催――タッチスクリーンやワイヤレス通信を生かしたゲームが続々登場!

2004年10月07日 00時00分更新

文● 編集部 小西利明

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NINTENDO DS

任天堂(株)は7日、東京ファッションタウンビルにて、12月3日に発売予定の携帯ゲーム機『NINTENDO DS』の報道・業界関係者向け体験会“NINTENDO DS PREVIEW”を開催した。体験会の冒頭で、任天堂取締役社長の岩田聡氏は「ゲームが複雑になりすぎてゲーム離れと呼ばれる市場の縮小を招いた。しかし、ただシンプルなゲームだけでは解決にならない」と述べたうえで、「それに対する最初の答えがNINTENDO DSである」と語った。

任天堂取締役社長の岩田聡氏は、ゲーム離れに対する最初の答えがNINTENDO DSであると述べる。NINTENDO DSが“最初の”答えということは、来年のE3にて発表するという次世代の据え置き型ゲーム機が“第二の”答えになるのだろうか
任天堂取締役社長の岩田聡氏は、ゲーム離れに対する最初の答えがNINTENDO DSであると述べる。NINTENDO DSが“最初の”答えということは、来年のE3にて発表するという次世代の据え置き型ゲーム機が“第二の”答えになるのだろうか

NINTENDO DSの大きな特徴は、タッチパネル入力の採用と縦に並んだ2つの画面がまず挙げられる。特にタッチパネルはゲームに新しい操作感をもたらす物として期待されるが、これについて岩田氏は、長年使われてきた十字キーとボタンというゲームコントローラーのインターフェースは、初心者とゲームマニアに間に習熟の大きな差ができてしまった。タッチパネルという新しいインターフェースがその差を埋める、と述べた。

また、もう1つの大きな特徴であるワイヤレス通信機能(IEEE 802.11bおよび任天堂独自方式)についても、非常に興味深い情報が語られた。まず多人数でひとつのゲームを共有して遊びやすくするために、1台のNINTENDO DSに装着されたゲームをワイヤレス経由で他のNINTENDO DSに配信する機能が搭載された。岩田氏はこの機能を“ゲームシェアリング”と呼び、台数分ゲームを揃えなくても、誰か1人がゲームを持っていれば他の人も楽しめると説明した。
さらにワイヤレスによるコンテンツ配信の活用法として、ゲーム販売店の店頭で制限付きの体験版をユーザーの持つNINTENDO DSに配信することで、店頭試遊の構造を変えるほか、続編が多くオリジナルの新作が生まれにくいゲーム業界の現状も変えていくというアイデアも語られた。

また来夏に予定されるポケットモンスターの劇場用アニメーションでは、映画館にゲームボーイアドバンス用のポケモンを装着したNINTENDO DSを持っていくと、映画のストーリーに同期して登場するポケモンをワイヤレスで配信するといったアイデアも計画しているとのことだ(映画館側に配信設備の対応が必要)。ワイヤレス通信機能はソニー・コンピュータエンタテインメント(株)の携帯ゲーム機『PlayStation Portable』にも備わっているが、店頭デモゲームをユーザー自身のゲーム機に配信したり、映画と連動したオリジナルデータの配信など、ワイヤレスでのゲームプレイ以外の活用についてもさまざまな施策が練られているのは、さすがにゲームのしにせならではの発想と言える。

続いて登場した情報開発本部長の宮本茂氏は、NINTENDO DS用に現在開発中の『Nintendogs』(仮称)のデモを実演した。画面の中で遊ぶ子犬たちに向かって宮本氏が「コジロー」と何度も呼びかけると、コジローと名付けられた柴犬がこちらのほうによってくる。さらには宮本氏が声で命令すると、ごろんと転がっておなかを見せるなど、NINTENDO DSの音声入力機能を活用することで、今までにないおもしろさが実現されていることを示した。

またNINTENDO DS向けにゲームソフトを開発している、(株)セガの中祐司氏、(株)スクウェア・エニックスの河津秋敏氏、(株)ポケモンの石原恒和氏らが登壇。宮本氏と共に、開発中のゲームについてのトークを行なった。

マリオ、ゼルダの生みの親として知られる、任天堂情報開発本部長の宮本茂氏。Nintendogsの実演で、宮本氏の「ごろーん」という声の命令で子犬が寝転がっておなかを見せると、会場が笑いに包まれた
マリオ、ゼルダの生みの親として知られる、任天堂情報開発本部長の宮本茂氏。Nintendogsの実演で、宮本氏の「ごろーん」という声の命令で子犬が寝転がっておなかを見せると、会場が笑いに包まれた
来春に向けて開発中の『Nintendog』(仮称)。柴犬やビーグルの子犬を育てるゲーム。ペンで犬をなでたり声で呼びかけたりと、NINTENDO DSならではの機能が活用されている 来春に向けて開発中の『Nintendog』(仮称)。柴犬やビーグルの子犬を育てるゲーム。ペンで犬をなでたり声で呼びかけたりと、NINTENDO DSならではの機能が活用されている
開発中のタイトルについて説明した宮本氏(左)と、(株)セガ中氏(左から二人目)、(株)スクウェア・エニックス河津氏(右から二人目)、(株)ポケモン石原氏(右)。河津氏はファミコン時代の名作RPG『ファイナルファンタジーIII』をNINTENDO DS向けに開発中であることを発表した
開発中のタイトルについて説明した宮本氏(左)と、(株)セガ中氏(左から二人目)、(株)スクウェア・エニックス河津氏(右から二人目)、(株)ポケモン石原氏(右)。河津氏はファミコン時代の名作RPG『ファイナルファンタジーIII』をNINTENDO DS向けに開発中であることを発表した

岩田氏はNINTENDO DSに多くのデベロッパーが共感し、現時点で46社が124のタイトルをNINTENDO DS向けに開発中であると述べた。NINTENDO DS本体の発売時には、任天堂のタイトルが5つ、他メーカーのタイトルが7つが同時に発売され、年末までには14タイトルが発売されるという。ゲーム1本当たりの価格も、任天堂のタイトルでは3800円(直感ヒトフデ)から4800円(ポケモンダッシュなど)と、比較的安価に設定されている。

試遊会場には開発中のNINTENDO DS用ゲームソフト多数がプレイ可能な状態で出展され、多くの来場者がスタイラスペンを手にゲームに興じていた。いずれもタッチパネルや音声入力といった今までにない機能を活用したゲームとなっており、任天堂が言い続けていた「ゲームを変える」という言葉が、実現し始めているのを実感させられた。
なお任天堂ではNINTENDO DSの発売前に、ユーザーが実際にNINTENDO DSと専用ゲームを体験できる展示会として、“ニンテンドーワールド Touch! DS”を11月3日より、名古屋を皮切りに全国五都市で開催する予定である。

NINTENDO DS用のゲームは小さなカード型カートリッジで提供される。500円玉より一回り大きい程度と、ゲームボーイのカートリッジとはかなりイメージが異なる
NINTENDO DS用のゲームは小さなカード型カートリッジで提供される。500円玉より一回り大きい程度と、ゲームボーイのカートリッジとはかなりイメージが異なる
任天堂の『ポケモンダッシュ』。ピカチュウやニャースといったポケモンたちが、レースを繰り広げる。ゲームボーイアドバンス用のポケモンと組み合わせると、マップが増えるといった要素もある任天堂の『ポケモンダッシュ』。ピカチュウやニャースといったポケモンたちが、レースを繰り広げる。ゲームボーイアドバンス用のポケモンと組み合わせると、マップが増えるといった要素もある
ポケモンダッシュをプレイ中の様子。下画面をペンで激しくこすることで、ピカチュウがこすった方向に走っていく。遊んでいる様子を見るからに楽しそう
ポケモンダッシュをプレイ中の様子。下画面をペンで激しくこすることで、ピカチュウがこすった方向に走っていく。遊んでいる様子を見るからに楽しそう
NINTENDO DS本体に内蔵されるワイヤレス通信対応チャットソフト『ピクトチャット』。人が描いた絵に、他のユーザーがどんどん描き足していくなんてこともできる。これだけでもかなり遊べそうだ とぼけた味のミニゲーム集『さわるメイドインワリオ』。マイクに向かってふーふー吹くなんてゲームもある。どのミニゲームもNINTENDO DSならではの機能を使っていて、単純で馬鹿馬鹿しいながら、思わず熱中してしまう
NINTENDO DS本体に内蔵されるワイヤレス通信対応チャットソフト『ピクトチャット』。人が描いた絵に、他のユーザーがどんどん描き足していくなんてこともできる。これだけでもかなり遊べそうだとぼけた味のミニゲーム集『さわるメイドインワリオ』。マイクに向かってふーふー吹くなんてゲームもある。どのミニゲームもNINTENDO DSならではの機能を使っていて、単純で馬鹿馬鹿しいながら、思わず熱中してしまう
すでにその音楽がネットで話題の『きみのためなら死ねる』(セガ)http://kimishine.sega.jp/。“任天堂の携帯ゲーム機=子供向け”のイメージをくつがえすラブストーリー物? 最大8人同時対戦が可能な『ぷよぷよフィーバー』(セガ)。8人対戦時は上の画面に4つ、下の画面にも4つという、前代未聞のゲーム画面表示が行なわれる
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