本体の底面積は、A4変形の週刊アスキーよりやや小さいサイズ |
付属するUSB光学式マウス。メモリースティックスロットを装備する |
PCカードスロットの未使用時のための、ダミーカードにもVAIOのロゴがシルク印刷されている。電源ボタンは、動作時には緑色に点灯する |
付属するディスプレー/LANアダプターは、マグネシウム合金製。ACアダプターのプラグも給電時に点灯する |
付属アクセサリー群を収納できるアクセサリーケース。同様のデザインの本体用キャリングケースも付属する |
惜しむらくは……
筆者も、すでに購入すべくソニースタイルの特別エントリーを申し込んだのだが、試用していて、ひとつ気になることがあった。本機は、CPUの排熱もグラファイトシートによって筐体に熱を逃すことで行なっているため、冷却ファンなどが一切なく静かなことも特徴ではあるのだが、実際には搭載されている1.8インチHDDの駆動音が比較的高い周波数帯の音で、やや耳触りなことだ。オフィスなどある程度の騒音下では、一切気にならないのだが、自宅などの静かな環境では気になってしまう。もちろん、試用したのは最終的な製品ではないし、音の感じ方にも個人差があるのだが、ここまでに完成度の高い製品なだけに、なんとも残念な点である。
もうひとつ気になったのは、ACアダプターのサイズである。写真で紹介できなくて申し訳ないが、本体に比べてちょっと武骨な感じがする。できれば、ACアダプターについても、もっとこだわりを持ってほしかった。
“モノ作り伝統の復権”、“持つ喜び”を目指した先にあるもの
以前に比べ、2年前の最新マシンでも、今でも決して遅くないなど、パソコンの寿命が長くなっている中、購入したマシンを少しでも長く使いたいと思うユーザーも多いだろう。PCリサイクルの導入なども、そうした状況を後押ししているといえる。
さらに、本機のように価格が35万円ともなれば、そうした思いはより強くなるはず。実際のところは今後の検証が必要だが、“モノ作り伝統”の復権というからには、長く使えるモノを作り、可能な部分は直してもより長く使う、というアプローチもぜひとも検討してもらいたい。
本機の場合、いくらパワーユーザーでも、自らハードディスクをアップグレードといったことは、おそらく困難であるため、将来的にはメーカーとして有償で、そうしたアップグレードのサービスも提供してほしいものだ。
ソニーは、以前からバイオシリーズの登録ユーザーを対象に、“UPGRADE AREA”というウェブサイトで、プリインストールのソフトウェアなどの有償アップグレードを提供してきた。しかし、残念なことに近年はそうしたサービスの対象製品が少なくなっており、新しい機能が欲しければ、ハードウェアが十分対応可能であっても、新しいバイオに買い替えなければならなくなってしまっている。
たとえば、本機にクライアントソフトがプリインストールされている『VAIO Media』を使いたくても、今持っているバイオに、VAIO Mediaのサーバーソフトがプリインストールされていないモデルについては、仮にハードウェアスペックが対応できる機種であっても、サーバーにはなれないのが現実である。実際には、Windows XP搭載で2002年8月以前販売のモデルなのだが、そうした機種でも、『ルームリンク PCNA-MR1』を買えばサーバソフトをインストールできるのだが、ソフトだけを買うことはできないのである。
少々話がそれたが、“モノ作り伝統の復権”、“持つ喜び”を目指す先には、“持つ者”と“モノ”との関係をより長く、よりよいものに保っていくためのサービスも、ぜひ考えてほしいものだ。少々欲張りかもしれないが、そういうサービスを切望するほどに、長くつき合ってみたいマシンだといえるかもしれない。