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Mac OS Xパブリッシングのセミナー“TNG Seminar in IGAS”を開催――“TNG Project”の活動計画や事例を紹介

2003年09月29日 23時53分更新

文● 千葉英寿

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世界4大展示会のひとつに数えられる印刷機材の展示会である“IGAS 2003(International Graphic Arts Show 2003)”の最終日となった26日、東京国際会議場(東京ビッグサイト)において、同展示会の話題のひとつにもなっているMac OS Xパブリッシングにフォーカスした“TNG Seminar in IGAS”が行なわれた。同セミナーを主催するアップルコンピュータ(株)、アドビシステムズ(株)、大日本スクリーン製造(株)、モリサワ(株)の4社による合同プロジェクトである“TNG Project”の今後の活動計画や、雑誌『GQ』をMac OS Xを中心とした新世代のパブリッシングワークフローで制作しているコンデナスト・ジャパンおよび凸版印刷(株)の事例紹介などが行なわれた。

●TNG Squareを刷新。最新機材を投入

会場の様子
東京ビッグサイトの7Fにある東京国際会議場に多くのデザイン、印刷、出版関係者が集まった

本年5月にアップルコンピュータ(株)、アドビシステムズ(株)、大日本スクリーン製造(株)、モリサワ(株)の4社により発足した新世代デジタルパブリッシング・ワークフローの普及および移行を推進する合同プロジェクト“TNG(The New Generation) Project”が主催する“TNG Seminar in IGAS”が26日に開催された。前半、同プロジェクトの活動計画について発表があった。発足当初は活動期間を9月30日までとし、その後の活動について明確な予定が示されていなかった同プロジェクトの当面の活動予定が示された。

まず、同プロジェクトの拠点となっているショールーム“TNG Square(九段/飯田橋)”をリニューアルし、11月より再始動する。それまで10月の間は準備期間としてクローズすることになる。

これまでPower Mac G4、Adobe InDesign2.0日本語版、Trueflow、OpenTypeフォント28書体を中心に設備が整えられていたが、さらに新規にハードウェアおよびソフトウェアを投入し、環境設備の拡充を予定している。投入が予定されている機材ならびにソフトウェアは、

  • PowerMac G5(アップルコンピュータ)
  • Adobe Acrobat 6.0(アドビシステムズ)
  • Mac OS X用NewCIDなどのフォント(モリサワ)
  • Color Genius DC、YUKIMURA InDesginプラグイン(大日本スクリーン製造)

など。セミナーは特定日開催の運営形式とし、11月の開催を予定しているセミナーの後、事例紹介モデルユーザーを集めてハンズオン形式で運営する。

●Mac OS X DTPユーザーのためのTNG Clubが発足

新たにTNG Clubが発足
新たにTNG Clubが発足した

さらに企業内制作者、デザイン・制作会社、広告代理店、プリプレス、印刷関係などのMac OS XをDTPに導入済み、または導入を検討しているユーザーを対象者とした“TNG Club”が発足する。同会の特典としては、

  1. TNG Squareの利用
    持ち込みデータによる検証、社内勉強会、協力会社向け研修など Clubメンバーの自由なプランによる利用が可能となる。利用料は無料。
  2. 会員相互の情報交換・技術交流
    クラブメンバー間の技術交流を促進し、普及啓蒙をバックアップする。
  3. TNG Clubメールニュース
    TNG Projectホームページ最新ニュース、セミナーやSqureの案内、技術情報などを知らせることを目的としたするメールニュースを配信する。

となっている。募集については、TNG Projectウェブ上でアナウンスされる予定だ。また、同会に参加するための費用は登録費、会費とも無料だ。

●GQを最新パブリッシング環境を導入

GQの事例紹介
GQの事例紹介は版元=印刷=サポートの三者が同じ壇上に上がった。TNGの成果のひとつと言えるだろう

後半にはMac OS X DTPの活用事例や導入事例が紹介された。

まず、『媒体に的確で合理性のあるワークフロー実現に向けて』をテーマに、Mac OSX DTP導入を実践し、活用している雑誌『GQ』の事例が紹介された。講演には、同誌を発行するコンデナスト・ジャパン(株)の制作部マネージャーの山村祐恵氏、制作をサポートしている凸版印刷(株)の情報・出版事業本部デジタルカスタマーサポートのディレクター、紺野慎一氏、そしてモデレーターとしてアドビシステムズ(株)マーケティング部の百合智夫氏が登壇した。

本年4月に新創刊した雑誌『GQ』では、創刊時から新世代のワークフローを使用し、広告など外部から持ち込まれる一部を除いたすべてのページにおいてAdobe InDesign 2.0を使って制作している。編集部内のDTP作業現場ではMac OS Xで統一しており、書体にはOpenTypeも使用している。凸版印刷が担当する出力工程ではCTPを活用している。

InDesginで制作されるGQの誌面
Mac OS X上のAdobe InDesginで制作されるGQの誌面

山村氏は「VOGUE NIPPONからフルDTPでずっとやっていたので、(新世代ワークフローを導入することは)違和感はありませんでした」と語っている。紺野氏はMac OS Xを使うことについて「特別なことをやっているということはありませんでした」とスムーズに移行できたことを示唆した。

●文字組みは専用の[GQ]を設定

具体的なDTP作業を行なう上で紺野氏は、「InDesginの豊富な文字組みの機能を活用し、GQ専用の文字組みを設定し、段落の設定ではサブメニューを作り込みました。これをマスターデータとしたわけです」としている。山村氏は「とはいってもデザイン設定におけるリクエストはデザイナー側から渡っており、紺野さんが調整してマスターを作ることで指示系統が守られました。これによってオペレーターがとまどわずに作業にかかることができたのです」とInDesignを活用することで、作業の流れに不具合が生
じないことを示唆した。

GQ専用の文字組み設定を用意
GQ専用の文字組み設定を用意し、これをテンプレートとして活用した

また、「パッケージやプリフライトの機能があるのでフォントのトラブルなどがなくなり、GQの場合はデータの不具合がなくなりました」と紺野氏がInDesgin導入のメリットを示すと、山村氏は「おかげでバイク便を使う頻度が減りました」と語った。

最後にTNG Projectに対して期待することとして紺野氏は、「これまでトラブルが起こるとタライ回しにされることが多かったが、TNGなら安心感がある。大日本スクリーンは国内メーカーなのがいい。TrueFlowに期待している」とのことだった。山村氏は「TNG Projectの発足したことで、大凸(大日本印刷/凸版印刷)が対応するきっかけになったと思います」と語った。

この後、“新世代ワークフロー導入チャレンジの成果”として(株)トリムと水上印刷(株)によるMac OS Xパブリッシング環境の導入におけるこれまでの進捗状況と成果が報告された。

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