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【帰ってきた「買う買う団」】温度に応じてファンを制御するファンコントローラー『RD7-TFC』

2003年08月12日 20時00分更新

文● 加賀

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『RD7-TFC』の実力は?

今回、RD7-TFCを搭載した、団員宅のサーバマシン。内部は年代モノのASUS P3B-FにPentium III 850MHz、メモリ1GB、IDE RAIDユニットAccusys ACS-7500、OSはFreeBSDという構成。ATX電源も標準のサイズでなく特殊な形状で、はっきり言って妙なケースではある

今回、団員がファンコントローラ『RD7-TFC』を装着したのは、写真のPCである。
内部はいささか時代遅れの、ASUS P3B-FにPentium III 850MHzという構成である。逆に、イマドキのCPUとは違い、発熱量も少ないわりに、そこそこの処理性能もあるという点では、結構有利だと思う。
これまでも、防振材の追加やファンなどの開口部の加工、ファンの交換などといった静音のためのトライアルを、それなりにしてきたマシンである。

RD7-TFCは、温度センサ(ダイオード)で測定した温度に応じて、ファンの回転数を制御するファンコントローラの機能に加え、「Cooling After」機能を搭載しており、電源OFF後のファンの回転のための電源として+5VSBが必要となる。製品には、ATX電源コネクタを中継するケーブルが付属しており、それによって+5VSBをRD7-TFCに供給するようになっている。
今回は、団員が使っているマザーボードP3B-Fには、+5VSBが供給されているWake On LAN(WOL)コネクタがあるため、WOLケーブルを使ってRD7-TFCへの電源供給を行なった。ちなみに、RD7-TFCの弟分であるRD7-CAも現在出荷されている製品では同様のATX中継ケーブルが付属しているとのことだ。
もっとも、サーバ用途として24時間連続稼働中ゆえに、Cooling After機能が活躍する機会はほとんどないのだが……。

今回、RD7-TFCで制御したのは、CPUクーラーのファンと本体向かって左側面にあるケースファンだ。CPUクーラーは、以下の2つでテストした(型番などは不明)。

CoolerMasterのCPUクーラー その1(改造品)
ヒートシンク:60mm角×25mm高
ファン:「Panaflo FBA06A12L(3200rpm、60mm角×25mm厚)」に換装
CoolerMasterのCPUクーラー その2(未改造)
ヒートシンク:60mm角×40mm高
ファン:60mm角×10mm厚、4000rpm

同マシンでは、上記「その1」をこれまで使ってきたが、「その2」も加えて実験した。これは、高温時の冷却能力の確保や、ヒートシンクの熱容量の大きさから、急な温度変化に対するバッファーの効果も期待してのことだ。
ケースファンは、120mm角×25mm厚、1200rpmのXinRuiLian製(長尾製作所モデル)の「RDSL-1225S」である。

とりあえず、実際に装着した状態で運用した際のCPU負荷、CPUコア温度、ケース内温度、CPUファン回転数の変化を計測した結果のグラフをご覧いただきたい。なお、ケースファンについては、低速すぎたためか、マザーボードによる回転数の計測ができなかったので、記載していない。室温については常時計測してはいなかったが、8月3日の夕方は、35度前後で推移していた。

グラフ1
8月2日~4日にかけての、RD7-TFC搭載PCのCPU負荷/温度/ファン回転数の関係。CPUファンは「その2」を使用

外気温やCPU負荷の変化により、PC内部やCPUの温度が変化しているが、RD7-TFCによって、CPUファンの回転数は、温度に比例して回転数が変化していることがわかる。グラフは、「CPUクーラー その2」の結果だが、「その1」でも冷却性能に問題はなく(若干高めで推移するが)、低負荷で外気も高温でない場合、CPUファンは1600rpm程度まで下がり、かなり静かになった。なお、いずれもCPUファンの設定として、以下のグラフの特性カーブ「H」を使用した。

また、グラフを見ると、PC周辺の室温が35度となった8月3日の17時前後に、ケース内部が43度、CPUコアも50度弱まで上昇していることがわかる。ケース内部の温度は、外気より8度も高いことになり、ケース内部のエアーフローを増やせば、温度が下がることが予想される。

グラフ2
RD7-TFCの特性カーブ。2つのファンそれぞれについて、計測温度とファンに印加する電圧の関係を8通りから選べる。ファンによっては、最低出力で始動しないものもあるので、注意したい。なお設定は、稼働中いつでも変更できる

この時、ケースファンの設定としては、「D」の設定だった。そこで、「A」の40度で12Vとなる設定に変更してみたが、音から判断してケースファンの回転は明らかに増加しているのにも関わらず、温度はほとんど変化はなかった。
本来なら、エアーフローの増加により、温度が下がることが期待できるはずだが、以前から懸念していた、ケースの空気取り入れが十分にできていないということが原因ではないかと思い当たった。

このPCで使用しているケースは、前面部分に扉があり、その内側に3.5インチベイが3つと、5インチベイが3つある構造になっている。そのうち、使用していない3.5インチベイ2つのフタを外し、内側のパンチングメタルを経由して空気が取り入れられる。この扉の下部には、若干の通気用の穴があるが、扉の開閉によって、PC内部の温度が1~2度は変化することを確認しており、3.5インチベイからの吸気にかなり依存していることがわかる。
このケースでは、それ以外に空気を取り入れ可能な穴といえば、背面のPCIスロットの脇にあるパンチング穴と、ドライブのすき間くらいなのだ。これでは、いかにファンの回転数を上げようとも、十分な冷却は期待できない。

ためしに、ケースファンのある反対側の側板をずらし、ケース右側の前面部分にすき間を空けて、空気の流入を確保したところ、ケースファンは「D」の設定のままでも、内部の温度が3~4度は低下した。

これまでは、シビアに温度も測ってきていなかったこともあるが、図らずも、使っているケースの問題点が浮上した実験結果となった。本来なら、もっと時間をかけて、評価したかったところであるが、これより先は、まずケース自体のエアーフローを改善してからだ。
もっとも、今のままでも十分とも思わなくもないが、騒音を増やさずとも、まだまだ温度が下げられる余地がある、と思うとやりたくなるってものが、人情である。エアーフロー確保のために開口部を増やすということは、内部の騒音が外部に漏れやすくなる、ということに他ならないが、無理のないエアーフローが確保できることで、逆に静音化が進められるのではないか? という期待もできる。

ともかく、ファンコントローラ自体は、非常に出来もよく、強いて欠点を上げれば、設定を変更するのに、PCの背面に回らないとできないことくらいだろうか。欲をいえば、もっと設定に自由度があれば、ということになるが、そればかりは、DIPスイッチによるインターフェイスでは限界がある。
また、ファンや環境によって、適切な設定を見付けるまでに、何回もトライを繰り返す必要もある。まぁ、これはこれで、なかなかに楽しい作業なので十分楽しみたいものだ。

団員の場合、次のステップとして、エアーフロー改善のために、ケースの加工に着手することになるだろう。さすがに、家人の手前、なんとも目立つケースの新調というのはままならない。資源を無駄にしないために、とかいうのを言い訳に、楽しい工作をしたいだけなんじゃないか? といえば、それまでであるが。おっと、その前に、サーバ停止中のための代替機を用意しなければ。

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