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第13回マイクロマシン展開幕――「より小さく、より精密に―新たなフロンティアへ向けて」

2002年11月13日 21時43分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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日本武道館の奥、北の丸公園内にある科学技術館において、超微細・精密加工に関する技術と製品の国際展示会“第13回マイクロマシン展”が開幕した。期間は13日から15日までの3日間、主催は(財)マイクロマシンセンターとマイクロマシン研究会。テーマは“より小さく、より精密に―新たなフロンティアへ向けて”となっている。

第13回マイクロマシン展『第13回マイクロマシン展』

会場は五角形状に配置された1Fの9部屋(商談室1部屋を含む)をすべて使われ、企業(166社)だけでなく民間団体(3団体)や国立研究所・大学(18ヵ所)からの出展も見られた。名前のとおりμm(マイクロメートル=1mmの1000分の1)の精密加工を行なう技術・製品だけでなく、nm(ナノメートル=1mmの100万分の1)単位での超微細・精密加工技術、いわゆる“ナノテク”関連の製品(波長が300nm程度のレーザー発信機など)の出展や研究成果のパネル展示も行なわれている。ただ、マイクロテクノロジーがすでに多くの企業から様々な応用製品が出ているのに対し、ナノテクはまだ研究途上であり、各大学の研究室でのバイオコンピュータ関連技術への応用を目指して研究が進んでいる、という様子が伺えた。

マイクロ/ナノテク特許 韓国・中国の動向 韓国の出願動向
トムソンコーポレーション(株)/英ダウエント・インフォメーションによる特許セミナー日本や米国の出願件数が多いが、韓国・中国の伸びも目立つ韓国の特許権利化対象国(地域)の分布。韓国では海外向けに権利化している特許が多く、海外進出を見据えた動きが活発になっている

午前10時から6F会議場では、特許データベースの管理・提供を行なうトムソンコーポレーション(株)/英ダウエント・インフォメーション(Derwent Information)によるセミナーが行なわれ、現在のMEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システムズ)/NEMS(ナノ・エレクトロ・メカニカル・システムズ)関連特許の出願数の推移が紹介された。同社の集計によると、世界的に特許出願数は増加の一途だが、特に韓国と中国の伸びが大きい。韓国ではLG電子やサムスン、中国では大学の研究室からの出願が目立つ。ただ、特許の権利化対象国は傾向が異なり、中国が国内向けが多く、国内の技術向上と海外からの企業の進出の歯止めを目指しているのに対し、韓国は日本や欧米、中国向けにも出願しており、海外進出を念頭に置いているとみられる、などと説明した。

微細接着技術 静電気防止技術
接着剤などを使わずに、樹脂を微細なスポットで溶着する技術。左のHPK(浜松ホトニクスの略称)の文字が見えるだろうか微弱なX線で頭髪の周囲に+-のイオンを発生させ、帯電した電荷を打ち消している

会場でまず目を引いたのが、入り口のすぐそばにブースを構える浜松ホトニクス(株)のマイクロ溶着技術だ。透明もしくは白色でレーザー光を透過するものと黒色で吸収する2つの樹脂(ABS樹脂/アクリル/塩ビ/PETなど)をスポット径400μmで溶着するというもの。写真では分かりにくいかもしれないが、直径1cmの透明樹脂と黒色樹脂を重ねた素材にレーザー光を当て、『HPK』のアルファベット(1文字の幅が約1mm)や○と□の形状に溶着している。

同じく浜松ホトニクスのブースで見かけたのが、O3(オゾン)を発生せず無風の静電気除去装置『フォトイオナイザ』のデモ。帯電装置の上に座ったリカちゃん(?)人形の逆立った髪の毛に、微弱X線を当て高イオン濃度(+-)の領域を作り、帯電電荷を消去するというもの。こうしたマイクロ/ナノ技術の開発現場に必要とされる機器も展示されている。

ナノスケール・マニュピレータ
フォースフィードバックで原子レベルの凹凸が体感できる東陽テクニカのマニュピレータ

(株)東陽テクニカでは、フォースフィードバック機能で原子レベルの凹凸を体感できる原子間力顕微鏡対応のナノスケール・マニピュレーションシステム『NanoFeel 300』をデモ展示していた。3本のアームの根元に負荷を調整するモーターが組み込まれ、カーソルをXYZ軸方向に移動したとき、原子にぶつかると負荷が大きくなるというもの。

光のドーム光が透過するステンレス。もちろん水も通過できる

(株)パシフィックソーワ/太平洋特殊鋳造(株)/シンガポールADVANCED MATERIALS TECHNOLOGIES社の合同ブースには、不思議な“花のドーム”が展示されていた。同社はステンレスやセラミックにμm単位の穴あけ加工を行なっており、花のドームは0.5mm厚のステンレス鋼に0.1mm(100μm)の穴を多数開けることで、光を透過する金属板に仕上げたという。同社の実験レベルでは、0.3mm厚のステンレスに0.05mm(50μm)の穴を開けることも可能だとのこと。この技術は、遠心分離機や食品加工の部品開発の現場ですでに実用化されている。

ナノレーザー
300nmクラスの波長の微細なレーザー光を発射できる装置。すでに出荷も開始されている

数社がnm単位の波長のレーザー発信機を展示していたが、サイバーレーザー(株)もその1つ。すでに出荷も開始している。現在のナノレーザーは、波長が1000nm(1μm)程度のレーザーを反射/高密化して波長を3分の1の300nmクラスにしており、200nmクラスまで実用化が見込めるとのこと。コストは従来のμmのレーザー発信機に比べて3倍程度になるという。

小中学生によるマイクロマシンイメージ
会場中央の休憩スペースに展示されていた小中学生によるマイクロマシンのイメージ

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