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日本AMDと米クレイ、HPC製品に関する共同プレスセミナーを開催

2004年07月23日 17時26分更新

文● 編集部 内田泰仁

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日本エイ・エム・ディ(株)と米クレイ(Cray)社は22日、都内でプレス向けセミナーを開催し、クレイの最新HPC(ハイスペックコンピューティング)製品の話題を中心に、両社の最新技術動向を説明した。

米クレイの副社長でマーケティング・戦略企画担当のロリー・カイザー氏クレイのこれまでの展開

最初に登壇したクレイの副社長でマーケティング・戦略企画担当のロリー・カイザー(Lori Kaiser)氏は、同社製品のラインナップや戦略について説明した。同氏によると、現在のクレイの製品はHPC分野に特化しており、ラインナップは以下のとおり。

クレイのHPC製品ラインナップ

『Cray X1』
ベクトル・プロセッサーを採用した同社ハイエンド製品。OSはUNICOS/mp。処理能力は1~50T(テラ)FLOPS(※1)超
『Red Storm』
現在開発中で第3四半期にも初期出荷が開始されるミッドレンジの製品。CPUにはAMDのOpteronを採用。OSはLinux。処理能力は1~50TFLOPS
『Cray XD1』
同社ラインナップ中では最も低コストな製品となる、現在開発中の3UラックサイズのHPC製品。OpteronおよびLinuxを採用。処理能力は48G(ギガ)~1.2TFLOPS超。最初期出荷は第4四半期、2005年1月から量産体制に入る予定

※1 Floating point Operations Per Secondの略。1秒間に浮動小数点演算を何回行なえるかを示す値

クレイがターゲットとする市場クレイの成長予測

カイザー氏は、これらの同社製品に一貫した特徴として「バランスの取れた目的の明確な製品」であることを挙げている。また、ターゲットとなる分野は、機密性の高い政府機関、政府の研究機関、気象/環境観測施設、自動車産業、生命科学や航空/宇宙工学などの研究施設、学術研究施設、などになるという。今後の展開としては、『Red Storm』『Cray XD1』の投入により、従来の大規模研究施設に加え、官公庁やエンタープライズ分野への進出も進めていくとしている。

米クレイの最高技術責任者、ブライアン・コブレンツ氏『Cray XD1』のシャーシ外観と、搭載されている主要技術

今回のプレゼンテーションの中心となったのは、同社が現在開発中の最新製品『Cray XD1』。解説は、クレイの最高技術責任者であるブライアン・コブレンツ(Brian Koblenz)氏が行なった。

『Cray XD1』は、3Uラック6枚のブレードを内蔵するコンパクトサイズのHPC製品。前述のとおりAMDの64bit CPU“Opteron 200”シリーズを搭載。大きな技術的特徴としては、

  • HyperTransportを利用した“ダイレクトコネクト”によるインターリンク
  • システム監視/制御機能“Active Management”
  • アプリケーションの処理を高速化する“Application Acceleration”サブシステム

の3点。また、設計/開発の基本理念として同氏は「I/Oとメモリー、プロセッサーの能力のバランスを取りながら、カスタマーが信頼できるシステムを提供する」ことを挙げている。

『Cray XD1』のシャーシ内部。3Uラック内に6枚のブレードと合計12基のOpteronを搭載『Cray XD1』のブレードの構成図

シャーシ内に内蔵されるブレードはそれぞれ、CPUとしてOpteron 200シリーズを2基、アプリケーションの実行処理をCPUとの並列処理によって高速化する“Application Acceleration System”を1基搭載する。メモリー容量はシャーシあたり12~96GB、メモリーバンド幅はSMPあたり秒間12.8GB。

“RapidArray”インターコネクトシステムによる転送レートを解説したスライド
CPUとメモリーやI/Oなどとのデータ通信にはAMDの“HyperTransport”技術を用いた“RapidArray”インターコネクトシステムを用い、ブレード上には同社独自のコミュニケーションプロセッサー“RapidArray Communication Processer”が2基搭載される。SMPあたり2または4系統のRapid Arrayリンク(SMPあたりのデータ転送レートは秒間4または8GB)を持ち、ブレード-シャーシ上のメインボード間のインターコネクトはRapid Arrayのスイッチファブリックにより秒間48または98GB。外部シャーシとのリンクにもRapid Arrayが用いられ、12または24系統のリンクを装備、転送レートは秒間24または48GB。

HPCでのパフォーマンス向上には、プロセッサー自体の高速化と同時にプロセッサー間のデータ転送を高速化することが重要になる。同社ではHyperTransportやRapid Arrayの活用によりデータ転送を高速化することでCPUのアイドル時間を減らし、より効率のいい処理を実現しているという。

メインボード上に搭載される“Active Management”は、パーティショニング(システムを複数の論理コンピューターに分割/管理)と自立再構築機能を備えたシステム監視/制御機能。単一のシステムコマンドと制御により、システムの稼働時間やマルチプロセッサー管理の効率化、高い可用性と信頼性を提供するとしている。

外部I/OとしてはこのほかにPCI-Xスロットを4基、シャーシあたり最大8ポートまで装備可能なGigabit Ethernetカード、最大4ポートのファイバーチャネルHBAを備える。シャーシ内に内蔵可能なHDDは3.5インチまたは2.5インチ/シリアルATA接続のHDD(最大6台)。OSはクレイがHPC向けにカスタムしたLinuxが用いられる。

このほか同氏からは

  • 『Red Storm』の米国のサンディア国立研究所への最初期出荷を2004年中に完了(4回に分けて納品し、最終的には1万CPUを搭載するシステムになるという)
  • 『Cray X1』の3倍のCPUパワーと1.5倍の処理速度を持つ上位版『Cray X1E』の出荷

といったトピックスが紹介された。

日本AMD CPGマーケティング本部・本部長代理、小島洋一氏Opteronを採用した各社HPC製品

最後にプレゼンテーションを行なった日本AMDのCPGマーケティング本部・本部長代理の小島洋一氏は、同社の64bit CPUのラインナップ紹介や実績、2005年までのロードマップなどを解説した。この中で小島氏は、クレイをはじめとするHPCメーカー各社によるOpteronの採用実績を紹介、HPC分野でのOpteronの強さを強調した。また、メモリーやI/O、CPU間をダイレクトに接続する“ダイレクトコネクト・アーキテクチャ”と、クレイの設計思想が似ており、その結果が“Rapid Array”インターコネクトにつながったとしている。

CPU-メモリー間のデータ転送CPU-I/O(PCI-X)間のデータ転送
“HyperTransport”による“ダイレクトコネクト・アーキテクチャ”の説明

2005年までのOpteronのロードマップ。今年後半からは90nmプロセスに移行
CPUのロードマップとしては、2004年後半に90nmプロセスルールに移行し、2004年後半には90nm/デュアルコア製品をリリースしていく予定だと述べた。また、この90nm版では、通常の89W(ワット)駆動タイプと、低電力版の55Wまたは30W駆動タイプの3タイプを投入するとしている(いずれも現在と同じ940ピンインフラ対応)。消費電力以外の性能はどのタイプも変わりがなく、55W版はラックサーバーやブレードサーバー、30W版はNASやSANエンジン、テレコム交換機、ネットワークアプリケーションサーバー、といったように用途やシャーシサイズに応じた提案をしていくといい、空調を含む電源容量や面積に制限があるデータセンターなどでは「低電力版への置き換えにより大幅なコスト削減が可能になる」と述べている。



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