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ソフトバンク、2002年3月期決算を発表――BB事業の先行投資で当期純損失は1000億円

2003年05月09日 23時42分更新

文● 編集部 栗山博行

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ソフトバンクは(株)は9日、2002年3月期決算を発表した。それによると、グループ全体の連結売上高は対前年比0.4%増の4048億9200万円、営業損失は285.0%増の919億9700万円、経常損失は229.7%増の1098億800万円で、当期純損失は12.7%増の999億8900万円となった。

孫正義氏
決算説明会に出席したソフトバンク代表取締役社長 孫正義氏

営業利益の内訳は、ブロードバンドインフラ事業による損失が962億400万円(前期損失は179億5200万円)。ブロードバンドインフラ事業をのぞいた営業利益が42億700万円(前期損失は59億4900万円)。決算説明会に出席したソフトバンク代表取締役社長 孫正義氏は「ブロードバンドインフラ事業の赤字は先行投資によるもので、ブロードバンドインフラ以外の事業では営業黒字が拡大している」と述べ、説明はブロードバンドインフラ事業に関する内容を中心に行なわれた。

提供サービスの内訳
提供サービスの内訳

孫氏は、ブロードバンド事業を

  • インフラ力:早くて安いブロードバンドインフラを構築する段階
  • ディストリビューション力:営業力でマーケットシェアを獲得する段階
  • メディアコンテンツ力:オンラインゲームやTVなど、コンテンツで顧客を囲い込む段階

の3つに分類し、「ディストリビューション力がものをいうのは今期が最後で、来年度以降はコンテンツの勝負になる。当社のライバルはNTTになるが、NTTにはコンテンツサービスの蓄積がない」と述べ、“BBケーブルTV”やオンラインゲームなど、同グループのシナジー効果によるコンテンツ制作/調達能力を強調。今後も高付加価値サービスの提供を続けることで、顧客満足度を向上させるとした。また、顧客満足度を表わす数字として、“Yahoo! BB”の解約率が提示された。引っ越しなどの季節要因を除去した解約率は、約1%だという(課金者ベース)。

解約率の推移
解約率の推移

Yahoo! BBの4月末の獲得回線数は255万回線で、6月末には300万回線になる見込み。Yahoo! BBでは、課金者数の増加が無料キャンペーンなどにより顧客獲得から平均で3~4ヵ月遅れるため、顧客獲得費考慮前の損益分岐点、200万人の達成は6月を予定している。

顧客獲得費
顧客獲得費の内訳

顧客獲得費は、2002年度下期の実績で1人あたり3万7000円を投資。2003年3月の変動利益率(粗利益率)は56%で、顧客1人当たりの1ヵ月の売り上げ3800円程度から粗利益は約2000円となり、1年半で回収できる計算だという。6月時点での顧客1人当たりの売り上げは、月4000円を予想する。

計算の基礎を崩す値下げに関しては、「ADSLサービスで2番手に位置するNTT東西とは、契約するISPにもよるが1000円~2000円の価格差がある。値下げしなければならないような状況はあまり考えられない」とし、FTTHが今後急速に普及する可能性についても「われわれも実際に12MのADSLと100Mの光ファイバーを両方使っているが、現時点のコンテンツでは体感速度で差を感じない、年末から来年にかけて、さらに高速なADSLサービスも用意しているので、大半のユーザーはADSLに残るだろう」とした。“Yahoo! BB 12M”に続く高速ADSL接続サービスには、24Mbpsの接続サービスを予定するという。

損益分岐点のグラフ
損益分岐点のグラフ

今年度の目標として孫氏は、キャッシュフローの単月黒字化と、400万ユーザー獲得を挙げ、「200万ユーザーの獲得により、ビジネスモデルとして十分に回していける確証を持てた。あとは規模の拡大のみであり、今後も大いにがんばっていきたい」と説明会を締めくくった。

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