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日本情報通信、中期事業計画を発表――代表取締役社長の島田氏「社長の悩みをIT技術で解決したい」

2002年04月25日 19時54分更新

文● 編集部 田口敏之

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日本情報通信(株)は23日、都内で報道関係者を集め、2002年からの中期事業計画を発表した。

左から日本情報通信 代表取締役副社長の真瀬宏司氏、代表取締役社長の島田博文氏、取締役でソリューション統轄本部長の渡辺文夫氏
左から日本情報通信 代表取締役副社長の真瀬宏司氏、代表取締役社長の島田博文氏、取締役でソリューション統轄本部長の渡辺文夫氏

それによると、同社は今年度、中堅・中小企業を対象にしたITコンサルティング事業の本格展開を行なうという。このほか、同社が2001年にサービスを開始した、さまざまなe-ビジネスソリューションを体系化して提供するサービス“NICe series(ナイスシリーズ)”の充実化や、ネットワークサービス“NMS Plus(エヌ・エム・エス・プラス)”と、自動車業界向け共通ネットワークサービス“JNX(ジェイ・エヌ・エックス:Japanese Automotive Network eXchange)”などネットワーク事業全体の拡大を行なう。また同社は、2002年より新たに、日本アイ・ビー・エム(株)の再販パートナー拡大事業“VAD(バッド)事業”を開始するという。

島田氏「社長さんにヒアリングを行ない、その悩みをITで解決していきたい」
島田氏「社長さんにヒアリングを行ない、その悩みをITで解決していきたい」

発表会において、同社代表取締役社長の島田博文氏は、昨年の実績について「2001年度は、親会社の日本電信電話(株)からの大きなビジネス以外にも、少しスケールの小さい事業なども手がけた。大変苦労はしたが、売り上げは508億円で、なんとか黒字で行ける見通しが出ている。社員一同、大変がんばった。そしてこのことで、多くのことを勉強した。その成果の1つとして、今年度は組織改革を行なう。これまで営業部門は、5つの事業部に分かれていたが、これを一本化し、大小の仕事に即応できるようにした。開発部門の一部は、昨年この方式をとることによって成功を収めている。営業部門の一本化によって機動的にやっていこうと考えている」と述べた。2002年の事業計画については「3ヵ年先の2004年を意識しながら経営計画を作った。コンセプトは、売り上げよりも利益を重視した経営。また、こういう時代だからこそ、仕事のプロセスが大事だと考えている。プロセスがプロフィットを生む」と述べた。

また、2002年度の目標について、同氏は「1つは、NTTグループ以外の企業への売り上げを50%以上にしたい。親会社であるNTTや日本アイ・ビー・エム(株)から仕事の紹介もあるが、われわれが、自分の足でビジネスを掴むことを大事にしたい。NTTやIBMも得意でないような分野で仕事ができるようになれば、親会社からも評価される。さらに具体的に言えば、中堅・中小企業のIT化い。また、開発部門のシェアを、弊社の中でも50%以上にしたいと考えている。これは、営業力をいかに開発に利用するかを考えていけば、2004年度には達成できると思っている」

「2つ目は、我々自身のビジネスであるネットワーク事業の売り上げを、3年後には100億円ぐらいにしたい。2004年には無理かも知れないので、50%アップにチャレンジしていこうと考えている。具体的に育ていきたいと考えているのは、ネットワーク事業においては“NMSPlus(エヌ・エム・エス・プラス)”と“JNX”、および統合型のビジネスソリューション体型“NICe Series(ナイスシリーズ)”の充実化と、今年度より開始する“VAD事業”の拡大を図っていきたいと考えている」

「3つ目は、中堅・中小企業のITコンサルタント事業の本格展開を行なう。これについては、IBMを始めとして、ほかの企業も必ずしも成功しているとは言えない分野。簡単にビジネスとして成り立つようなものではない。しかし、日本の企業の本当の力は、中堅・中小企業と製造業にあるし、IT化という時代の流れの中では避けて通れないと考えている。すでに昨年度後半から何社か回らせていただいているが、まずは社長のヒアリングをさせていただいて、困っていること、悩んでいることをITで解決するというコンサルタントを行ないたい。また、コンサルテーションだけで終わるのではなく、行程の上流から下流まで、IT化が実現するまでをサポートしていきたい。加えて、これからのITの時代にはCIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)が大事だと言われているが、企業内にCIO機能を持っていないのえあれば、弊社がそれを請け負うようなビジネスも考えている」と述べた。

これらの事業を進める上での同社の強みとして、同氏は「われわれはIBMのハードウェアと、NTTのIP網を使うことができるSIer(エスアイヤー:システム設計、開発、構築などを行なう業者)。これを武器にして、中堅・中小企業のコンサルタントを行なっていきたい」と語った。

代表取締役副社長の真瀬宏司氏
代表取締役副社長の真瀬宏司氏

続いて、代表取締役副社長の真瀬宏司氏が、ネットワーク事業の詳細について説明した。同氏は「ネットワークビジネスの主たる業務内容は、自動車業界における、各企業間の電子商取引のための基幹ネットワークの提供。ネットワークサービス“NMS Plus”をベースにした、共通ネットワークサービス“JNX”の提供は、一昨年の秋以来うまくいっている。今年度からこれに加えて、ハウジングサービスやホスティングサービスを提供していきたい。また、業界間を超えたアプリケーションの開発にも力を入れ、業務の効率化を促したい。さらに、自動車メーカーや半導体メーカーが、中国を含めた東南アジアに工場の移転などを行なっていることを受けて、ネットワーク展開の手伝いをしていこうと考えている」と述べた。

また、コンサルテーションやeビジネス・ソリューションの事例、eビジネスソフトなど、同社が提供してきた、eビジネスのためのプロセスやソリューションなどを体系化したサービス“NICe Series”について、同氏は「一昨年から提供を開始し、現状でVer.3。必ずしも我々の開発したものだけではなく、パートナーが開発したものも、NICeシリーズに加えて提供する。年に最低1回、できれば2回のバージョンアップを図りたい。またその際には、パートナーの実績も盛り込んで、ワンストップで顧客に提供したい」と述べた。

取締役でソリューション統轄本部長の渡辺文夫氏
取締役でソリューション統轄本部長の渡辺文夫氏

そして、“VAD事業”について、同社取締役でソリューション統轄本部長の渡辺文夫氏が説明を行なった。同氏によれば「聞き慣れない言葉だが、昨年の夏場から日本IBMが開始した、顧客満足度の向上と、同社製品のマーケットシェア拡大を目的に、再販パートナーを拡大するための制度。具体的には、IBMはこれまで直接取引してきた約250社の販売パートナーを、2階層に再編した。IBMは、IBMと直接取引を行なう企業をバリュー・ディストリビューターに位置づけて、このバリュー・ディストリビューターが、それぞれの販売パートナーと取引することになった。弊社も今後、バリュー・デストリビューターとして、“VAD事業”を展開する。すでに、日揮情報システム(株)など30社と提携ができている。チャネルを拡大することによって、事業を軌道に乗せたい。現在の目標は100社程度。弊社は、IBM製品と合わせて、弊社独自のサービスや、NTTのネットワーク網も提供することができる。この強みを生かして、ビジネスの拡大をしていければと思っている」と述べた。

同社は、中堅・中小規模のコンサルティング事業とネットワーク事業にともなうシステム開発による売り上げとして、今年度10億円、2004年には25億円の売り上げを目指すという。また、ネットワーク事業では、今年度500社のユーザーの獲得を目指し、VAD事業では、今年度20億円の売り上げを目指すとしている。これらの新事業展開を総合して、同社は今年度500億円、2004年度には530億円の売り上げを計画している。島田氏は、これについて、「2004年度に、1~2%の利益を上げられれば良いと考えている。IT投資は我々もやって行かなくてはならない。必要に応じた積極的な投資を前提にして、この数字を出している」と語った。

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