中小企業のEC・IT化の推進を目的とするEC実践サポーターズは15日、都内で記者会見を行ない、今後の人材育成やインフラ整備について説明を行なった。EC実践サポーターズは4月21日、経済産業省新規事業創出促進法認定事業“オープンコンサルティングプロジェクト”(OCP)が発起人となって発足したもので、大手企業と関連団体から構成されている。
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OCP代表の桑山義明氏 |
そもそもOCPは2000年10月に(株)シーガルとマイクロソフト(株)の提唱によって、中小企業を対象にコンサルティングができる人材を育てようということでスタートした。何回かの合宿研修を経ながら約60名の実働できるコンサルタントを育てて活動しているとのことだ。しかし、OCP代表の桑山義明氏は「中小企業がネット社会とリアルな環境をつなげてビジネスを展開していくには、依然、“人材”“ITインフラを通してビジネスができるしくみ”“BtoBなどビジネスのサポート”といった問題がハードルとなっている」と話した。
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日本商工会議所常務理事の篠原徹氏 |
今回の支援の目玉のひとつである人材育成に大きな役割を果たすのが商工会議所だ。日本商工会議所は電子商取引、電子認証、ネットワークの運用、セキュリティー対策、ネット関連法規など幅広いIT知識とスキルを修得するための“EC実践能力検定試験”を創設し、公式テキスト、eラーニングの教材を作成・提供。すでに4月から初級レベルに当たる3級の試験を開始している。この試験は試験実施から採点、合否の判定までがネット上で行なわれる。また、これと併行して実際に電子証明書を利用したり、電子商取引やネットワーク運用を体験するE実践研修を来月から実施するとしている。
また「中小企業が3ヵ月でネット社会に対応していく」ために、“ITインフラパック”を用意。EC実践サポーターズが強力する。これは、ソフトウェア、ハードウェア、通信、コンサルティング、運用サポート、セキュリティーチェックなどを一括して提供しようというもの。「中小企業の経営者にとっては、いざ会社をIT化しようと思った場合、契約先が多すぎることなどIT化へのファクターが多すぎ、誰に相談したらいいか悩んでいる人も多い」と桑山氏は話す。標準パックモデルは以下の示したとおり。
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ITインフラパックの説明と主なサービス |
- ITインフラパック標準モデル
- 3ヵ月導入コンサルティング:ITインフラ導入コンサルティング
- 3年間サポート:24時間365日オンサイト
- パソコンヘルプデスク:午前10時から午後10時まで土日もサポート
- サーバー:CPU/Pentium 4またはXeon、メモリー/512MB、HDD/80GB、無停電電源装置
- クライアント(ノート):3台、CPU/Pentium M、メモリー/256MB、HDD/40GB、無線LAN
- ネットワーク:ブロードバンドルーター/無線LAN
- サーバーソフト:SBSサーバー、GroupBoard、ウイルスチェック
- クライアントソフトウェア:Windows XP Professional、ウイルスチェック、Office(Word、Excel)
- インターネット回線:光回線
- インターネットFAX:メールからFAXへ送信
- ドメイン:1つ
- ホスティングサービス:ホームページ、電子メール
これらの価格は一体いくらなのか?と報道陣から質問があったが、「まだ具体的には詰めていない」としながらも3年契約で月額約5万円という低価格を予定しているとのことだ。社数については初年度1000~2000社を見込んでいるという。コンサルティングには専属のビジネスプロデューサーのほか、マイクロソフト認定システムコーディネータ(MCSC)の200名があたる。
教材の説明にはEC実践サポーターズの参加企業の製品が使われており、導入されるパックの製品も各メーカーのものとなる。企業によっては好みの製品を導入したという場合が考えられるが、氏は「(そのようなことになると中小企業のIT対応に)時間がかかる。その時間はかけられない」と話している。
ちなみに、参加している主な企業・団体は、マイクロソフト(株)、インテル(株)、NECフィールディング(株)、(株)エヌ・ティ・ティエムイー、(株)オービックビジネスコンサルタント、オリックス(株)、(株)シーガル、トレンドマイクロ(株)、日本電気(株)、(株)バッファロー、(株)パソナ、特定非営利活動法人ITユーザーサポート、オープンコンサルティングプロジェクト、サイバーシルクロード八王子、電子商取引推進協議会(ECOM)、日経パソコン、日本ユースウェア。
