中小企業や教育機関、政府機関などを中心に、ファイヤーウォール/VPN装置などを提供している米SonicWALL(ソニックウォール)社は10日、独自のセキュリティープロセッサー『CyberSentry(サイバーセントリー)』を搭載したファイアーウォール/VPN装置5製品を、4月下旬に発売すると発表した。併せて、日本オフィスの代表として後藤聖治氏が1日付で就任し、新体制のもとで秋以降に日本法人を設立すると発表した。
SonicWALLの日本オフィス代表に就任した後藤聖治氏 |
説明会の冒頭で、後藤氏は、同氏の役割と3つのミッションについて説明した。同氏は「日本企業の経営陣は、セキュリティーに対する意識が希薄。セミナーなどを通して、セキュリティーの重要性などを啓蒙していく。また、秋以降に日本法人を設立し、ユーザーからの要求を直接くみ取ることで、これまで代理店(※1)経由で行なっていたユーザーサポートを充実させる。そして、従来のターゲットである中小企業だけでなく、今後はキャリアーやサービスプロバイダーが、弊社をチャネルとして活用するような体制を整えていきたい」と述べた。
※1 代理店は、(株)住友金属システムソリューションズ、丸紅ソリューション(株)、(株)フォーバルクリエーティブの3社。SonicWALLの日本オフィスの開設は2000年9月で、従業員数は5名。SonicWALLのファイヤーウォール装置は、日本市場で約2万台のインストール実績を持っているという。後藤氏は「日本市場へ投入する製品は、マニュアルをはじめとして、ユーザーインターフェースやファームウェアなどの日本語化を徹底して行なう。日本の中小企業を対象として販売を行なうには、製品の使いやすさが第一に必要。それがアドバンテージとなっている」と語った。
SonicWALLのビジョン |
また、日本における今後の販売戦略として、後藤氏は「ユーザーサポートを拡充させるだけでなく、パートナープログラムを充実させ、ユーザーに確実に手が届くようにする。また、ブロードバンド時代に備えて、あらゆる規模と種類のネットワークに適応する製品を提供する。ファイアーウォール/VPN装置だけでなく、分散して配置された装置を統合的に管理するシステムや、アンチウイルス、コンテンツフィルタリングソフトなども提供し、インターネットセキュリティーを360度カバーする、セキュリティープラットフォームになる」と述べた。
ファイアーウォール/VPN製品のラインアップ |
今回、日本市場に投入する製品は、CyberSentryを搭載したファイアーウォール/VPN装置『TELE3』『SOHO3』『PRO 100』『PRO 200』『PRO 300』の5製品。CyberSentryは、VPNの暗号化(3DES)のためのプロセッサー(ASIC)で、従来の5~10倍のスループットを可能にしているという。メモリー容量の増加によって、同時接続数が強化されているほか、シリアルポート経由でのシステム管理も可能となった。また、同社の統合管理システム『SonicWALL Global Management System』を導入すれば、これらの装置の一元遠隔管理が可能となる。さらに、ユーザーからの要求に応じて、コンテンツフィルタリングソフトや、アンチウイルスソフトなども提供する。
CyberSentry |
後藤氏は、同製品の特徴として「実際にサービスプロバイダーで実証実験を行なったところ、同時接続数が急激に増加しても、パフォーマンスが低下しないという評価を得た」と語った。各製品の詳細については以下の通り。
上段左からTELE3、PRO 100、PRO 200、PRO 300 |
- TELE3
- 対象:遠隔地のユーザー、在宅勤務者
- ユーザー数:5名
- 同時接続数:6000
- ファイアーウォールスループット:75Mbps
- VPN暗号化機能:標準搭載
- VPNトンネル数:5
- 3DES VPNスループット:20Mbps
- 価格:14万800円
- SOHO3
- 対象:中小企業、支店・支社レベルのオフィス
- ユーザー数:10または50
- 同時接続数:6000
- ファイアーウォールスループット:75Mbps
- VPN暗号化機能:オプション
- VPNトンネル数:10
- 3DES VPNスループット:20Mbps
- 価格:15万7500円(10ユーザー)、32万3000円(50ユーザー)
- PRO 100
- 対象:小規模の企業、公共機関
- ユーザー数:無制限
- 同時接続数:6000
- ファイアーウォールスループット:75Mbps
- 内蔵DMZポート:搭載
- VPN暗号化機能:オプション
- VPNトンネル数:50
- 3DES VPNスループット:20Mbps
- 価格:47万8000円
- PRO 200
- 対象:中規模の企業、支店・支社レベルのオフィス
- ユーザー数:無制限
- 同時接続数:3万
- ファイアーウォールスループット:190Mbps
- 内蔵DMZポート:搭載
- VPN暗号化機能:標準搭載
- VPNトンネル数:500
- 3DES VPNスループット:25Mbps
- 価格:74万5000円
- PRO 300
- 対象:大企業
- ユーザー数:無制限
- 同時接続数:12万8000
- ファイアーウォールスループット:190Mbps
- 内蔵DMZポート:搭載
- VPN暗号化機能:標準搭載
- VPNトンネル数:1000
- 3DES VPNスループット:45Mbps
- 価格:122万8000円
ネットワークの規模に応じた製品の位置づけ |
後藤氏は、今後の日本市場における売り上げの目標について「日本市場における売り上げは、全社の12~13%の15億円程度だったが、今年度は15%以上、20億円を超える売り上げを目指す」と述べた。また同氏は、「日本法人の設立に合わせ、従業員も現在の5名から10名へ増員する。私はこれまでの経験から、いかに情報産業がITに依存しているか、いかにセキュリティーが大切かという答えを得た。メーカーもディストリビューターも経験している知識を生かし、日本におけるシェアを拡大していきたい」と語った。