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マイクロソフト、マイケル・ローディング氏の社長就任会見を開催

2003年08月06日 23時24分更新

文● 編集部 内田泰仁

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マイクロソフト(株)は6日、7月1日に代表取締役社長に就任したマイケル・ローディング(Micheal Rawding)氏の新社長記者会見を都内にて開催した。ローディング氏は、米マイクロソフト社のバイスプレジデントで、日本法人の代表取締役社長を兼任する。

マイクロソフト日本法人の代表取締役社長兼米マイクロソフト・バイスプレジデントのマイケル・ローディング氏

ローディング氏は、2001年3月にアジアパシフィック地域担当のバイスプレジデントに就任。その後、日本をアジアパシフィック地域から分離し、独立した“日本地域”とする戦略が取られたこと伴って2月に日本地域担当のバイスプレジデントに就任。そして、7月1日付けで日本法人の代表取締役となっている。

新社長就任の抱負としてローディング氏は、広範囲にわたるミッションにおいて日本が何をできるかを考えてエキサイティングな例やシナリオを示し、日本の人々や組織がITを活用できるような業界におけるリーダーシップを発揮していくことを挙げた。また、これを実現するために、パートナー企業と協力して魅力のあるソリューションや価値を提供し、需要を喚起する取り組みを行ない、ITの価値を顧客に伝えていくコミュニケーションを取っていくとしている。そしてこれらの取り組みによって日本のIT業界の活性化を図り、信頼性のある企業、業界のリーダーとして、業界や社会に貢献していきたいと述べた。

今回の会見でたびたび登場した語は“統合”“共通化”。マイクロソフトは個々の製品を単一の製品としてではなく、“統合的な技術革新”の一部と捉えた製品戦略を行なっていくという

また、製品、ソフトウェアごと単独の技術革新にとどまらず、統合的な技術革新を通じたビジネスバリューの拡大を目指すとして、具体例として、Windowsと.NETを中心に据え、それを運用するための“Windows Server System”による統合されたサーバー製品群、さらにモバイルデバイスなどを含む各種デバイス、“Microsoft Office System”やマイクロソフトが提案する各種ビジネスソリューション、そしてそれらすべての開発環境となる『Visual Studio .NET』までを“統合された技術革新”として紹介している。ローディング氏は、「ソフトウェアが魂となることで、ITが生きたものになる」と述べ、ITのインフラとなるマイクロソフトの各製品の統合化の重要性を説明した。

ローディング氏は、マイクロソフトの企業としての取り組みを、“エンタープライズ”“中小規模事業者および地方自治体”“コンシューマー”“公的機関”というカテゴリーに分類して説明している。

エンタープライズ市場向けの取り組みとしては、上記の“統合された技術革新”をアピールし、顧客への統合されたプラットフォームの訴求、市場ニーズに最適化したビジネスソリューションの提供、各業種/業界別の営業活動体制の強化を行なっていくとしている。ここでは、単なるマイクロソフトの技術の導入の訴求や支援にとどまらず、マイクロソフトのプラットフォームを導入することによるビジネスの機会の創出へと顧客を導くような活動を行なっていくと述べた。

中小規模事業者および地方自治体に対しては、日本独自の施政である“全国IT推進計画”の強化と継続的な展開を進め、中小規模事業者や地方自治体に向けてさらにITの価値を提供していくという。また、教育や医療、地方自治体などの多様な分野において新たなビジネスチャンスを創出し、ビジネスを構築していきたいとしている。

マイクロソフトは、コアとなるWindowsを中心に、それらが搭載されるハードウェア、そしてアプリケーションやサービスまで含め、幅広い分野においてパートナーとの連携を図りながらプラットフォームの拡大を目指すという

コンシューマーに向けては、Windowsをコアプラットフォームとし、Windowsの進歩とブロードバンドの進歩とを協調して進め、新しい技術の価値を提供していくとしている。また、“Windows CE .NETシェアードソースプレミアムライセンスプログラム”による『Windows CE』のソース提供に見られるように、サードパーティーの民生機器メーカーとの連携をより強め、パソコン、ゲーム機、PDA、家電製品へのWindowsプラットフォームの拡大を図っていくという。さらに、デバイスだけではなく、ソフトウェアやサービス分野においても、パートナー企業と協調したコンシューマー向け製品の提供を行なっていくとしている。

商用ソフトウェア、つまり知的財産の好循環サイクルのモデル図。知的財産立国・日本を目指す政府の施政に貢献していくとしている

公的機関への取り組みとしては、政策に対応した技術の提供によるIT社会基盤構築への貢献、社会貢献活動の強化、同社が掲げるスローガンである“信頼できるコンピューティング(Trustworthy Computing)”を推進し、中でも特に公的機関から重要視されているセキュリティーとプライバシーの保護については一層の努力を図っていくと述べている。ローディング氏は「日本ほど付加価値的な知的財産に依存している国はほかにない」と述べ、日本政府が指針を示している“知的財産立国”への貢献を果たしたいとした。

ユーザーコミュニティーとマイクロソフトの連携を表したモデル図

また、パートナーや各種コミュニティーとの連携の強化も施政のポイントとして取り上げている。パートナーとの連携については、

開発分野
顧客ニーズにあった製品提供に向けたパートナーとの連携
営業およびマーケティング
パートナー企業と協力し、さらに多くの事例を構築してプログラムを展開
サービス
Windowsプラットフォームを採用したことによる使用例を示すようなコンサルティング支援など、コンサルティングパートナーとの連携を強化し、ニーズにあったプログラムや施設を提供(例:日本ヒューレット・パッカード(株)との協業)

といった施政をとるという。また、インフォメーションワーカー、ビジネスメーカー、ITプロフェッショナル、デベロッパー、そして一般ユーザーによって構成されるさまざまなコミュニティーとは、「豊かでインタラクティブな対話を進めていきたい」(ローディング氏)と述べ、コミュニティーとのコラボレーション、コミュニティーからのフィードバックとそれに対するアウトリーチという連携の枠組みを取っていくという。

質疑応答のセクションでは、7月1日にマーケティング担当取締役に就任したアダム・テイラー(Adam Taylor)氏(写真右)、米マイクロソフト・エンターテイメントディビジョンの日本担当ジェネラルマネージャーであるパーミンダー・シン(Parminda Singh)氏も壇上に上がった

ローディング氏のプレゼンテーション終了後に行なわれた質疑応答では、Linuxについての質問が出たが、これに対してローディング氏は、Linuxを「競争力のある相手」と認めながらも、

  1. Linuxは技術面、サポート面、コスト面など多角的に比較・学習・検討する必要がある
  2. 統合されたプラットフォームとしてシステムの複雑な部分を拭い去ろうとしているWindowsに対して、Linuxは複雑な部分の多いプラットフォームである
  3. WindowsプラットフォームはTCOやセキュリティーの安全性について、すでに第三者から高い評価を受けている
  4. 商用ソフトウェアの原則から考えると、知的財産の保護という観点からGPLがIT産業の発展を妨げかねない

という4点を挙げ、Linuxに対するWindowsプラットフォームの優位性を説明した。

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