カノープス、デジタル放送の著作権保護機能に対応するPCIスロット用MPEG-2キャプチャー&TVチューナーカード『MTVX2004HF』などを発売
2004年07月21日 22時52分更新
MTVX2004HFを紹介する執行役員兼第一開発部部長の中田 潤氏 |
カノープス(株)は21日、東京・日本橋のカノープスビデオサロン(東京)で記者説明会を開催し、MPEG-2キャプチャー&TVチューナーの新製品として、デジタル放送対応TVチューナーのアナログ出力信号に掛けられている著作権保護機能“CGMS-A”に対応するPCIスロット用カード『MTVX2004HF(エムティービーエックス ニセンヨン エイチエフ)』、赤外線リモコンとオーディオ/ビデオ信号を延長する有線伝送システム『AVREx(エーブイレックス)』、1フレーム単位でのMPEG-2ファイルの編集およびメニュー作成やチャプター編集機能などを備えたDVD-Video作成ソフト『MpegCraft2 DVD(エムペグクラフトツー ディーブイディー)』を7月下旬以降順次発売すると発表した。価格(編集部予想による店頭実売価格)と発売時期は以下のとおり。
- MTVX2004HF
- オープンプライス(2万9800円)/8月上旬
- AVREx(ダイレクト販売のみ)
- 9800円(発売記念特価)、1万4800円(通常価格)/7月下旬
- MpegCraft2 DVD
- 5985円、アップグレード版3150円(『MpegCraft DVD』もしくは『MpegCraft』ユーザー向け)/8月中旬
内蔵TVチューナーを高画質化し
デジタル放送の録画に対応
MTVX2004HFは、今年1月に発表、2月に発売されたMPEG-2キャプチャー&TVチューナーカード『MTVX2004』の上位機種にあたり、以下の点が機能強化されている。
- 地上デジタル放送やBS/CS放送のデジタルチューナーのアナログ出力信号を取り込むため、著作権保護機能“CGMS-A(Copy Generation Managements System Analog)”に対応
- 特定の映像信号が音声信号に影響を与えて発生する“バズノイズ”などの発生を抑える“スプリットキャリア方式チューナー”を採用
- コンポーネント入力(D1)端子を含む2系統の外部入力端子を搭載
- アンテナ入力信号が劣化したり届きにくい地域で高画質化を図る3D Y/C分離と3Dノイズリダクションの画像補正機能を両方同時に利用できる“ダブル3Dプロセッシング”に対応
MTVX2004HF |
CGMS-Aは、デジタルTVチューナーのアナログ出力信号に対して“コピー制限なし/1回のみコピー可能(コピーワンス)/コピー不可”の属性を付加する著作権保護機能。MTVX2004HFでは、付属のTV視聴録画ソフト『FEATHER2004D(フェザーニセンヨンディー)』を利用することで、コピー制限なしもしくはコピーワンスの映像をキャプチャーする際に、MTVX2004HFのカード上に記録されているシリアルIDを基に暗号化したMPEG-2ファイルとして記録する。再生は録画に利用したMTVX2004HFが存在する環境のFEATHER2004Dでのみ可能。ファイルのバックアップは可能だが、ビデオ編集や他形式への変換はできない(DivXでのMPEG-4圧縮も不可)。開発に携わった執行役員兼第一開発部部長の中田 潤氏は、「ソフトもハードもカノープスの自社製だから実現できた。ただ、現在はHDD上に残すのみでCPRM(Contents Protection for Recordable Media)対応の記録型DVDなどへの出力ができない。今後はこれへの対応と、ビデオ編集などの実現が課題だと考えている」と語った。
MTVX2004HFの基板 | MTVX2004HFの入出力端子 |
なお、録画時には外部入力端子から外部チューナーのアナログ映像信号を取り込むため、
- 録画予約はまず外部チューナーのEPG(電子番組表)機能などを利用して、録画したい番組の表示予約を行なっておく
- MTVX2004HFには、外部入力端子に映像信号が入力された瞬間から録画を開始する機能がある。これを利用して録画開始直前まで目的の番組が始まった瞬間から自動的に録画を開始/終了することができるが、MTVX2004HFではパソコンの起動(サスペンド/ハイバネーションからの復帰)が行なえないので、録画開始までにパソコンを起動しておく必要がある
- 録画したい番組よりも前から外部チューナーが稼働している(常に映像信号がMTVX2004HFに入力状態にある)場合は、外部入力端子の録画開始/終了時間をあらかじめ指定しておくことで予約録画が可能
などの制限(地上アナログ放送の予約録画との違い)がある。
MTVX2004は開発時点からCGMS-Aへの対応を考慮していたため、MTVX2004ユーザー向けに近日公開予定のFEATHER2004Dを利用することで、同様にデジタルTVチューナーの録画が可能になる。
MTVX2004HFの特徴を示すパネル | MTVX2004HFの付属ソフト |
スプリットキャリア方式チューナーとは、アンテナに入力された電波を映像と音声を分離してから増幅することで、映像が音声に影響を与えることなくクリアな音声信号として出力できるというもの。従来の“インターキャリア方式”チューナーでは、映像/音声の混在する電波をそのまま増幅してから映像と音声に分離するため、極端に明るい映像などで音声にノイズが乗る場合があったという。このスプリットキャリア方式は、かつての高級HiFiビデオデッキなどで採用されていた方式で、製品名のHFもHiFiに由来するとのこと。
外部入力端子は、一方がコンポーネント(D1)/S-Video(S1)/コンポジット、他方がS-Video/コンポジットに対応する(S-Video以外は付属の変換ケーブルを利用)。このコンポーネント入力と2系統入力端子の装備は、既存製品のユーザーからの要望が多く、その声に応えて実現した機能だという。
動作環境は、対応OSがWindows 2000/XP、CPUにPentium III-600MHz以上、メモリー128MB以上(256MB以上を推奨)を搭載するPCIスロット内蔵のデスクトップパソコン。MPEG-2キャプチャー時のビデオビットレートは最大15Mbps(Iピクチャーのみでは最大25Mbps)。カード長は156mm。