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バーンジャパン、製品情報を一元管理できる『iBaan for PLM』を発表

2002年05月28日 15時40分更新

文● 編集部 田口敏之

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バーンジャパン(株)は27日、製造業において、製品のライフサイクル全体にわたって一貫性のある製品情報管理を行なうPLM(Product LifeCycle Management)戦略と、これを可能にするソフトウェアスイート『iBaan for PLM』を発表した。販売は6月に、出荷は7月に開始する予定。

製造業における製品の設計から製造、量産、メンテナンスといった各課程の情報を一元管理する『iBaan for PLM』
製造業における製品の設計から製造、量産、メンテナンスといった各課程の情報を一元管理する『iBaan for PLM』

PLMとは、製品の初期の構想および設計から製造、量産やメンテナンス、打ち切りまでといったライフサイクルの一貫した管理を通じて、企業内外の戦略的パートナーとのコラボレーションを促進するために、構造化したフレームワークを提供する企業戦略。ライフサイクルを通じて1つの製品の各課程の情報を共有することにより、設計、調達、製造、販売、サービスといった部門間における情報格差を最小限にし、新製品の企画、開発、試作から量産への移行を短期間で行なえるばかりでなく、既存製品の設計変更を迅速に反映でき、競争優位性を維持できるという。また、設計変更がコスト、在庫、製造工程など経営全体に与える影響を事前に分析できるとしている。

iBaan for PLMは、このPLM戦略のためのソフトウェアスイート。具体的には、PDM製品で管理される設計部品表(Engineering BOM:E-BOM)、ERP製品で管理される製造部品表(Manufacturing BOM:M-BOM)、販売支援システム(Configuration製品)で管理される販売部品表(Sales BOM:S-BOM)を企業のERP、CRM、SCMと連携させ、製品のライフサイクル全体にわたって、一貫性のある製品情報管理を行なえる。

製品は、『iBaan Product Data Management 6.1』『iBaan Lifecycle Analyzer』『iBaan Product Packager』『iBaan PDM Development Toolkit』『iBaan PDM integration for MS Office』という6本のアプリケーションによって構成されている。それぞれのアプリケーションについては以下の通り。

iBaan Product Data Management(PDM) 6.1
製品情報(ドキュメント、部品表、品目マスタ)を管理するソフト。情報の変更履歴も管理できるほか、承認や変更に必要なワークフロー機能を備えている。また『iBaan ERP』との連係機能も備えており、製品構成や製品情報をERPへ引き渡すことができる。
iBaan Lifecycle Analyzer
製品情報の構成比較を行なえるソフト。例えば新製品のE-BOMと旧製品のE-BOMを比較すれば、コストダウンの効果などを部品単位で把握できる。E-BOMとM-BOMを比較すれば、設計段階と製造段階における計画の一致度を確かめることも可能。また、ERPから製品原価と在庫情報等を参照し、設計変更による企業や生産要素における影響を分析できるという。
iBaan Product Packager
協力企業や海外拠点と、製品情報を正確に交換するためのインポート/エクスポート機能を搭載したソフト。
iBaan PDM Dvelopment Toolkit
クライアントアプリケーションと、iBaan PDMを連携させるためのインターフェースを開発できるソフト。
iBaan PDM integration for MS Office
Microsoft OfficeとiBaan PDMとを連携させるためのソフト。

販売は、バーンジャパンが直接販売を行なう。動作環境は、サーバーOSはWindows 2000に対応し、クライアントOSはWindows NT 4.0/2000に対応する。データベースには、Oracle 8iを使用する。SQL Server 2000も対応を予定している。詳細な動作環境、および価格については、顧客ごとにインテグレーションを行なうため、バーンジャパンに別途問い合わせとなる。

バーンジャパン代表取締役社長の杉山隆弘氏
バーンジャパン代表取締役社長の杉山隆弘氏

バーンジャパン代表取締役社長の杉山隆弘氏は発表会において「日本の製造業界の企業では、パッケージソフトによる基幹システムの導入が、比較的遅れていると認識されている方が多いが、実際には、欧米などで開発されたパッケージソフトは、日本企業が独自に開発した基幹系ソフトに比べて完成度が低く、フィットしなかったという事情がある。しかし今日、好むと好まざるとに関わらず、日本はグローバルな競争の中に組み込まれてしまった。そして、国内で最適な基幹系システムが、グローバルにおいては最適ではないという事態に直面している」と述べ、「製品の市場がアメリカやヨーロッパの場合は、海外の企業はパッケージソフトを使って基幹システムを構築している。ここでは、IT戦略と経営戦略とがバインドしている。競争優位を実現しようとしている会社は、ITと経営とを相互補完させて事業を進めている」と語った。

企業の基幹システムの進化を表わす図。国内の企業のほとんどは、3番目の段階にあり、現在4番目の段階へと移りつつあるという
企業の基幹システムの進化を表わす図。国内の企業のほとんどは、3番目の段階にあり、現在4番目の段階へと移りつつあるという

続けて同氏は「企業内のシステムの集合が必要な時代になってきている。日本の製造業者の中にも、海外に拠点を持っている所は、PLMの概念をITストラテジーに組み込む企業が増えている。従来はPDMという分野だったが、製造や開発といった個別の分野での最適を目指すPDMとは異なり、PLMは製品のライフサイクルを一気通貫して、企業全体を最適化することができる。企業の基幹系システムの進化の系譜を見ると、国内の企業のほとんどは、それぞれの部署が独立して存在している状態。これを、PLMを通じて、一貫性のある戦略を持ったシステムに収束させる」と述べ、「しかし、現実的に重要なのは、顧客企業は白紙の状態からシステムを構築するわけではないということ。他社のシステムやレガシーな基幹システムを持っており、基幹システムを構築するソフトウェアソリューションのベンダーが、1社でないことのほうが多い。バーンの製品は、他社やレガシーシステムとのインテグレーションを前提としている。他社のパッケージとの共存によって、PLMを導入できることが、我々の製品の大きな特徴ではないかと思う。日本の製造業に対して、現実的な提案を申し上げたい」と語った。

そして、iBaan for PLMの売り上げ見込みについて同氏は「本年度10億円を見込んでいる。同製品のための常駐スタッフも、7名から8名用意することになると思う。そして、5年後には50億円を売り上げる。スタッフも30名弱にまで拡大する予定」とした。

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